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失われた神々の系譜


March.1.2005





つづき
前回は、取り乱してすまんかった。

かおる
ほんとですよ。 急に「ヒ一族」なんて言い出すから、半村良にでもかぶれたかと。

つづき
うむ。 わしは、ここのコラムで、けして絵空事を語るつもりはない。

かおる
それは、まったく説得力の無い主張ですね。

つづき
←(聞いてない) わしの目的は、ヤマトコトバを解析し、
言霊を理論的に体系化して、ことのはの意味、かみつよのまことを解き明かすことじゃ。
かおる
それはいいとして、師匠は、記紀神話の内容については、どうお考えなのですか?
あまり、記紀神話のストーリーを絡めた話はしてこなかったようですが。
つづき
記紀神話の神代の多くは後世の作り話であろう。 しかし、
創世神話にみられる神の名前、神格そのものは、古代より語り継がれたものであると考えておる。
かおる
神にまつわるストーリーよりも、神の名前そのものにヒントがあるというわけですね。
では、ここでひとつ創世神話にまつわる神の名前を整理してみませんか?
つづき
よかろう。 うりゃ!







創世神話の神々
(あめつちのはじめ)
(古事記・日本書記)

造化の三神(ぞうかのさんしん)
皇産霊(みむすひ)
天御中主尊
(あめのみなかぬしのみこと)
高皇産霊尊
(たかみむすひのみこと)
おもに、関係する神
天八意思兼(あめのやごころおもいかね)
天忍日(あめのおしひ)
天太玉(あめのふとたま)
神皇産霊尊
(かみむすひのみこと)
古事記では、
少彦名(すくなひこな)は、神皇産霊尊の子
別天神(ことあまつかみ)
五柱(いつはしら)
造化三神
(ぞうかのさんしん)
あめのみなかぬしのみこと
たかみむすひのみこと
かみむすひのみこと
宇摩志阿斯訶備比古遅尊
(うましあしかびひこぢのみこと)
「うまし」=美し
「あし」=葦
「かび」=植物の芽・稲穂
「ひこ」=彦
「ぢ」=地?
天常立尊
(あめのとこたちのみこと)
神世七代(かみよななよ)
国常立尊
(くにのとこたちのみこと)
別名、国底立尊
(くにのそこたちのみこと)
次に生まれる神は、
国狭槌尊(くにのさつちのみこと)
別名、国狭立尊(くにのさたちのみこと)
豊雲野尊
(とよくもののみこと)
日本書記では、豊国(とよくに)・豊組(とよくむ)?
豊香節(とよかぶ)・浮経野豊買(うかのとよかう)?
葉木国(はこくに)・見野(みの)?
泥土煮尊(うひぢにのみこと)
沙土煮尊(すひぢにのみこと)
角杙尊(つぬぐいのみこと)
活杙尊(いくぐいのみこと)
日本書紀では非公式?
大戸之道尊(おおとのぢのみこと)
大苫辺尊(おおとまべのみこと)
面足尊(おもたるのみこと)
惶根尊(かしこねのみこと)
惶根尊は、古事記では、
阿夜訶志古泥(あやかしこね)
伊弉諾尊(いざなぎのみこと)
伊弉冉尊(いざなのみのみこと)
一書では、
青橿城根尊(あおかしきねのみこと)の子。

一書では、
国常立尊(くにのとこたち)

天鏡尊(あまのかがみ)

天万尊(あめのよろず)

沫蕩尊(あわなぎ)

伊弉諾尊(いざなぎのみこと)
三貴神
大日靈貴(おおひるめむち)
月弓・月読(つくゆみ・つくよみ)
素戔嗚(すさのを)
主者(きみたるもの)=天照大神(あまてらすおおみかみ)
弓=ゆ=よ(夜)=月のこと(参考コラム)
健速素戔鳴とも。 海の支配を嫌って、根の堅州国(かたすくに)へ。
国生み・島生み
修理固成(をさめつくりかためな)
淤能碁呂島(おのころしま)

