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身体語を解剖せよ!


Feb.11.2004





つづき
日本語の語源を探る上で、忘れてならぬのが、身体語じゃ。
身体語というものは、数詞と同じく、時代による変化がおこり難いものなのじゃ。
身体語の語源を探れば、日本語の起源も見えて来ようというものじゃ。

かおる
僕も、そう思ってるんですが、日本語の身体語って、ちょっと変なんですよ。
」は「見る」、「」は「使う」で、名詞と動詞の音韻の関連性があるんだけど、
重要なはずの、「耳」は、「聞く」だし、「鼻」は「かぐ」だし、「口」は「はなす・いふ」だし、
音韻がバラバラなんですよね〜。 これらの身体語は、みんな外国語からの借用語なんでしょうか?
そうだとしたら、日本語って何なんでしょう? 起源を探るなんて、不可能に近いですよね〜?
このことを考え出すと、夜も寝られなくなるんですよね〜。





「はな、くち、みみ」の名詞と動詞の音韻が一致していない謎とは?



身体語動詞
みる
みえる
はなかぐ(?)
にほう(?)
くちはなす(?)
いふ(?)
みみきく(?)
つかう
あしあるく
はらはる
へる


つづき
この中で問題なのは、「はな」「くち」「みみ」のようじゃな?

かおる
ええ、なぜ、「め・みえる」の様に、「はな・かぐ」は、名称と動詞が、音韻で関連しないのでしょう?
やっぱり、借用語なのかな〜?  もとからの日本語じゃなくて?
つづき
早合点してはいかん。
古代の言語は、今と音韻が変化していたと思ったほうがよかろうて。

たとえば、日本語の、「h音」と「k音」は入れ替わりやすいようじゃな。
かぐ(嗅ぐ)」が、古代では、「はぐ」だったかも知れぬぞ。
さらに、「h音」が、「f音」だったとすればどうじゃ?
はな(鼻)」は、「ふぁな」であり、「はぐ(嗅ぐ)」は「ふぁぐ」となるのじゃ。


鼻で嗅ぐ」は、「ふぁなで、ふぁぐ」と、言っていたのかも知れぬぞ。


かおる
ふ〜む。 それはあるかも。
古代では、「は、ひ、ふ、ひ、ほ」は、「ふぁ、ふぃ、ふ、ふぇ、ふぉ」でしたからね。
つづき
「くち」についても、同じじゃ。 「k音」が、「h音」と変わり、さらに古代では「f音」だったとすれば、
「くち」は「ふち」となる。 「話す」は、「ふぁなす」となり、音韻は近くなろうて。


口で話す」は、「ふちで、ふぁなす」と、言っていたのかも知れぬぞ。


かおる
なるほど、今回は、イイ線行ってる気がしますねえ。

つづき
「みみ」が問題じゃな。 これは、「聞く」をもとに考えれば、「きく=ひく=ふぃく」だったかも知れぬ。
すると、「みみ」は、「ひみ・ひひ」であり、もっと古代では「ふぃみ・ふぃふぃ」だった可能性があるのじゃ。


耳で聞く」は、「ふぃみで、ふぃく」と、言っていたのかも知れぬぞ。


かおる
「ふぃみで、ふぃく」は、ちょっと苦しいかな〜?
本当に、「みみ」は「ひみ・ひひ」だったんですかね〜?
つづき
いやいや、ところが、日本語には、耳に関係する語句として……


ひびく(響く)」という言葉も、あるのじゃなあ。
さらに、「ひび(皹)」という言葉もあり、
その古語は「ひみ」なのじゃ。


かおる
うわぁ〜! ほんとだ!
そういえば、音楽を奏でることを、「ひく」とも、言いますもんねえ。
つづき
」が、昔は「」だった証拠は、
ひび(ひみ)」が入り、「きしむ・ひしむ・みしゃぐ」と、音が出る状態や、
ぎしぎし・ひしひし・みしみし」という音を表現する語彙からも伺えるのじゃ。
耳に響く音」の源に、「ひび(罅)」と名付けたのじゃろう。
耳のような皺」のあるものが、「ひび(皹)」であろうな。

