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超古代で「はたらく」とは?


September.3.2004





かおる
前回のハナシは、まあネタだと思いますが、「ハタ・カタ」というのは、特定の方向を指すというより、
身の回りのことを「ハタ(傍)」といい、ちょっと特別な場所を「カタ(方)」と言うのではないでしょうか?
つづき
すると、かおる君は、「は・か」が、「対で対応する語句」という、
このへんから、わしが説いた前提は認めるのじゃな?


ヤマトコトバは、「」と「」が、対になって造語されることが多い。



かおる
ああ、しまった! そうか、それが師匠の作戦なんですね!
いえいえ、待って下さい! 「は・か」が、対応する語句なのか、もっと検証が必要だと思います!
つづき
かおる君も、頑固じゃのお。

かおる
いえ、頑ななのは、師匠の方です! 例えば、「はた(畑)」は、どうですか?
はた(畑)」は、方向を意味するものではないですよ? 「かた(方)」とも対応しませんよ?
つづき
いや、かおる君が今言った、「かたくな(頑な)」と、「はた(畑)」が対なのじゃよ。

かおる
かたくな」と、「はた」が対ですって? そんなわけないでしょう?

つづき
はた(畑)」は、もとから、「はた(畑)」という語句ではない。 日本語の落とし穴じゃな。


「はた(畑)」=「はたけ(畑)」=「はた(畑)+け」ではない。


+たけ」である!



かおる
えええええ〜〜〜〜〜??????

つづき
古代より、「」は、「はたけ」といい、後の時代に「はた」と、省略されたものじゃ。
はた」からは、「」の語源は探れぬ。 「は+たけ」と考えるべきなのじゃ。


たけ=「たける(猛る)」=成長する=「丈・竹

+たけ=「はたけ(畑)」=作物が生長する所・柔らかい

+たけ=「かたけ(硬け・固け)」=「かたくな(頑な)」生長しない・固まる




かおる
あの〜、師匠は、毎日そうやって、語呂合わせのネタを考えてるんでしょうか?

つづき
ネタではないと言うておろうが!
わしは、いつも真摯な気持ちで、ヤマトコトバの語源、なりたちを研究しておるのじゃ!
かおる
う〜む。 確かに「」は、成長しますし、「頑な」な師匠は成長しませんし、
語源と言えなくもないかもですねえ……。
つづき
わかれば、よろしい。

かおる
では、成長する「」を、「たけ」と、名付けたのは、なぜですか?
たかい(高い)」という言葉もありますが、なぜ、高いものは「」と、呼ぶのでしょう?
つづき
普通に、古代人の気持ちになれば、わかるじゃろ?
あるいは、子供の頃の記憶を呼び覚ますよよい。


高いものを、目の前にしたとき、人は「」を差し上げて、
その大きさを感じようとするものじゃ。
もちろん、手は、方向も指し示すことにも使われるじゃろう。

」=高さを測る・方向を示す=「
高い木=「たけ(竹)」=「たけ(丈)



かおる
ほほぅ。

つづき
作物が取れる場所が、「はたけ」であり、作物の育ち難い土地を「かたけ」と呼んでいたじゃろう。
その地面は、「固く」、 転じて、育たぬことを「かたくな(頑な)」というようになったのじゃ。
かおる
うっかり、ネタを信じそうで怖いです〜。

つづき
たけ(丈)」は「たか(高)」とも転じたじゃろう。
「はたけ」の多い土地は、「はたから」と呼んだはずじゃ。
つまりそれが古代人の「たから(宝)」なのじゃ。
はら(原)」は、作物を作る前の普通の土地を指して言っていたじゃろう。
から(空)」は、ほんとに何も無いような土地のことじゃな。



かおる
まだ、信じられませんが、古代ではやっぱり「はたけ」を「はた」と言っていたんじゃないんですか?
はたけ」は、本当に「はた+け」じゃないんですか?
つづき
はた」は、語句を省略した言い方で、
はたけ」が、正式な言い方なのじゃ。 古代では、穀物を次のように言っておった。


「はたけつもの」

粟・稗・麦・豆を、古代では「はたけつもの」と言っておったのじゃ。
語句を分解すれば、「はたけ+つ+もの」じゃな。
たけ」は、丈のある、元気に育つ植物のことじゃったろう。
」が、何かしらの後置詞なら、「はたつもの」と、省略されても良かったはずじゃ。