その他
天の浮橋(あめのうきはし)
天沼矛(あまのぬぼこ)
天の御柱(あめのみはしら)
八尋殿(やひろどの)
陰の元(めのはじめ)・陽の元(おのはじめ)
太占(ふとまに)
淡路州・吾恥島(あわぢしま)
蛭子(ひるこ)
葦舟(あしふね)・(磐楠舟)いはくすふね
白銅鏡(ますみのかがみ)
大八洲国(おおやしまのくに)日本書記では、

大日本豊秋津洲(おおやまととよあきつしま)
伊予二名島(いよのふたなのしま)
筑紫洲(つくしのしま)
億岐洲(おきのしま)・佐渡洲(さどのしま)
越洲(こしのしま)
大洲(おおしま)
吉備小洲(きびのこしま)

古事記では、

淡路之穂之狭別島(あはぢのほのさわけのしま)
=伊予之二名島(いよのふたなしま)
 伊予国(いよのくに)=愛比売(えひめ)
 讃岐国(さぬきのくに)=飯依比古(いひよりひこ)
 粟国(あはのくに)=大宜都比売(おほげつひめ)
 土佐国(とさのくに)=建依別(たけよりわけ)
隠伎之三子島(おきのみつごのしま)
=天之忍許呂別(あめのおしころわけ)
筑紫島(つくしのしま)
 筑紫国つくしのくに)=白日別(しらひわけ)
 豊国とよのくに)=豊日別(とよひわけ)
 肥国ひのくに)=建日向日豊久士比泥別(たけひむかひとよくじひねわけ)
 熊曾国くまそのくに)=建日別(たけひわけ)
伊伎島(いきのしま)=天比登都柱(あめひとつばしら)
津島(つしま)=天之狭手依比売(あめのさでよりひめ)
佐渡島(さどのしま)
大倭豊秋津島(おおやまととよあきづしま)
=天御虚空豊秋津根別(あまつみそらとよあきづねわけ)
六島古事記では、
吉備小洲(きびのこしま)=健日方別(たけひかたわけ)
小豆島(あづきしま)=大野手姫(おおのでひめ)
大島(おおしま)=大多麻流別(おおたまるわけ)
女島(姫島)=天一根(あめひとつね)
知訶島(ちかのしま)=天之忍男(あめのおしを)
両児島(ふたごのしま)=天両屋(あめふたや)
神生み
海・風・木・山・野 大事忍男神(おほことおしをのかみ)
石土毘古神(いはつちびこのかみ)
石巣比売神(いはすひめのかみ)
大戸日別神(おほとひわけのかみ)
天之吹男神(あめのふきをのかみ)
大屋毘古神(おほやびこのかみ)
風木津別之忍男神(かざもつわけのおしをのかみ)
大綿津見神(おほわたつみのかみ)=海の神
速秋津日子神(はやあきつひこのかみ)
速秋津比売神(はやあきつひめのかみ)
沫那芸神(あわなぎのかみ)
沫那美神(あわなみのかみ)
頬那芸神(つらなぎのかみ)
頬那美神(つらなみのかみ)
天之水分神(あめのみくまりのかみ)
国之水分神(くにのみくまりのかみ)
天之久比奢母智神(あめのくひざもちのかみ)
国之久比奢母智神(くにのくひざもちのかみ)
志那都比古神(しなつひこのかみ)・級長戸辺(しなとべ)=風の神
久久能智神(くくのちのかみ)=木の神
大山津見神(おほやまつみのかみ)=山の神
鹿屋野比売神(かやのひめのかみ)=野椎神(のづちのかみ)
大山津見(おほやまつみ)
(山の神)
鹿屋野比売(かやのひめ)
草野姫(かやのひめ)・野槌神(のづちのかみ)
天之狭土(あめのさづち)
国之狭土(くにのさつち)
天之狭霧(あめのさぎり)
国之狭霧(くにのさぎり)
天之闇戸(あめのくらと)
国之闇戸(くにのくらと)
大戸惑子(おおとまどいこ)
大戸惑女(おおとまどいめ)
神の恵み八神
迦具土(かぐつち)他