音に関係する語句が、まとまって関係しているという事実も、重要じゃろう。

」が「ふぃみ」じゃったとき、「聞く」は、「ふぃく」と発音されていたじゃろう。
みく」という語句が存在しないのは、そもそも「みみ」という語句が無かったからであり、
ふぃみ・ふぃく」から直接「みみ・ひびく・きく」に転じてしまったからじゃろう。
きく」が定着した後に、楽器が登場し、「ひく」という語句に「音を出す」という意味が与えられたに違いない。


かおる
なるほど〜。 でも、それだけでは、偶然の一致かもしれないし、
みみ」は、「ひみ・ふぃみ」だったとも、断定できないのでは?
つづき
いやいや、もっと大事な事実も、忘れてはならぬぞ。





「はな、くち、みみ」は三つとも語頭が「f音」だった



身体語古名動詞現代語
みる
みえる
はなふぁなふぁぐ
にふぉう
かぐ
にほう
くちふちふぁなすはなす
いふ
みみふぃみふぃく
ふぃふぃく
きく
ひく
ひびく
つかう
あしあるく
はらはる
へる


かおる
ふむふむ。 表にして見ると、なんとなく、耳も、名詞と動詞の音韻が結びついてきそうな?

つづき
話すという意味で、「いふ」という類語があるのは、外国語じゃったのかも知れぬな。
多くの民族が流入してきたからのお。
かおる
韓国語の口(ip)」が、「言ふ」に似てるという説がありますが、このことかも。
言ふ」は、あくまでも外来語で、日本語では無かったんですねえ。
つづき
かお(顔)」が、なぜ「かほ」と、古語では書くか?
昔は「かふぉ」と言っていた言葉を、文字が伝わった後で「かほ」と、書き留めたからじゃ。
後に、「かふぉ」という発音は、「かお」と転じたのじゃな。

かふぉ(顔)」は、他の語句にも転じたかもしれぬ。
かこ」と転じ、「かこむ(囲む)」という語句となったかも知れぬぞよ。
かこつける」は、「顔をつくろう=言い訳をする」という意味で、
近代に「格好つける」という語句が生まれたのじゃろう。
かか」もまた、「」を意味するなら、多くの語句の語源として結びつくのじゃ。
かがみ(鏡)」は、そのまま、「顔を見るもの」じゃろう。
」には、「かみ」と同じく、偉大で神聖な意味があったのかも知れぬ。


かお」が、「かがやく」と言うじゃろう。


ふぁな(鼻)」も、「はな」と書かれたことから現代の発音が生まれたわけで、
子音が取れて、「あな」と発音された頃もあったかも知れぬ。 
古い時代には、「ふぁな(鼻)」は、「くぁな」と、転じ、「」から「くさい」という語句が派生したかも知れぬ。
くぁな」が、「かなしむ」の語源だったかも知れぬ。


はな」をすすって、「かなしむ」と言うじゃろう。


ふち(口)」から、「うち(内)」に転じてもおかしくないし、
壷の口の縁を「ふち」とも言うことから、 「ふた」も、「ふち(口)」と同じ語源じゃろう。
ふた」から、「うた」という語句が生まれたやも知れぬ。


くち」で、和歌を「詠う」と言うじゃろう。


ふぃみ(耳)」が、「いみ(意味)」に転じても不思議ではないのじゃ。 当然、「意味」は「聞き伝える」ものじゃ。
ひれ・ひだ・ひらく」という語句も、もともと「ふぃ」から派生したのかも知れぬ。
」も、「ふぃみ」から転じたのではないか?
耳・弓・ひだ・ひれ」は、すべて「ひらひらと、揺れる・引く」と言うじゃろう。
秘密という意味の「ひむ(秘む)」や、恐れを意味する「いむ(忌む)」は、
耳をふさいで嫌がる」というような意味だったかも知れぬ。


