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「よろしく」とは何か?


Feb.19.2004





かおる
よろしく」に、何か深い意味でもあるんですか?

つづき
今でこそ、普通に挨拶がわりに使っておるが、よく考えたら、意味のわからん語句じゃと思わんか?
よろしく」とは、古代においては、軽々しく口に出来ぬ言葉のような気がしてなあ。
かおる
どうして、ですか?

つづき
そんな気がしただけじゃ。 その謎をこれから追うこととしよう。

かおる
よろしくたのみますよ〜。



「よ」と「ろ」に見られる関係表


母音子音 (古代音)子音 (近代音)母音の形容詞・母音の意味
o
命令形「せよ」

「見やれ・見ゆ・見よ」

命令形「しろ」

「見られ・見る・見ろ」
をめく・をかし
をさむ・をしむ

畏れる
可愛いらしい
物を得る






かおる
せよ」と、「しろ」の二つだけ比較しても、かなり意味がないような……。

つづき
いやいや、「」と、「」の関係は、まだあるぞよ。
ちなみに、古語辞典には、「よ=(世・代)」と、「ろ=(感動を表す)」と、あるな。

「よ」と「ろ」に見られる関係表

備考
せよしろ命令形の時代変化
よ (世代)ろ (感動)素晴らしいもの
いよたついろめきたつ体に現れる感情表現
いよよか (樹木の成長のさま)いろよい (顔色)姿・表情
いよる (近寄る)いろごと (色事)言い寄る
いよいよいろいろたくさん有る様子
うようようろうろたくさん居る様子
とこよ (常世)ところ (処)場所
よよ (世々・代々)よろし万事が良い
よよしく (※仮想語句)よろしく (宜しく)お願いすること
よよめく (※仮想語句)よろめくよろよろすること
いよ (※仮想語句)いろ (色)情事
参考
いやいやいらいらわだかまる感情
しがやき(滋賀焼?)(※仮想語句)しがらき焼き物
かわやけ(皮焼?)(※仮想語句)かわらけ土器
かぐや (神楽の古語?)(※仮想語句)かぐら (神楽)かぐや姫は、神楽姫だったのか?


かおる
仮想語句とか、わけわからんものを、持ち出さないでください。

つづき
数学で言う、変数のようなものじゃ。
今、われわれは、古語という難解な連立方程式に挑んでおるのじゃからな。
わしは、論理的に、ヤマトコトバを解き明かさんとしておるわけじゃ。
語尾に「よ・ろ」が、つく単語は、非常に稀であり、その少ない単語同士に、
表のような関連性が見られるとするなら、古代には、「よ・ろ」は、対応されて造語された語句か、
または、「や・ら」のように、音韻が変化した語句ではなかろうか?
後の時代に、「いよ」等の語句が、忘れられていったように見えぬじゃろうか?

かおる
さあ、それは、どうでしょうね〜?
この表からじゃ、仮想語句が本当にあったのか、なんとも。
つづき
だいたい、「よろしく・よろめく」の、「よろ」とは何じゃ?
よろよろ」した語感に、「よろしく」は、どう結びつくのじゃろうか?
かおる
わかりませんね〜? 「よろい(鎧)」と言うと、逆にがっちり守られてる感じがしますが。
でも、語尾に「」がつく語句は、めずらしいようですね。
つづき
そうじゃろう? 特に、「いろ」という語句は、現代では「色彩」という意味じゃが、
男が、色を好む」というように、「情欲」を表す語句でもあった。
さらに古代では、家族愛のような意味じゃったようじゃぞ?
古語辞典で、「いろ」を見ると、家族に関係した語句の接頭語になっておるのじゃ。
原初的な「家族愛」という語彙ではないかのお?


