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言霊の存在証明


Feb.20.2004





つづき
今回は、前回のコラム「「よろしく」とは何か?」の続きじゃから、よく復習しておくように!

かおる
今回で、「言霊」の存在が証明されると聞きましたが?

つづき
言霊」は、たしかに、存在するのじゃ。
かおる君も、次の語句を読んで、何か感ずるものがあるに違いない!







 ろ り ら れ る 









かおる
ろりられる」って、何ですか〜?

つづき
うむ、それを説明するためには、
まずは、「らりるれろ・やゆよ」の語彙から、解読する必要があるじゃろうな。
前回のコラムで、「」は、世代、「」は、家族を意味してた語であったことを突き止めたのじゃが、
他の語句にも、家族関係に関連する意味があったのではないか? と、調べてみると、このようになったのじゃ!



「らりるれろ・やゆよ」に見られる意味表


母音=近代基本助詞

=古代基本助詞
用法・意味
わ・か=自分・相手・偉大なこと (※関係コラム)
=小さいこと (※関係コラム)
=集めること (※関係コラム)
=困惑 (※関係コラム)
母音の形容詞・母音の意味
a
因縁がある

ら(るぁ)
行動の起因


疑惑がある
「ら」=周辺を意味する代名詞の基語

「わ・れ・ら(我ら)」=自分・指定・因縁
「か・れ・ら(彼ら)」=相手・指定・因縁

「ら(るぁ)」=「る」の転=行動する前に

「や・ら・ぬ」=疑惑のある行動に困惑
「か・ら・ぬ(狩らぬ)」「つ・ら・ぬ(釣らぬ)」

「や・む」=疑惑を持って中断(心配・病気)

「もし・や〜」=「〜」を疑う
「や・さ(優し)」=疑惑が小さいこと
「や・す(安し)」=「やさし」の転
あめく・あくがる
あふ・あそぶ
あまた・あらはす

憧れる・存在
会う・合う
感情表現
i
関係の有り方
縁の由来
行動のかたち
「り」=ことわり(理・理由・由来)

「や・り・ぬ」=疑惑の有る状態に困惑

「か・り(狩り)」「つ・り(釣り)」
ひひめく・ゐやぶ
忌む・敬う
u
縁により
行なわれる



縁起
「る・す(留守)」=行っていること=家にいないこと

「ら・る」=因縁により行っている
「や・る」=疑惑があっても行う
「か・る(狩る)」「つ・る(釣る)」

「ゆ」=ゆゑ(由縁)

「ゆ・かり(縁)」=縁起を狩る(奪う)
「ゆ・るす(許す)」=縁起を行う
うめく・うつくし
威嚇・警戒
立派・完璧
e
縁を規定する
(行動を指示)
「れ」=指示・限定を意味する代名詞の基語

「わ・れ(我)」=自分を規定
「か・れ(彼)」=相手を規定
「ら・れ・る」=因縁を規定して行動
「や・れ」=疑惑があっても行動を指示

「か・れ(狩れ)」「つ・れ(釣れ)」
えもいはず
気配・五感
魅力
o
感動・親愛

ろ(らう)(近代語)
行動を促す
(縁のため)




縁が深いこと
「ろ」=「感動的」の意味=「家族」の意味

「いろ」=家族の情・家族愛
「いろも」=家族の妹
「いろえ」=家族の兄

「ろ(らう)」=「らう」の転=因縁

「し・ろ(らう)」=行動を示す (「し」=示す)
「や・ろ(ら)う」=疑惑があっても行動する
「か・ろ(ら)う(狩ろう)」「つ・ろ(ら)う(釣ろう)」

「よ」=「世代」の意味

「よ・せ」=縁ある年長者 (「せ」=兄・夫)
「よ・り」=目上の者の言葉
「せ・よ」=目上の言葉と思え
「し・ろ(らう)・よ」=行動を示せと言う、目上の言葉
「や・れ・よ」=疑惑があるけど、従えと言う、目上の言葉
「か・ら・れ・よ(狩られよ)」「つ・ら・れ・よ(釣られよ)」
をめく・をかし
をさむ・をしむ

畏れる
可愛いらしい
物を得る








つづき
どうじゃ?
らりるれろ・やゆよ」には、因縁深い意味が感じられまいか?
やる」の、「」に、疑問の意味があるのに、何かを行なう意味になるのは、
年長者の言うことには、疑問があっても従え、という意味なのじゃ。
家族・一族との間で、親子、兄弟、互いの縁深さの関係や、
親族からの言葉に従って行動したり、その理由を表す意味が、込められておるように思えぬか?

かおる
ようするに、一族・家族の長が、俺様の言うことを聞けと、
皆に命令したり言い聞かせたりする言葉だったと言うことですね?
つづき
因縁関係は、様々じゃ。 それらを定義するために、音韻を変えながら、造語されていったのであろう。
ただし、因縁は、それ自体では成立せぬから、必ず、他の語と組み合わされねばならないのじゃな。
そのため、ヤマトコトバでは、「らりるれろ」は、語頭に現れないわけじゃろう。
現代では、助詞・助動詞として、文法体系に収まっておるわけじゃが、
古代では、動詞の語尾が活用するという概念は無く、何かをしようとしたとき、何かの語句の後に、
人間関係や行動を示す意味の単語を、言葉の語尾として、くっつけたのじゃな。
上代仮名遣いの違いから、「よ・ろ」等も、意味によって、微妙に発音が違っていた可能性もあるじゃろう。
古代では、一語づつに因縁・因果関係の意味を込めながら話していたじゃろう。

かおる
」は、由縁・縁起の始まりって意味だったんですか?

つづき
うむ。 そのように語源を考えれば、「ゆかり・ゆるす」の意味が明確になってくるじゃろう。
ゆかり」とは、「縁・狩り」ということであり、「縁を得る」という意味なのじゃ。
ゆるす」とは、「縁・留守」ということじゃが、この場合、「るす(留守)」とは、
る(行動する)」の意味からも、家に居ないという意味ではなく、外で働いているという意味じゃったに違いない。
したがって、「ゆ・るす」とは、「縁・働く」であり、縁を結ぶという意味になるわけじゃな。

かおる
まあ、本当かどうかはともかく、なんらかの形で、
言葉が分解できるのは確かかも知れませんけども。
つづき
一音節ごとに分解された言葉こそが、日本人の心に響く言霊の正体であるのじゃ。
言霊を知ることが、ヤマトコトバの美しさを知ることなのじゃ。
かおる
で、「ろりられる」とは、どういう意味なのですか?

つづき
まだわからぬか? 「ろりられる」とは、こういう意味じゃ!





「ろりられる」

古語
意味感動的に可愛らしい家族関係の有り方因縁がある縁を規定する縁により行う
現代語訳いもうととしてなかよくする

用例:「あたし、おにいちゃんと、ろりられるよ。」
※「よ」は、縁が深いことを強調する呪いの言霊






かおる
ろり」は、古語じゃありませんよ〜? つ〜か、日本語でもないし〜。

つづき
日本人の言霊にマッチしたからこそ、一般名詞化しておるのではないかな?
第一、現代用語では、すでに「」は、「」と同義語でもあるのじゃ。
かおる
う〜む。 確かに……そればかりは、反論の余地もありません……。

つづき
どうじゃね? ヤマトコトバの「言霊」は、疑いようもなく、存在するのじゃよ。
」が、言霊として補強された今、この語彙は後の数千年まで保持されるであろう。
かおる
ちょっとシャレになりませんけど。

つづき
ふぉっほっほっほっほっほっほっほっほっほっ…………。







付録・年表




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