みみ」を塞いで、「いみきらう」と言うじゃろう。


め(目)で笑う」と、言うように、「えみ(笑み)」の語源は、「」じゃったかも知れぬ。
もしも、「めめ」が、古代では、「ふぇめ」と、言っておれば、「ふぇみ=えみ(笑み)」と転じやすいじゃろう。


」に、「えみ」を浮かべると言うじゃろう。


はら(腹)」も「ふぁら」と、言っており、
魚の「あら(粗)」も、語源を探れば「ふぁら(腹)」のことじゃったかも知れぬ。
自分を指す「われ」の語源とも考えられるのじゃ。
わらう・わる」も、腹から派生した語句じゃと思われるのじゃ。


はら」の底から、「わらう」と言うじゃろう。



かおる
みんな、「f音」つながりだったと言うことですかね〜?
にわかには、信じがたいような……。
つづき
あし(足)」も、「ふぁし」と言っておれば、
ふぁるく=あるく(歩く)」「ふぁしる=はしる(走る)」と、無理なくつながるじゃろ?


では、改めて、派生語と思われる語も合わせて、表にしてみようかの。





身体語の語頭は、ほとんど「f音」だった



身体語古名動詞派生語? f音は、k、h音に転じやすい備考
おかぶふぉかぶをがむ (頭をさげる)をか (お母さん)
をかす (犯す)
をかひき (岡引)
をかめ (わき目)
「かぶ」は、「かふぉ」の転か?
かお

ほほ
かふぉ

かか

ふぉふぉ
かこむ (顔を囲む)

かかやく (顔が輝く)
かがむ (顔がくもる)

ほほえむ
かこつける (顔に頼む)
かごと (かこつけて言う)
かわす (交わす=顔をあわせる)
かかはる (関わる=顔を出す)
かかげる (顔をさらす)
かかへる (顔を従える)
かがし (人称代名詞)
かがみ (鏡=顔を見る)
かがふる (顔+被る?)
かか (母=幼児語)
はは (母=ふぁふぁ)
「かふぉ」の語源は、
「か+ふぉ」か?
「か」「ふぉ」は、美称で、
音を連ねたのか?
おもおふぉ

ふぉ
おぼえる
おぼす・おもう
おもねる

ほゆ・ほえる
おこる ・いかる (怒る)
おほす (仰=申し付ける)
おぼろ
おぼつかなし
おもて (面)
おも (母)
「おも (面)」は、
「ふぉふぉ」からの転か?
めめふぇめみる・みえるゑみ (笑み=ふぇみ)
めめし (女々しい)
けけし (よそよそしい)
けもなし (みすぼらしい)
まなこ (目の子)
まるい (丸い目)
なみた・なみだ (「な」は水の意味か?)
にらむ (睨む)は、
「見・らむ」か?
はなふぁな
ふぁぐ・くぁぐ・かぐ
くぁな・かなしむ
かぐわしい
くさい
くさる
くさめ
あな・なか
かをる (香る)は、
「くぁ+動詞」か?

なく (鳴く)は、鼻で鳴く音か?

にふぉう・にほう・におう
(「に」は接頭語か?)
くちふちふく・くふ・くらう
ふぁなす・はなす・はく
はむ・かむ・かじる
は (歯)
ふち (縁)
ふた (蓋)
ふつ (すねる)
うち (内)
うた (歌)
うつろ (口を開けて中が見える様子)
うつらうつら・うとうと・うたたね
くどくど・ぶつぶつ・かみつく・はむかう
くちをし (悔しい)
こと・ことば
ちち (父=くいぶち?)
くむ (雲=息のことか?)
にくむ (「に」は接頭語か?)