舟・五穀・火

鉱山・埴・用水・養蚕・農耕
鳥之石楠船神(とりのいはくすふねのかみ)
=天鳥船(あめのとりふね)
大宜都比売神(おほげつひめのかみ)=五穀の神
火之夜芸速男神(ひのやぎはやをのかみ)
=火之R毘古神(ひのかがびこのかみ)
=火之迦具土神(ひのかぐつちのかみ)


素盞鳴尊は、大宜都比売の吐瀉物を食わされて怒り殺す。
そして、五穀=(米・麦・粟・黍・豆)が生まれる。
=粟/阿波/徳島


伊弉冉尊(いざなみ)は、
火之迦具土神を生んで陰(ほと)を焼かれて死ぬ。
吐(たぐり)・糞・尿に生りて、次の神が生まれる。

金山毘古神(かなやまびこのかみ)=金山彦(かなやまひこ)
金山毘売神(かなやまびめのかみ)
波邇夜須毘古神(はにやすびこのかみ)
波邇夜須毘売神(はにやすびめのかみ)=埴山姫(はにやまひめ)
弥都波能売神(みつはのめのかみ)=罔象女(みつはのめ)
和久産巣日神(わくむすひのかみ)
豊宇気毘売神(とようけびめのかみ)


日本書紀では、次の神を生む。
天吉葛(あまのよさつら)=瓢箪(ひょうたん)
倉稲魂(うかのみたま)=穀物を貯蔵した倉の神
(くらいね?=享ける・たべる?)
火神被殺
御刀より成れる八神
泣沢女(なきさわめ)伊弉諾尊(いざなぎ)は涙したとき、
香山(かぐやま)の畝尾(うねを)の木の本に生まれる。
伊弉冉尊(いざなみ)は、
出雲国(いずものくに)と伯耆国(ははきのくに)の堺の、
比婆(ひば)の山に葬られる。
石拆(いはさく)
根拆(ねさく)
石筒之男(いはつつのを)
伊弉諾尊(いざなぎ)が、はかし(腰に帯び)た、
十拳剣(とつかつるぎ)で、迦具土(かぐつち)の頸(くび)を斬った。
(日本書記では三つに斬られる。)

御刀(みはかし)の前(さき)につける血、
湯津石村(ゆついはむら)に、たばしりつきて生れる。
甕速日(みかはやひ)
樋速日(ひはやひ)
建御雷之男(たけみかづちのを)
剣のつばからしたたる血から生まれる。

古事記では、
建御雷之男神(たけみかづち)
=建布都神(たけふつのかみ)
=豊布都神(とよふつのかみ)
闇淤加美(くらおかみ)
闇御津羽(くらみつは)
御刀の、手上(たがみ・柄)に集まれる血、
手俣(たなまた)より、漏(くき)出でて生まれる。

日本書記は、加えて「闇山神(くらやまつみ)」
経津主(ふつぬし)日本書紀では、剣の刃からしたたる血が、
天の安川のほとりの多くの岩群になる。
岩群は、経津主(ふつぬし)の祖。
迦具土より成れる八神
正鹿山津見(まさかやまつみ)
淤縢山津見(おどやまつみ)
奥山津見(おくやまつみ)
闇山津見(くらやまつみ)
志芸山津見(しぎやまつみ)
羽山津見(はやまつみ)
原山津見(はらやまつみ)
戸山津見(とやまつみ)
刀(たち)の名は、天之尾羽張(あめのをはばり)
=伊都之尾羽張(いつのをはばり)
以降、主要な神の名前
大己貴
(おおなむち・おおあなむち)

天津彦火瓊瓊杵
(あまつひこほのににぎ)

彦火火出見(ひこほほでみ)

饒速日(にぎはやひ)
大己貴=大国主命(おおくにぬし)・大名持(おおなもち)