たなつもの」

そして「たなつもの」と言えば、じゃ。
語句を分解すれば、「たな+つ+もの」じゃな。
たな」=「」であり、「」の前に、「」のような助詞が置かれることはなかったと解るじゃろう。
たけ」と対応する言葉が、「たな」なのじゃ。


「いつくさのたなつもの」

はたけつもの」と、「たなつもの」を合わせて、稲・粟・稗・麦・豆の五穀となり、
いつくさのたなつもの」と呼ばれたのじゃ。

たな」も、語源は「手・掌」じゃ。
たね(種)」は、人の手によって蒔かれ、大切に育てるものなのじゃ。 そこが「た(田)」じゃ。


「くもの」「けもの」

一方、「くだもの(果物/木の物)」「けだもの(獣/毛の物)」は、乱暴に狩猟採集する感じがするのお。



取得方法得られるもの動詞にすると?

その場で入手・
くだもの
けだもの
果物・獣
だく(抱く)・だす(出す)・でる(出る)
自然界から取り出す
狩猟・採集
駄菓子・駄馬
たけ
手をかけて出来てくるもの
はたけつもの
はたけ・たけ
粟・稗・麦・豆
たかる(集る)・たがふ(違う)
たがへす(耕す・田返す←たか圧す?)
たける(猛る)・たく(長く)
たく(焚く・食く)・たぐる(吐る)
たくはふ(蓄う)・たぐふ(比ふ・類)
たくみ(巧み・逞しい)・たくす(託す)

立派に育つことを自然に託す
丈・竹・岳・滝・高・鷹・宝
たな
丁寧に手をかけて成るもの
たなつもの
たな
たなれ(手馴れ)
たね(種)
たのみ(田の実・頼み・頼もし)
たのし(楽し)

立派に育つことを神に頼む
計画する=皮算用=たぬき(狸)?
掌・棚・店・七夕(たなばた)・かたな(刀)?




かおる
耕す」の語源は、「田返す」では?

つづき
かへす(返す)」という3音節の動詞より、
たか+へす(圧す)」という2音節語句同士の熟語が先にあったと考えた方が自然ではあるまいか?
かおる
さあ〜〜? 僕に聞かれて知りませんよ?

つづき
か+へす(圧す)」から、「返す」という語句が生まれたのじゃろう。
は+ふす(伏す)」=「はふす(散らかす)」と、なるわけじゃ。
かおる
そんな感じで語句が出来上がってきたことは解りますが、
実際、どう組み合わさって出来てきたかは解りませんよ?
つづき
その手掛かりが、「か・は」の対応関係なのじゃ。
たから(宝)」「たはら(俵)」を例にしても、その関係は明らか。


ら≒た


古代において、とは、収穫された俵(穀物)以外には無い。



かおる
むむぅ。 なるほど……!
それでは、「」とは、何でしょうかね?
つづき
そう、「たな」という語句を見れば、「」「たけ」と違い、
が、丁寧にをかけた結果、「成る」ものという事がわかるじゃろう。

なる」とは、「人が関係して、成される」ことじゃ。
ならす(均す)」とは、作物を植えるために、「はら(原)」を均すということじゃ。
動物を慣らす」「習う」というように、「ならされた土地」は、人に仕え、恵みをもたらすじゃろうて。
それが、「なら(奈良)」の語源なのじゃ。



ならしのをか=均しの丘=奈良思の岡=習志野


かおる
あ、奈良の語源でしたら、僕が、前にちゃんと指摘しておきましたんで。
つ〜か、今更、師匠が力説しなくても、定説なんですが。
つづき
あれ? そうだった?

かおる
そうですよ?

つづき
…………。

かおる
だから、そこで、ネタを考えちゃダメですってば!

つづき
さて、その「なる(成る)」という言葉は、「なり(業)」とも言い、
ズバリ仕事を意味する言葉じゃ。

古代において「ならす(均す)」という、土地を整え造成する仕事は、一大事業じゃった。
多くの人間が共同で、ならし作業に従事したことじゃろう。
このような仕事に参加しない風来坊を、「ならずもの」と言うようになったのじゃ。


古代では、「ならす」ことは大事な仕事じゃったことが解ったな?
さあ、そこで問題じゃ。


なれず(離れず)」とは、何じゃろう?
離れず」ことと、「成れず」ことに、どんな意味があったのじゃろうか?