」の付く言葉意味「ろ」=感動?
いろぢ(※仮想語句)ちち(父) あるじ(主)・をろち(大蛇)の語源か?
いろははは(母)
いろえ
いろね
いろも
いろど・いろおと
いろせ兄弟
せろ兄弟
いもなろ妹・いものら・いものね
ふくろ
いはろ家ろ
むろ
むしろ
ひろし広し
おどろく驚く
もろて揃っている手
おとろふ老ゆ
おそろし恐ろし
おもしろい面白い
はらぐろい腹黒い
おろか愚か
よろこぶ喜ぶ
そろふ揃う
のろう呪う
わろし悪し
ころす殺す
おろす降ろす
うろ・おろうろ覚え
うろうろ・おろおろ感情が揺れる
ほろほろ・ぼろぼろ・ほろぶ滅ぶ
よろよろ・よろぼふよろめく
ころころ・ころぶ転ぶ
ころ
ころも
こころ
うつろ虚ろ
むくろ
ざくろ石榴
しろ
あししろ
おやしろ
めしろ
やしろ
よりしろ
身代わり・田
すずろ・そぞろ・そよろ・そより・そろり
そろそろ・ぞろぞろ・ぞろめく
よろよろ・よろめく
歩く様子
あじろ網代
ほどろまだらな雪模様
ちちろむしこおろぎ
ひもろぎ神籬
すめろき天皇(すめら)
おぼろかすみ
くろ土手
ねろ
のろ
のろし合図を送る
ひろ尋(単位)
へろ
をろた峰ろ田 をろち(大蛇)の語源か?
よろひ
よろづ
いろこ魚のうろこ


かおる
ふむふむ、こうして、表を見ると、特に感動を意味するような語句だけに注目すれば、
」には、「家族」とか、「集団」のような意味を感じとれるような?
ころす・おろす」が、家族から外すという意味かと思うと、怖いですね〜。
のろう」は、家族に対しての言葉のようですね。 意外にも、家族の安泰を願う言葉だったのかも?
いはろ・むろ」は、家族で暮らしていた場所でしょうか?

つづき
そうじゃとも! 「いはろ・むろ」は、家族の住む場所じゃ。
この言葉を使っていた家族は、「岩窟」に住んでおったのじゃろう。
ということは、竪穴住居に家族で暮らす以前に造語された、語句ではないじゃろうか?


ついに、わしらは、石器時代の言葉に到達したのじゃ!


かおる
石器時代って……そこまで言って、いいものでしょうか?

つづき
(←聞いてない)

いろ」の、「」は、母音の基語を探ると、「い(敬う)」という意味じゃ。
すると、「」こそが、「家族」を意味しており、「感動の原点」となる語句に違いない!
いよ」とは、「い(敬う)・よ(世代)」、つまり、「祖先を敬う」という意味じゃろう!
その「一族全体」が、「よろ」であり、「よろづ (万)」とは、一族が続くことであり、
よろづよ(万代)」までも、とは、一族の繁栄を願った言葉だったのじゃ。



」=「世代
」=「家族
」=「一族

」=「い(敬う)・(世代)」=祖先を敬う
」=「い(敬う)・(家族)」=家族愛

」とは、一族のこと。
」とは、一族が由とすること。
こぶ (喜ぶ)」とは、一族に「媚ぶ」すること。
ひ (鎧)」とは、一族に守られること。(ひ=ゐ=居る)
づ (万)」とは、一族が続き、繁栄するということ。
めく」とは、一族がうめくような事態になること。
ぼふ (滅ぶ?)」とは、一族が絶えること。
しく」とは、一族の名に恥じぬように、ということ。


つづき
どうじゃね? これで、助数詞の「よろづ (万)」の意味も、難なく解けたじゃろう?
昔は、「せよ」が、命令形じゃったのに、今は「しろ」と、なったのは、核家族化が原因じゃろうか?
かおる
そのまえに、「いよ」という語句があったのかどうか、わかりませんよ〜?

つづき
地名には、残されているようじゃな。 邪馬台国の世継ぎも「いよ」じゃったろう?

かおる
卑弥呼の後を13歳で継いだ娘の名前のことなら、「とよ」という説も有力ですが。

つづき
いやいや、言霊をあなどってはならん。 第一、「イヨちゃん」の方が、可愛らしくてよい。

かおる
好みの問題ではありません。 「言霊」といっても、本当に、そんなものがあるのかどうかも怪しいのに。
迷信の域を出ないと思いますけどね。 言霊なんて。
つづき
その件は、また次回で、決着をつけようぞ!

かおる
次回で、言霊の存在証明でも出来るんですか?
そいつは、楽しみだな〜。
つづき
ふぉっほっほっほっほっほっほっ。
楽しみにまっておれ。






付録・年表




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