天邇岐志国邇岐志天津日高日子番能邇邇芸
(あめにきしくににきしあまつひこひこほのににぎ)

天津日高日子波限建鵜草葺不合
(あまつひこひこなぎさたけうがやふきあえず)の子

天津日高日子穂穂手見(あまつひこひこほほでみ)

天照国照彦天火明櫛玉饒速日
(あまてるくにてるひこあめのほあかりくしたまにぎはやひ)
または、〜櫛甕玉饒速日(くしみかたまにぎはやひ)






ここまでの考察



むち」を持つ名前は、二柱のみ。
大日靈貴(おおひるめむち)=天照大神(あまてらすおおみかみ)
大己貴(おおなむち・おおあなむち)=大国主命(おおくにぬし)

しかし、どちらも神格は最上級である。
弥生時代以前の、神の名前のなごりであろう。


あめ・あま」は、名前の後には付かない。
あめ・あま」は、新しい時代に、後から作られた完全な美称で、
ほとんど名前の前に付くもので、後に付くことは珍しい。
もともと神を表す名では無かったということ。

あめ」を名前付けた最初の天皇は、欽明天皇である。西暦540年頃。
天国排開広庭天皇(あめくにおしひらきひろにはのすめらみこと)=欽明天皇


神代国生み・神生み神話で、「ひこ・ひめ」の付く神の名前は限られる。
宇摩志阿斯訶備比古遅尊(うましあしかびひこぢのみこと)
讃岐国(さぬきのくに)=飯依比古(いひよりひこ)
伊予国(いよのくに)=愛比売(えひめ)
粟国(あはのくに)=大宜都比売(おほげつひめ)=大宜都比売神(おほげつひめのかみ)=五穀の神
津島(つしま)=天之狭手依比売(あめのさでよりひめ)
小豆島(あづきしま)=大野手姫(おおのでひめ)
石巣比売神(いはすひめのかみ)
速秋津日子神(はやあきつひこのかみ)
速秋津比売神(はやあきつひめのかみ)
鹿屋野比売神(かやのひめのかみ)=野椎神(のづちのかみ)
志那都比古神(しなつひこのかみ)・級長戸辺(しなとべ)=風の神
波邇夜須毘売神(はにやすびめのかみ)=埴山姫(はにやまひめ)
金山毘古神(かなやまびこのかみ)=金山彦(かなやまひこ)

ひこ・ひめ」は、弥生・鉄器時代を迎えてから作られた美称。
金山彦(かなやまひこ)以前の古代には、「〜ひこ」を名乗った神はいなかったと思われる。
他の「ひこ・ひめ」を持つ主要な産物の神は、以下の五穀の神、二柱が考えられる。

宇摩志阿斯訶備比古遅尊(うましあしかびひこぢのみこと)=美し葦穂彦地?
粟国(あはのくに)=大宜都比売(おほげつひめ)=大宜都比売神(おほげつひめのかみ)=五穀の神

これらは、五穀豊穣を祀る神道が整備され、
ひこ・ひめ」という言葉が、「男・女」という意味を持った時代に設定された名前と思われる。
伊弉諾尊(いざなぎのみこと)・伊弉冉尊(いざなのみのみこと)は、「ひこ・ひめ」と呼ばれない。


創世神話に、「にぎ」の付く神はいない。
にぎ」という美称は、新しい時代のもの。
古代神ではなく、征服者である大王家に直結する人物の名前と考えられる。
瓊瓊杵(ににぎ)」「饒速日(にぎはやひ)」。

ひこ+ほのににぎ」と名乗っても、「にぎ〜ひこ」という神はいない。
にぎ」よりも「ひこ」の方が新しく、尊称としての格が上だからである。
ひこほほでみ=神武」の方が、始祖の「ひこほのににぎ」よりも、
時代が新しい名前ということであり、神話の系譜通りである。

