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謎の縄文族「ミカソ」


November.4.2004





つづき
というわけで、前回までのように、三日月・甕星・みかやまなどの語幹となっている「みか」が、
古来より重要な意味を成していた語句じゃったと判明したわけじゃな。
かおる
う〜ん。 でもやっぱり、こじつけっぽいような気もしますけどね〜。
みか」って聞きなれない言葉だし、そんなに古代史のキーワードとして重要なら、
もっと昔から研究されていてもよかったのでは?
いままで誰も注目してなかったということは、
それほど「みか」に、重要な意味なんか無かったということでしょ?

百歩譲って「みかやま」が存在したとしても、
ただの地名じゃないですか。


つづき
今まで、「みか」の意味について研究されて来なかったというのは、わしも不思議に思うのお。
が、ちょっと調べてみれば、たちどころに天皇家の根幹に直結する語句であることがわかるのじゃ。
かおる
またまたそんな、大げさな〜!

つづき
かおる君は、「ミカソ」という民をしっておるかな?
ミカド(帝)」にも通じる、「ミカ」と呼ばれていた部族の名じゃ。
かおる
ミカソ」? なんですかそれは? また熊襲(くまそ)に引っかけたダジャレですか?

つづき
ダジャレとは嘆かわしい。 きちんと文献にも残っている言葉じゃ。

かおる
どれどれ……ちょっとネットで検索してみますね……ええ〜と。
あっ、日本書紀の石上神宮のくだりに、甕襲(みかそ)の記述が!



謎の甕襲(みかそ)という人


垂仁紀・石上神宮

昔、丹波国の桑田村に名を甕襲(みかそ)という人がいた。
甕襲の家に犬がいた。 名を足往(あゆき)という。
この犬は、山の”むじな”を食い殺した。
獣の腹に、八尺瓊の勾玉があった。
それを献上した。
この宝はいま石上神宮にある。


備考:石上神宮は、十種の瑞宝、七支刀が伝えられた神倉・武器庫である。
石上神宮を氏神として祀り、管理してきたのは、物部氏である。





ちなみに、南総里見八犬伝では、風を操る謎のアイテム「甕襲の玉」として登場する。





つづき
どうじゃね? 甕襲の意味がわかったかね?


垂仁天皇に、八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)を献上した者が、
丹波の国を支配していた甕襲(みかそ)なのじゃ。

「まがたま」は、縄文文化のアクセサリーであり、
縄文時代からの伝統を受け継ぐ古い部族の宝なのじゃ。
彼ら縄文系部族が、「みかそ」と、呼ばれていたということじゃ。


かおる
ほほぉ?

つづき
八尺瓊勾玉」は、三種の神器の一つに数えられ、今でも宮中に大切に保管されておる。


このような重要なアイテムを献上した「みかそ」が、
古代で意味を持っていなかったということはありえまい!


かおる
なるほど〜、確かに、三種の神器のひとつに、甕襲が関わってるとなると、偶然とは言えないかも?
それにしても、「甕襲」でネット検索してもヒット数は少ないですね〜。 マイナーすぎ!
つづき
いままで甕襲は、ただの丹波の田舎者じゃとしか思われておらなんだのじゃろうな。
みか」が、重要な言葉じゃと気づけば、古代史のダークホースとして見過ごせぬはず。
かおる
注目されなかったのは、やっぱり他の文献にも、
豪族のような存在などで登場してこなかったからでしょうか?
つづき
甕襲と、つながりを感じさせるものといえば、天津神と対立した、
天津甕星(あまつみかほし)・天香香背男(あまのかかせを)くらいのものじゃな。

文献が少ないのは、あるいは大和朝廷によって消されたということも考えられよう。
記述が少なく、物語的にも面白く無かったために注目されることも無かったのじゃろう。
スサノヲのヤマタノオロチ退治のような、ダイナミックな物語であったなら、
甕襲も、もっと古代史の中で注目されておったはずじゃ。


かおる
そういえば、出雲神話とも似てますね?
退治したヤマタノオロチの尾から天叢雲之剣(草薙剣)を取り出したストーリーと。
つづき
出雲神話と同じように、古代、甕襲という縄文系種族が、大和朝廷に忠誠を誓う証として、
八尺瓊勾玉を献上したということじゃろうな。

神話というのは、所詮作り話。
その奥の真実を探るという意味では、たとえ短いエピソードでも、
甕襲(みかそ)が、八尺瓊勾玉を垂仁天皇に献上したという記述は無視できぬはずじゃ。
それが、ただの宝物の一つならまだしも、三種の神器の一つにまでなったということは、
甕襲(みかそ)の勾玉が特別なものだったとしか考えられぬ。
つまり、甕襲(みかそ)が、古代において、製鉄の出雲に並ぶ、特別な玉造の部族じゃったということじゃ。


縄文時代より珍重されていた「タマ(玉)」といえば、糸魚川産のヒスイじゃろう。
その上流には諏訪があり、古事記で言う出雲の国譲りで敗れたタケミナカタが逃げ延びた地とされるな。
そのあたりは、縄文時代の黒曜石の産地でもある。
日本海側の縄文民族文化の繋がりを感じさせるのお。

アマテラスが、葦原中国の平定に遣わした神も、刀剣と雷神のタケミカヅチと言う。
カグツチ(火の山=かまど=みか)から生まれた神じゃ。
出雲大社の御祭神大国主大神の別名もまた櫛魂神と言う。
物部氏の祖と伝えられるニギハヤヒも、櫛玉饒速日尊と言うのじゃ。
(櫛甕=クシミカ=奇し御輝=神秘的に神々しいこと)


彼ら縄文系先住民が、「ミカ」の秘密を握っておるのじゃ!



かおる
秘密とは?

つづき
なぜ、甕襲(みかそ)と、帝(みかど)は、同じ「みか」を語幹にしておるのか?
なぜ、逆さに読むと、かみ(神)になるのか?
かおる
それは、ただのダジャレでしょう〜。







付録・年表




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