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「さそすせし」の示すもの


August.9.2004





つづき
これまでのコラムで、ヤマトコトバへの理解もずいぶんと深まったことと思う。

かおる
そうですか〜?
この前まではネタ切れでずいぶん困ってたじゃないですか。 時事問題まで持ち出して。
つづき
(←聞いてない)さて、「あ行」「か行」「た行」「な行」「は行」「ま行」「や行」「ら行」「わ行」の謎は、
明快に解き明かしてきたわけじゃが。 ちょっと、おさらいをしておこうと思ってな。
かおる
「さ行」の解説が、まだでしたっけね。 あと「」の意味も語られてなかったような?

つづき
」は、「(大いなるものの意)」に対応する女性名詞であろう。
その意味は、「多くは無いもの・唯一無二・本物・真実・まれ」ということになるであろうな。
かおる
ふむふむ。 で、「さ行」の意味は?

つづき
あ〜こりゃもう簡単。 いまさら説明するのもはばかれるほどじゃ。
さそすせし」と言われれば、日本人なら誰しも、その言霊に敏感に反応するじゃろうて。
かおる
さそすせし」?
また、何か意味があるんですか?
つづき
まずは、「さ行」についての解説からじゃな。 心して聞くがよい。



「さしすせそ」に見られる意味表


母音=基本助詞用法・意味母音の形容詞・母音の意味
a
目下・少ない
「さ」=さあ、さっさと仕事する・目下

「さ・う・さ・う」=早々
「さ・かし」=かしこい
「さ・びし」=寂しい
「さ・もし」=みすぼらしい
「さ・やか」=少ないながらはっきりと
「さ・る」=去る
「さ・わめく」=目下の集団がわめく
「さ・く・もつ」=細かい食い物
「さ・さ・ら」=細かい
「あ・さ」=短い朝の様子
あめく・あくがる
あふ・あそぶ
あまた・あらはす

憧れる・存在
会う・合う
感情表現
i
威厳
示す・知る
「し」=しっしと、追い払う・威厳・父・肉・獣

「し・めす」=示す
「し・たがふ」=従う
「し・た」「し・も」=下を示す
「し・つけ」=示しをつける
「し・ぬ」=死ぬ・示すものが無い
「し・ま」=島
「し・をらし」=ひかえめ
「し・て」=示して要求
「し・な」=品
「し・かる」=叱る
「し・る」=知る
「し・らべる」=調べる
「し・らむ」=白む・明るくなる
「し・ろ」=身代わり
「し・をり」=道しるべ
ひひめく・ゐやぶ
忌む・敬う
u
短い時間
「す」=すっとすぐに

「す・ぎる」=過ぎる
「す・こし」=少し
「す・すむ」=進む
「す・たる」=廃れる
「す・ぢ」=細い縞
「す・な」=砂
「す・なお」=すぐ直る
「す・ねる」=すぐ寝る
「す・ばやく」=素早く
「す・がた」=すぐ確認できる
うめく・うつくし
威嚇・警戒
立派・完璧
e
年長者
「せ」=せっせと背・兄・父がせっつく

「せ・す」=年長者がなさること
「せ・がむ」=年長者に拝む(頼む)
「せ・よ」=年長者の命令
「せ・わ」=年長者が行なうこと
「せ・む」=責める・責任
せかせか・せつせつ・せはせは=年長者の様子
えもいはず
気配・五感
魅力
o
代名詞
「そ」=そうそう、そうだ・代名詞

「そ・ら」=空
「そ・ば」=近く
をめく・をかし
をさむ・をしむ

畏れる
可愛いらしい
物を得る


つづき
上の表からもわかるように、「さ行」の言霊には、仕事上の労使関係、作業効率を推し量る、
日本人の勤勉さが凝縮されておるのじゃ。 「さそすせし」と、言われれば、誰しもこう感じるはずじゃ。





「さそすせし」

古語
意味目下代名詞短い時間年長者示す
現代語訳さあ、その仕事をすぐに片付けて上司に報告する

用例:「田中! さそすせしろ!」
※「」は、言葉は悪くても、実は、妹のように部下を可愛いがっていることを匂わせる呪いの言霊






かおる
さあ」という言葉は、ただの掛け声じゃないんですか?

つづき
甘いのオ。 目下の者が、目上の者に「さあ」などと呼びかけるかね?
さあ」という呼びかけは、もともと、目下を意味する代名詞なのじゃ。
一方、目下の者が、目上の者を呼ぶときは、古語辞典にも「せ=背(兄)」と、ある通り、
せえ」と呼んでいたに違いない。
これは、現代まで「せんせい(先生)」という言葉として残っているというわけじゃ。
このように、「さ行」が仕事に関係する語句を表していることから、
後世、「仕事をする=”さ行”をする」という隠語が生まれ、
仕事を表す言葉として「作業」というアテ字が自然と生まれたということじゃな。

かおる
うひゃ〜。







付録・年表




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