しかし、神武を含めて、天皇の名前に「にぎ」を持つものはいない。
「に(瓊)」の字だけ、孝霊天皇(おおやまとねこひこふとに)の「に」と同じ。
神武の始祖と言われる「ひこほのににぎ」と、
ひこほほでみ=神武」は、系統が違う王朝なのかも知れない。
饒速日(にぎはやひ)」こそ、「瓊瓊杵(ににぎ)」に近い系譜と思われる。

にぎ」王朝=高天原の天津神は、
神武の始祖に関わるかも知れないが、
天皇の系譜からは、消滅したか、それ以前の王統。



そして、「ひこ」の尊称を持つ王が大和を支配する。

ひこ」を名前に持つ天皇は、以下の通り。

神武天皇(かむやまといわれひこ)=彦火火出見(ひこほほでみ)←始馭天下之天皇(ハツクニシラススメラミコト)
綏靖天皇(かむぬなかわみみ)←アマテラスの長男はアメノオシホミミだが……
安寧天皇(しきつひこたまてみ)←「てみ」は、ホホデミの「てみ」系統か?
懿徳天皇(おおやまとひこすきとも)
孝昭天皇(みまつひこかえしね)
孝安天皇(やまとたらしひこくにおしひと)
孝霊天皇(おおやまとねこひこふとに)←「に」は、ニニギの「瓊」
孝元天皇(おおやまとねこひこくにくる)
開化天皇(わかやまとねこひこおおひひ)←この時代まで、葛城に都を置く。 後に、磯城に遷都。
崇神天皇(みまきいりひこいにえ)←御肇国天皇(ハツクニシラススメラミコト)・箸墓古墳造営の記述(3世紀?)
垂仁天皇(いくめいりひこいさち)
景行天皇(おおたらしひこおしろわけ)
成務天皇(わかたらしひこ)
仲哀天皇(たらしなかつひこ)
|


仲哀天皇が筑紫で死に、神功皇后が新羅征伐に向かい、誉田別(ほむたわけ)=応神天皇を産む。
仲哀天皇の皇子、香坂王(かごさかのみこ)と、忍熊王(おしくまのみこ)は、策謀を計るも討たれる。
かこ・くま」は、このコラム的には、滅ぼされる側を指す言葉。 偶然だろうか?
また、このコラム的には、「ひこ」は、矛を携えた戦士の名前=軍事政権となる。


考古学的には、銅矛・銅鐸文化は、弥生時代終わりに消滅する。
4世紀には、古墳時代が始まる。
崇神天皇が、銅矛・銅鐸文化の祭祀を終わらせ、王による中央集権化に向かった?
ひこ」は、その後も王の尊称として使われた?


ひこ」王朝もまた、王統から消滅してしまった。
神功皇后(おきながたらしひめ)・応神天皇(ほむた)以後、「ひこ」の尊称は消える。
予断は許されぬものの、なんらかの政権交代を感じさせる。

|
神功皇后(おきながたらしひめ)
応神天皇(ほむた)
|


そして、応神天皇の一族が、大和を支配していった。
三輪から河内へ権力が移る。 5世紀へ。


歴史的には、「倭の五王」の時代となる。
はたして、「倭の五王」とは何だったのか?
どこの王統だったのか?


|
仁徳天皇(おおさざき)
履中天皇(いざほわけ)
反正天皇(みつはわけ)
允恭天皇(おあさづまわくごのすくね)
安康天皇(あなほ)
雄略天皇(おおはつせのわかたけ)
清寧天皇(しらかのたけひろくにおしわかやまとねこ)
顕宗天皇(をけ)
仁賢天皇(おけ)
武烈天皇(おはつせのわかさざき)←仁徳天皇の皇統はここで終わる
継体天皇(おおど)←越前国出身の、応神天皇の子孫
安閑天皇(ひろくにおしたけかなひ)
宣化天皇(たけおひろくにおしたて)
|