いふ (言う:外来語)
みみふぃみふぃく・きく
ひびく・ききいる
ひく (耳を引く)
ひく (楽器を弾く)・ゆみ(弓を引く)
ひひめく (鵺の声)
ひび・ひみ
ひれ・ひだ・ひらく・ひらひら・ゆれる
きしむ・ひしぐ・みしゃぐ
ぎしぎし・ひしひし・みしみし
ききみみ
いみ (意味=他人から聞く・伝える)
いめ (夢の古語=そらみみか?)・ゆめ
いむ (忌む=危険を避ける・嫌う)
ひむ (秘む=他人を避ける)
きみ (気味=忌みからの転か?)
きみ (他人を呼ぶ言葉「耳を貸せ」)
「いめ」(夢)が「ゆめ」に
転じていることから、
「ゆみ」(弓)も、「ふぃみ」からの
転かもしれない
「耳・弓・ひだ・ひれ」は、
「引く・揺れる」と言う

「しびれる・しばれる」も、
耳が語源か?
ふて

はた
ふでう・はたす
てくる・できる
つくる・つかう
はたく・たたく
うで (腕)
かみて・しもて (方向)
たるい
たらす
ただむき
たたる
たたかう
たたむ
てて (父)
「うで (腕)」で、「だく (抱く)」

「ふて・はた」=「つて・かた」?
あしふぁしふぁるく・あるく
ふぁしる・はしる
ふぃく・ひく・ひるむ
かち (歩いていく)
かちあう (出会う)
かる (遠ざかる)
かける (駆ける)
かし・かせ (自由を奪うもの)
ける (蹴る)
ほる (掘る)
おる (折る)
ある・あらわす
はし (橋)は、足からの転か?
わし (鷲)も、足の転か?
(鷲づかみ=足掴み)
はらふぁらふぁる・はる
ふぇる・へる
ふぁらう・わらう
われ (我)
わめく
わる・わかつ・わかれる
から・からだ
あら (魚の粗)
「我・彼」は「ふぁれ」の転か?


かおる
なるほど〜。 それぞれの名詞と動詞の音韻体系が、ちゃんと繋がりましたね〜。
派生語は、少し怪しいところもあるかもだけど、意味は合ってるかも?
笑み・悲しむ・詠う・嫌う」などの感情表現が、
目・鼻・口・耳」の身体語から派生してる可能性があるとしたら、とてもロマンチックですけど、
もうすこし、検証が必要かも?

つづき
これも、わしが、表を整理してるうちに発見したのじゃが、
古代人の感情動作表現を考えると、あながち的外れとも言えぬのではないじゃろうか?
相手に対する、最初のコミュニケーションは、威嚇であろう。 「笑み」とて、威嚇表現なのじゃ。
」に出した「怒り」の表現から、「ののしり言葉」が生まれたということじゃな。
ののしる」の語源も気になるところじゃが。
詠う」という行為も、古代では、言葉を話すことと、同義じゃったに違いない。
こうして見ると、日本語と言うものは、とんでもなく、古い時代に造語された語句に間違いなかろうぞ。

かおる
顔の語源も、複雑な変遷をたどっているみたいですね?

つづき
わしも、混乱しそうじゃが、ようするに、このような感じのようじゃな?
ふぁ、ふぃ、ふ、ふぇ、ふぉ」は、何かを意味する語句じゃったようじゃな?
」を、古語辞典で調べてみると、「生きる者の体の一部」という語彙がありそうじゃ。
母音の変化で、また別の語彙が備わっていたかも知れぬ。


か(偉大なもの)+ふぉ=かほ(顔面)
か(偉大なもの)+ふ=かぶ(頭)
ふぉ+ふぉ=ほほ(頬)
ほほ(頬)→おも(表面)



かおる
他の日本語の語源も、身体語から見えてきそうですね。
m音」と「t音」の音韻はそのままで、「f音」は、「k音・h音」に、音韻が変化すると考えて、
もっとサンプルを集めて整理すれば、変化した過程や、年代も突き止められるかも知れませんね?
しかし、頭・顔には、「」の語源が多いですね〜!

