はるか昔、弥生も終わろうとしていた騒乱の頃じゃった。 ある男が、ある村へとやってきた。 男は、西方より興りし大和の国の使いの者であった。 この村を、大和の支配下におくために、話し合いに来たのじゃった。 男は、村人に尋ねた。 「ムラオサは?」 すると、村人の中から一人の屈強な男が歩み出て、言った。 「わしが、そう!」 使いの男は、尋ねた。 「おぬしがムラオサ?」 「そう! わしは、ムラオサ!」 さあ、ここで、「は」と、「が」の意味を考えてみよう。 |
「ムラオサは?」 (「は」=普通の人・ものを示す通常の代名詞=村人の誰か?) 「わしが、そう!」 (「が」=尊称・格調高い代名詞・自分の身分を念押し=「ムラオサ」) 「おぬしがムラオサ?」 (「が」=ムラオサに対する念押し・尊称・格調高い代名詞) 「そう! わしはムラオサ!」 (「は」=素性が知れたので、通常の代名詞) |
「ムラオサ、誰?」 (「誰」=村人の誰か・一般的代名詞=「は」) 「わし、ムラオサ(以下省略可能)!」 (「ムラオサ」=一番偉い人を表す尊称の代名詞=「が」) 「おぬしムラオサ(以下省略可能)?」 (「ムラオサ」=念押しをする特別な代名詞=「が」) 「そう! わし権座衛門(以下省略可能)!」 (「自分のこと」=通常の代名詞=は) |
「ムラオサは誰か?」 (「誰?」=「は?」同じ代名詞・どちらかを省略可能) 「わしがムラオサなり!」 (「が」=「ムラオサ」念押しした言い方) 「おぬしがと申すか?」 (「が」=「ムラオサ」に、言い換えられる) 「そう! わし、権座衛門!」 (尊称でない固有名前=「は」に、言い換えられる) 「そう、か?」 (「か」敬意を配りつつ、疑りのある弱い言い方 <「が」強い断定の言い方) 「そう! わし、だ!」 (「だ(誰)」>「は」より、ちょっと限定的な近世の言い方) |
会社員のAさんが、仕事にミスして、 上司に謝りにいきました。 上司は、怒って、こう嘆きました。 「おまえは…。」 「おまえ〜また、ミスした訳ね。」(いつものことさ、という感じ) 「おまえか?」 「おまえ〜ミスしたの?」(疑りながら念押し) 「おまえが!」 「おまえ〜ミスしたんだな!」(興奮して念押し) |
「かなり」=「すごく、そうなってる」 「かよわし」=「すごく、よわい」 「さやか」=「はっきり明瞭で、すごい」 (さ=醒める) (や=多い・たくさんの) 「しづか」=「おとなしくて、すごい」 (しつ=失敗・しつけ) (しづ・しづしづ=身分が低い・謙虚) |
「おぬし、がムラオサ?」 「そう! わし、はムラオサ!」 |
真の現代語訳 「おぬし、この村一番の「格」のあるムラオサ?」 「が」は、相手に敬意を払い、尊重した言い方になる 「か」は、敬意を払いつつも、疑問を表している 「は」は、自分と相手を同格にして一般的な言い方になる 「そう! わし、村を統率する「係り」のムラオサ!」 「が」は、自分の資格について、強く主張する言い方になる 「か」は、自信なさげな言い方になる 「は」は、一般化して、へりくだった言い方になる。 |
家の中で、猫の鳴き声がしました そこで一言、なんと言いますか? 「猫、はいます」 「猫、がいます」 直感で、お答えください。 |
(猫が一般的だと思ったなら) 「猫、はふ」 (は=一般的な) (ふ=からだ) (はふ=這う・動物がうろつく) ↓ 「猫、はいる」 (は・いる=はひる=這入る=普通に、猫はいる) ↓ 「猫、はいます」 (這い回って、うろついてる猫を示唆) 猫「は」と言う時、あなたは、「猫は、這い回る」と思った。 |
(猫が特別だと思ったなら) 「猫、かふ」 (か=特別な) (ふ=からだ) (かふ=飼う・自分の動物を飼育する) ↓ 「猫、かいます」 (か・います=特別に、猫がいます) ↓ 「猫、飼います」 (猫がいます=飼い猫を示唆) 猫「が」と言う時、あなたは、「猫が、飼いたい」と思った。 |