ならず(必ず)」という言葉もあるのじゃが、
これは、「は・か」の対応の法則から、「はなれず(離れず)」と対になる語句に違いない。


かおる
はぁ? 「離れず」は、打消しを伴った動詞だし、「必ず」は、活用の無い副詞ですよ?
両者が関係あると思うのは、ちょっと強引過ぎるのでは?
つづき
〜なれず」「〜ならず」という語句は、非常に少ないのじゃ。
語源に関係があると見るべきじゃな。
かおる
う〜む。 確かに、「は・なれず」「か・ならず」と、
一音節だけで接続した語句は、他にはあまりありませんねえ。
つづき
はなれず(離れず)・かならず(必ず)」には、本来どのような意味があったのか?
なぜ、この二つの語句は、対の関係なのじゃろうか?

ちょっと、表にしてじっくり検証してみようかの?




はなれず(離れず)」「かならず(必ず)」は、
対の語句だったのか?


(一般的なこと)

(特別なこと)
なる
(成る)
はなるかなる
なり
(業)
はなりかなり
なし
(成し)
はなしかなし
なれる
(成れる・慣れる)
はなれるかなれる
なれず
(成れず・慣れず)
はなれず
(離れず)
かなれず
(必ず)





かおる
さっぱり解りませんね〜? 
はなれず(離れず)・かならず(必ず)」が、対の語句だと結びつけるのは間違いでは?
つづき
よ〜く、表を見てみるが良い。
かなし」には、「悲しい・愛しい」の両方の意味があるのじゃが、これも謎じゃった。
しかし、「成る=ならす=土木造成事業」と、考えれば、これらは、労働者の言葉じゃと洞察できるじゃろう。
ならば、答えは簡単!

かなる」とは、目的が達成されるという、「かなう(適う・叶う)」と同じ意味じゃ。
かなれる」とは、目的が達成されたという、「叶えられた」と同じ意味じゃ。
目的が達成された時に、現場を「はなれる」ことが出来るじゃ。
他の語句にも、以下のような語彙が見えてくるであろう。




「なる(成る)」「なり(業)」は、仕事をするということ


(一般的なこと)
下っ端

(特別なこと)
親方
なる
(成る・なう)
はなる
普通に仕事に就いた・家を放る
「われ、はなる」=「我は、なる」
かなう(適う・叶う)
希望の仕事が適った
「われ、かなる」=「我、叶う」
なり
(業)
はなり
仕事への気持ちは、半端なり
かなり
かなり仕事に熱中する
なし
(成し)
はなし(話)
仕事の話は普通の話題
かなし(辛い・愛しい)
仕事が辛くても愛しくてたまらない
なれる
(成れる・慣れる)
土地の開墾・造成終了
はなれる(放れる)
仕事が終わってやっと帰れるぞ!
「我は、慣れる」=「我、放れる」
かなれる(叶えられる)
仕事の目的が達成した!
「我か、慣れる」=とても仕事に慣れた
なれず
(成れず・慣れず)
土地の開墾・造成途中
はなれず(離れず)
仕事が終わらないと、
帰れないよ〜!
かなれず(必ず)
仕事が終わるまで頑張るぞ!

はなれず(離れず)」「かならず(必ず)」は、
土地を開墾して、人が住めるように均す、
古代土木作業員の合言葉だった!




つづき
なるほど、という感じじゃろう?
日本人の勤勉性は、古代から続いておるのじゃなあ。
かおる
ぼ、僕は認めません!! そんなの、ただの語呂合わせにしか過ぎません!!

つづき
かおる君も、かなり頑固じゃね?