つづき
古代人は、マザコンじゃったんじゃろう。
」が、「くいぶち」としか、見られていなかったというのは、まことに情けない!
かおる
いや、母系社会だったとか、そういう考証をしましょうよ。

つづき
ともかく、面白いのは、「鼻・耳・口・目・顔」で、
ふぁ・ふぃ・ふ・ふぇ・ふぉ」の音韻が、揃って使われていることじゃ。
これは、こじつけと言っていいものかどうか?
」に関係した派生語が、ナイスなのがあまり見つけられなかったのが、不思議ではある。
古い時代の言葉じゃったために、他の音韻に転じてしまったのじゃろうか?

かおる
め(目)=ふぇ」が、もし「」に転じたなら、「」の語源になるかな? と、思いましたが、
他に関係語句が見つからなければ、語呂合わせの域を出そうにありませんね。
つづき
それじゃ! 目から発するものは、「け(気)」に間違いない! そして、「け(気)」を感じるのは「せ(背)」。
e音」つながりじゃ。 他の五母音も、言葉の語彙と関係あるやもしれぬぞ!
かおる
いや〜。 いくらなんでもも、こじつけくさいですよ〜。
古代の発音体系を無視して、五母音にまとめようとするあたりで、もう信憑性はゼロですね〜。




母音と身体語と語彙の関係



母音身体語 f=体の一部形容詞・関係語・意味付帯音節の意味実際の用法例
aふぁ

鼻 (ふぁな・あな・かな・はな)
腹 (ふぁら・あら・から・はら・わら)
足 (ふぁし・かし・あし)
あめく
わめく
悲しい・笑う
じだんだを踏む
感情表現
な :身近なもの
ら :周囲
し :行動する
「あ〜、面白い!」
「あ〜、悲しい!」
iふぃ

耳 (ふぃみ・ゐ・いみ・きみ・ひみ・みみ)
ひひめく
ひびく・ひめい
聞く・忌む・嫌う
ゐやぶ(神を敬う)
ゐる(居る)・ゐなか(田舎)
ゐ(猪)・ゐど(井戸)
注意・意識する
み :実・付属品「いい?」(尋ねる)
「いい。」(了解)
「いい!」(拒否)
u

口 (ふち・うち・くち)
うめく
うたう・伝える・苦しい
産む(出産)
伝達・威嚇・警戒
ち :こっち「うお〜!」
「う〜ん。 でもねえ。」
「うう、うっそ〜?」
eふぇ

目 (ふぇめ・ゑ・け・め)
手 (て)
えもいはず
笑み・睨む・背中
気(け)を感じる
手当て
ゑふ (酔う)
気配・五感
め :方向性
て :方向
「えへへ」(笑い声)
「え〜ん」(泣き声)
「え? 何か?」
oふぉ

顔 (かふぉ・かほ・かか・ほほ・おも)
頭 (を・おかぶ)
をめく
おどろく・どよめく
怒る・恐れる・御・をがむ
畏敬・畏怖・感嘆
か :偉大
も :表面
「お〜! すごい!」
「お〜! 怖ええよ!」
「をいをい」


かおる
うわっ! な、なんか、こうして見ると関係ありげな気がする……。
あいうえお」に対応する形容詞が揃っていたんですね〜。
つづき
えもいはず」は、まさしく、「たとえようの無い気配」を感じるという意味であり、
もとになった「ゑめく」という形容詞が、古代には存在したに違いない!
」は、「ゑみ (笑み)」に含まれる音じゃから、
これは、もしや、「笑い顔」を異様に感じていた頃の、古代人の言葉ではなかったか?
わらい (笑い)」という概念は、動物から人に進化し、社会性を身につけたときに生まれたものなのじゃから。

かおる
たしかに、他人から、ニヤニヤした顔で見られると、えもいわぬ気分になりますね。

つづき
古代の人間が、感情によって自然と口にした「うなり声」が、
感情の源となった、目、鼻、口、耳、顔、等の場所を指し示す「身体語」として生まれたのじゃ。
基本となる身体語は、音が転じながら、日本語の多くの語彙に派生したというわけじゃな。

かおる
すべての、日本語の語句には、語彙の法則性があるのでしょうかね?