越前国出身の継体天皇は、樟葉宮で即位後、山城の筒城・弟国に宮処を移し、ニ十年後に大和へ。

次に、「あめ」を名乗る天皇が現れる。
大化改新以後、「」を持つ天皇が続く。

|
欽明天皇(あめくにおしひらきひろにはのすめらみこと)←父は越前国からきた継体天皇・仏教伝来(552年)
敏達天皇(ぬなくらのふとたましき)←蘇我氏の影響強まる・物部氏と抗争
用明天皇(たちばなのとよひ)
崇峻天皇(はつせべ)
推古天皇(とよみけかしきやひめ)←遣隋使を出す(小野妹子・607年)朝鮮半島から大陸外交へ・仏教興隆の詔
舒明天皇(おきながたらしひひろぬか)←遣唐使を出す(630年)
皇極天皇(あめとよたからいかしひたらしひめ)←大化改新(645年)孝徳天皇即位
孝徳天皇(あめよろずとよひ)
斉明天皇(あめとよたからいかしひたらしひめ)←阿倍比羅夫の蝦夷征伐(658・660年)
天智天皇(あめみことひらかすわけ)←白村江の戦い(663年)唐の百済鎮将・郭務宗等、来日
(弘文天皇)←壬申の乱(672年)
天武天皇(あまのぬなはらおきのまひと)←出生は謎? 陰陽寮、占星台設置など外国文化に強い
持統天皇(たかあまのはらひろのひめ)←天武の息子・舎人親王に日本書記編纂を命ず
|

(日本書紀による)




つづき
いかがかな? 天皇や神の名前だけ考察しただけで、古代に何があったか透けて見えてくるではないか。
それは、歴史上の事実とも、奇しくも一致しておるように見える。
かおる
一応、古代の王の名前が、わりあい正確に伝わっているという前提においてですね?

つづき
応神天皇以前の王が、ほとんどきちんと「ひこ」の名前を踏襲しておる。 「あめ」も入れておらぬ。
後世の適当な捏造とは思えぬな。
かおる
欠史八代の王も、王統が違っていたことはあるかも知れませんが、
実在していた可能性も大きいということですか。
つづき
しかも、魏志倭人伝に書かれてる人物名とも符号しておる。
こんなふうにじゃ。



ニキヒコミミタマ」は、古代の階級名か?

天皇名神話魏志倭人伝
神武天皇
=彦火火出見
(ひこほほでみ)


神武天皇の諱(ただのみな)は、
彦火火出見
(ひこほほでみ)
瓊瓊杵
(ににぎ)
日子穂穂手見
(ひこほほでみ)


天津日高日子穂穂手見
(あまつひこひこほほでみ)
天孫降臨した瓊瓊杵(ににぎ)の子。
孫は神武天皇。
爾支(にき)
柄渠觚(ひここ)


伊都国の官は、「爾支(にき)」
副官は、
「泄謨觚(しまこ)・柄渠觚(ひここ)」

「ニキ」の下に「ヒコ」という階級。
綏靖天皇
=神沼河耳
(かむぬなかわみみ)


神武天皇の2代目。
天忍穂耳
(あめのおしほみみ)


天忍穂耳の別名は、
正哉吾勝勝速日天忍穂耳命
(まさかあかつかつはやひあめのおしほみみ)
天照大神と素戔嗚(すさのを)の
誓約(うけひ)で生まれた。

子は、饒速日(にぎはやひ)と瓊瓊杵(ににぎ)
中つ国の支配を、
瓊瓊杵(ににぎ)の子孫に譲る。
彌彌(みみ)
彌彌那利(みみなり)


水行二十日で着く、
投馬国の官・副官
安寧天皇
=師木津日子玉手見
(しきつひこたまてみ)


神武天皇の3代目。
「てみ」は、
「ホホデミ」の「てみ」か?
玉饒速日(たまにぎはやひ)
天太玉(あめのふとたま)
豊玉姫(とよたまひめ)
玉依姫(たまよりひめ)


天太玉は、占いの神
忌部(いむべ)氏の祖。

豊玉姫・玉依姫は、
大綿津見(おほわたつみ)の娘で、
神武の母系。
多模(たま)

