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古語に見る、男性名詞と女性名詞


Feb.14.2004





つづき
外国語には、男性名詞、女性名詞というものがあるわけじゃが〜。

かおる
日本語には、ありませんよ?

つづき
いやいや、「キ・ミ」が、それにあたる語句と言いたいわけじゃな。

かおる
それくらいなら、比較的まともな説ですね。
たまには、本当に参考になる文献もサイトに掲載したほうがいいと思いますよ〜。 
つづき
では、表にしてみようぞ。


男性系「k子音」女性系「m子音」備考
基本性別語
木・実
いざなぎいざなみ神様
おきなおみな老いた男女
をぐなおむな「おんな」は、「おむな」の転
をとこをとめ若い男女
男性系「こ」女性系「も・め」備考
みこ
ひこ
いも
ひめ
語頭の「ひ・み・い」は、音が転じたもの
男性系「を」女性系「め」備考
をのこめのこ「をのこ」は、「このこ」のk子音が取れたもの
をこめこ「をこ」=愚鈍、「めこ」=可愛い
オスメス近世語
「を・お・な」は、古代での、尊称の意味。



かおる
をのこ」は、「このこ」の転だとか、さらっと怪しげなことを書かないでください。

つづき
何を言うか。 身体語を解剖せよ!から、ずっと語ってきたように、
」が、「ふぉ」であったなら、流れとして不自然ではないのじゃ。
」という字が当てられていることからも、「k・m子音」もまた、「f音」からの派生じゃと考えられるのじゃ。


ひこ、ひめ、みこ、いも」は、「ふぃこ、ふぃも」からの派生語だった。

Fo(Ho)→Mo→Kwo→wo
ふぉ(ほ)→も→くぉ(こ)→を

ひこ、ひめ、みこ、いも」の語頭が、「ひ、み、い」と転じていることから見ても、
みみ(耳)」が、古代では「ふぃみ」だったことの傍証にもなるのじゃ。

Fi(Hi)→Mi→Ki→i
ふぃ(ひ)→み→き→ゐ
ふぃみ(ひびく・響く)→みみ→きき→いひ(言い)


つづき
言い聞かせる」は、「耳に聞かせる」という意味じゃったのじゃろうか?
やはり、「言う」も、日本語であったとするなら、その語源は「ふぃみ(耳)」じゃった。
かおる
本当かな〜?

つづき
古代においては、「き・み」が、男性・女性を指す基本語彙じゃったろう。
どちらも、「ふぃ」という語句から、同時に発生したと思われよう。
ふぃ」とは、すなわち「ひ(日)」のことじゃな。
さらに、「ふぃ(ひ)」からは、「ひる・ひもねす・ひと」といった名詞や、
ひとつ」といった数詞が生まれてきたであろう。
ひ・き・み」は、日本語の語句の構造を探る上で重要なキーワードとなるであろう。

かおる
そんな感じはしますけどね〜。
そういえば、「ヒミコ(卑弥呼)」も、似た音韻の語句ですね?
つづき
実は、わしも、そう思っておるのじゃが、今ここでその話をしても、語呂合わせにしかならんでな。

かおる
おや? では、また別のネタをお持ちで?

つづき
うむ。 表にまとめた語句を調べると、男女の語句の対応は、
き・み」「く・む」「こ(を)・め」となっておるわけじゃが……。
こ(を)・め」は、母音が一致しておらぬじゃろ?
これは、古代には、「こ・も」という組み合わせがあったものが、「こ(を)・め」に、転じたのじゃろうか?

かおる
みこ・いも」が、それに対応するのではないでしょうか?
後の時代に、「」が、「」に転じて、「ひこ・ひめ」になったのでは?
つづき
みこ・いも」が、古い時代の語句で、「ひこ・ひめ」が、後世の美称じゃろうか?

かおる
どっちが、後世の語句かは、わかりませんねえ。 「みこ」と言った場合、男女の区別は無いようですし。
一般的には、「ひこ・ひめ」は、対の語句ということには、なってますけどね。
つづき
いやまて、「ひこ・ひめ」は、音韻から、「ふぃこ・ふぃも」に近い。
みこ・いも」の方が、後に派生した語句ではなかろうか?
かおる
それなら、そう考えてもいいと思いますが、「ふぃも→ひめ→いも」と、「」の母音が、2転してますが?
わりと、同時代に生まれた語句かも知れませんよ? 身分の上下を分けるような意味で。
つづき
ならば、こう考えてみたら、どうじゃ?
もとから古代では、高貴な娘のことを、「ひめ」ではなく、「ひも」と、呼んでいたのかも知れぬぞ?
」が、「」に、母音が変わったのは、身体語を解剖せよ!の下の方に挙げた、
母音と語彙の関係表」のように、あるとき娘に対し、「えもいはぬ様子」を、感じたからではなかったか?
そう、娘が年頃になり、色気をムンムン発散させてきた頃、「ひも」は、「ひめ」と呼ばれたのじゃ。

かおる
たしかに、変に色気づいた娘は、「えもいはぬ雰囲気」をたたえているとは思いますが。
では、「いも」に対する、「いめ」という語句もあったのでしょうか?
つづき
そうじゃよ! まさしく、古語辞典にも載っておる「いめ」が、それじゃ!
これは、上代語の「」の古形と、説明されておるが、真の意味は違ったのじゃ!


いめ」は、「えもいはぬ魅力の娘」という意味



万葉集・0490番

真野之浦乃 与騰乃継橋 情由毛 思哉妹之 伊目尓之所見

真野(まぬ)の浦の淀の継橋心ゆも思へや妹が夢(いめ)にし見ゆる


意訳:愛しい人が、えもいはぬ魅力を漂わせているなあ。
備考:「伊目(いめ)」は、「夢(ゆめ)」を意味する語句では無かった。




母音m=女性基語形容詞・母音の意味
e姫系: (魅力ある高貴な娘)
妹系: (えもいはぬ様な魅力の妹)
えもいはず
気配・五感
魅力
o姫系: (※捨てられた語句)
妹系: (愛しい人)
をめく・をかし
畏れる
可愛いらしい




つづき
ひも」という語句が失われたのは、高貴な姫系でありながら、いとをかしな娘であったために、
一段、格を下げて、「いも」と呼ばれるようになったからじゃな。
かおる
そんな、失礼な……。

つづき
わしらは、また、ひとつ、古代ヤマトコトバの語彙の解読に成功したぞよ!

かおる
そうでしょうか〜?








付録・年表




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