かおる
あ〜、でも、「はたらく(働く)」は、どうなんですか? 同じ仕事に関係する言葉ですよ?
はた(傍)」が、「らく(楽)」をするということで、いいんですよね?
つづき
それは、都市伝説じゃ。 「はたらく(働く)」は、「はたる」が語源じゃ。

かおる
はたる」???
なんですか? それは? 聞いたこともないですよ! また仮想語句ですか? 
つづき
はたる」は、辞書にもちゃんと載っておる言葉じゃから念のため。
催促したり、責め立てる、という意味じゃ。
かおる
うひゃ〜! 本当だ。 ちゃんと辞書に載ってる〜!
じゃ、このへんで言ってた「働く」の語源説は、撤回するんですね?
つづき
そう、責めるでない。 誰にも勘違いのひとつやふたつはある。

かおる
いや、ひとつふたつじゃ無いと思いますが……。

つづき
とにもかくにも、今宵、「はたらく」の真の語源を明らかにしてみようと思う。 心して聞くがよい。
まずは、「はたる」の語源からじゃ!



はたらく」の真の語源とは何か?
「はた(傍)+らく(楽)」なのか?


(一般的なこと)
下っ端

(特別なこと)
親方

(完了の助動詞)
はり(張り)
仕事の実作業
→張り合い・張り切る
→縄張り(作業場)
→割り当て・割合
かり(仮)
仕事の計画
はり
(張り・実作業)
ははし(はばかれる)
作業が遅い
「われ、ははし」=「我は、端」
かはり(代わり)
作業を代行する
かり
(仮・計画)
はかり(計り・図り)
実物の様子を仮に示す
→はかせ(博士)
→はかばかし
→わかる(解る)・わかい(若い)
かかり(係り・掛かる)
上司の命令を仮に指揮する
→かかふ(抱える・雇う)
はかる
(計画する)
はばかる
計画が進まない
かはかる(かばかり)
これほどの〜計画の進み具合
かはる
(代わる)
はかはる(?)
「われ、はかはる」=「我は、代わる」
かかはる(関わる)
代わって仕事を押し進める
たる
(足る)
た=手
(人手が足りる)
はたる
催促する・責める・取り立てる
→へたる?
→はったり?
→わたりあう(交渉)
かたる(語る・騙る)
仕事が終わらなくても、
順調ですよと、上司に語る(騙る)
→「はかどる」
かたる
(語る・騙る)
はかたる(はかどる)
仕事が、順調なこと
かかたる(かかづらふ)
仕事が関係し合う



「はたる」=「は(普通)+たる(人手)」=人手が欲しい=催促する
「はたる」+「あく」(ク語法)=「はたらく
「は(普通)+たる(人手)+あく(続けること)」=人手を要求し続けるということ



はたらく」の真の語源は、
「はた+らく」ではなく
たるあく」だった




かおる
ク語法? 以前に、このへんで語ってたことですね?
あく」は、「続けること」という意味だったんですか?
つづき
ク語法の「あく」とは、「そうしながら時を過ごし続けること」=「空く・期間」という意味じゃ。
わしも、やっとわかったのじゃが、わかって見れば、簡単なことじゃ。



ク語法の「あく」=「空く」
「あくなき(飽くなき)」=空く無き=空白の時を過ごし続けること無く
↑の様な意味の「あく」が、語尾に接続すると、
接続した語句について、「続ける」という意味になる
他の動詞の活用語尾の「く」も同じ意味
「あ」は、不詳を表す語句
「あく(空く)」=(不詳・空白の時を)過ごし続けること



言はく言ふ+あく=言い続けていること
老いらく老いる+あく=老い続けていること
思はく思ふ+あく=思い続けていること
恐らく恐る+あく=恐れを抱いていること
すべからくする+べき+(ある?)+あく=するべきことを続けること
ていたらくてい(体)+たる(怠る)+あく=だらしない生活を続けていること
ならなくならぬ+あく=ならない状態が続くこと
願はく願ふ+あく=願い続けていること
読まなく読まぬ+あく=読まない状態が続くこと
なくすぬ+あく+す=無い状態が続くこと



しばる(縛る)+あく(空く)=しばらく=何かに縛られ、時が過ぎた状態


つづき
はたらく→はたらけ」と、語尾に「」母音がつくと、命令形になるのじゃ。
はたけ・たけ」も、命令形なのは、成長を願ってのことじゃな。
かおる
う〜む。 なんというべきか……。

つづき
おっほん、どうじゃね? このように「は・か」を関係させて語彙を探っていけば、
イモヅル式に、次々と言葉の真の意味を再確認できるというものじゃ。 勉強になったじゃろう?
かおる
だから、その、信憑性が……その……。
















付録・年表




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