不弥(ふみ)国の官は多模(たま)
副官は卑奴母離(ひなもり)


神話では、アマテラスとスサノヲのウケヒの子として、アメノオシホミミが生まれる。
その子の、ニギハヤヒと、ニニギは兄弟。
天孫降臨を、ニニギに譲っている。
ニニギの子が、ヒコホホデミ。その孫が神武天皇で、実名がヒコホホデミという。

「ニキ・ヒコ・ミミ・タマ」には、古代の階級を感じさせる。
あるいは、「ヒコ」が、軍事を束ねて進軍と防衛にあたる将軍で、「ミミ」は、政治的指導者かも知れない。




古代社会と王の名前のまとめ
むら
村・元・本(もと)
本つ国
さと
里・外(そと)・沢(さは)
外つ国
なか
中・仲→和
中つ国
ふち
淵(ふち)→内(うち)
内つ国
うましくに
美し国(うましくに)
秋津州(あきつしま)
国家形態
むち
睦(むち)・尊(みこと)
婿むこ・御子(みこ)
すく
少(すく) ・庄?・下
皇(すめら)・統べる
にぎ
饒(にぎ)
ひこ
彦(ひこ)
あまつかみ
天(あま)・上(かみ)
現つ神(あきつかみ)
王の尊称
おおなむち(大己貴)
かみむすひ
(神皇産霊尊)
たかみむすび
(高皇産霊尊)
(神代)
しこを(葦原醜男)
すくな(少彦名)(神代)
すくね(宿禰)(上代)
ににぎ(瓊瓊杵)
(神代)
にき(爾支)
なかて(佳革是)
(魏志倭人伝)
ひく(卑狗)
(魏志倭人伝)
くにつかみ(国つ神)
あまつかみ(天つ神)
おおきみ(大王)
(上代)
実例

天津彦彦火瓊瓊杵尊(あまひこほのににぎみこと)」は、
古代からの王の尊称を並べたものだった!
(「すく」は、「しもべ」として統べられる意味に格下げになったので、除外されている)
(「」は、銅矛文化圏の「火の国(肥の国)」の尊称を受け継いだものと思われる)
参考コラム


加えて、「ミミタマ」という階級も存在した?






かおる
おお・やまと・ねこ」という美称も何度も使われてますね? 「おお・たた・ねこ」という神もいますし、
」は、「」に通じますから、「大和に根ざした王」という意味でしょうか?
つづき
いやいや、かおる君。 わしは、もっと重大な事実に気づいたぞよ!

かおる
え? な、なんですか?

つづき
聞きたいかね? わしの大発見を。

かおる
大発見? ええ、まあ。 聞きたいです〜。 何を、もったいぶってるんですか?

つづき
よかろう。 では、耳の穴をかっぽじってよく聞くがよい。

かおる
どきどき……。 何かな? 何かな?
 
つづき
わしの大発見、それは……。













ネコ(猫)の名前は、
古代の貴人の尊称だったっ!!!

例→「ミミタマ






かおる
うひゃ〜。

つづき
」をなぜ、「ねこ」と言うのか、これまで謎とされておったが、
なんのことはない、古代の貴人からとった名前じゃったということじゃ。

犬を「ワン公」と呼ぶのと、同じ原理じゃ。
猫の名を「ミミタマ」と付ける習慣があるのは、
可愛さのあまりに、貴人の名前で呼んだからであろう。
う〜む。 なんとすばらしい洞察力!

古代の宮中では、大王が側近を指して、
ネコミミタマ」と、呼んでいたのじゃ。
きっと「みずら」を垂らし、 権威付けの「勾玉」飾りをしておったじゃろう。












←みみ




失われた古代王権の系譜は、
身の回りで、ひなたぼっこをしておる、
ネコ」の名前に受け継がれておったわけじゃ!


かおる
じゃ、「イヌ(犬)」は?

つづき
え?
















付録・年表




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