つづき
それは、どうじゃろう?
言葉の語彙は、長い歴史の間に、多様に変化していくものじゃから、
ハッキリした言葉と語彙の法則性を、すべてのヤマトコトバから見出そうとするのは徒労じゃと思う。
しかし、法則性が見られる語句が見つかれば、古い時代に造語された語句として、注目に値するのではなかろうか?
それらをキーワードとして、古代の言語を蘇らせることも可能じゃろう。
言葉が、別の言葉に転じていった経過も、調べねばならぬじゃろう。

かおる
音が転じる、規則性みたいなものは、あるんでしょうか?

つづき
たとえば、「あめく・わめく・かまし」は、どれも、同じ状況を表しておる。
ふぁ」から、「あ・わ・か」のように転じたことは間違いあるまい。
古くは、どれも、同じ「ふぁめく」という語句から、語彙を増やし、派生していったのじゃろう。





転じやすい音の関係

fa→wa・ka
fi→wi・ki
fu→u・ku
fe→we・ke
fo→wo・ko
ふぁめく→あめく・わめく・かまし




つづき
日本語の音に「あ、い、う、え、お (a・i・u・e・o)」とは別に、
わ、ゐ、う、ゑ、を (wa・wi・u・we・wo)」が、あるのは、
古代人の「ふぁ、ふぃ、ふ、ふぇ、ふぉ (fa・fi・fu・fe・fo)」の発音が転じたからじゃろう。
同時に、「か、き、く、け、こ (ka・ki・ku・ke・ko)」に、転じたこともあったのじゃ。

そして、近代になり、「ふぁ、ふぃ、ふ、ふぇ、ふぉ (fa・fi・fu・fe・fo)」は、
は、ひ、ふ、へ、ほ (ha・hi・hu・he・ho)」と、なったわけじゃ。
わ、ゐ、う、ゑ、を (wa・wi・u・we・wo)」も、ほとんどが、
あ、い、う、え、お (a・i・u・e・o)」に、吸収されていったことじゃろう。


かおる
ぱ、ぴ、ぷ、ぺ、ぽ (pa・pi・pu・pe・po)」は、どこに?
上代仮名遣いの8母音の件は?
つづき
結局は、渡来人の訛りじゃったということじゃな。

かおる
そうですかね〜? そんなに簡単に片付けていいんですか〜?

つづき
先ほどの例で言えば、「あめく・わめく・かまし」とは言っても、
ぱめく・はめくなどという語句は、残っておらん。

かおる
ふぁめくという語句も、聞いたことありませんが(苦笑)。

つづき
(←聞いてない) 日本語は混成語といわれておるが、
根っこをほじくりかえせるくらいには原型を留めていそうじゃ。
ここまで、音韻体系に乱れが無いということは、
名詞・動詞ともに借用語ではなく、オリジナルじゃということじゃ。
外国語で、ここまで似た言語体系があるなら、ルーツとなる関連性は高いであろう。

かおる
日本語のルーツかぁ〜。 見つかりますかね〜?

つづき
もっとも、外国にルーツを見つけるのは、難しいじゃろうのお。
はるか、縄文時代から日本独自に完成された言語体系じゃからのお。 しみじみ……。
かおる
…………………………。

つづき
こう、目を閉じ、言葉をひとつひとつ、紡いでおると、縄文の古代人の気持ちのありようまで、
感じ取れるというものよのお。 ………………しみじみ。
かおる
…………………………あの〜……。

つづき
……………しみじみ……………。

かおる
…………………………あの〜……師匠?
………………水をさすようで悪いんですけど〜……。
つづき
なんじゃね? なんじゃね? 人がせっかく、古代のロマンに浸っておるというのに!

かおる
これって、どちらかと言えば、「弥生語」でしょ?
縄文語」は、「アイヌ語」が基本だと思いますけどね〜。 僕は。
つづき
が〜ん。







付録・年表




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