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超古代の古文法(助詞編)


August.24.2004





かおる
おや? 完結したんじゃ、なかったんですか?(苦笑)

つづき
わしも、そろそろケリを付けたいと思っていたのじゃが、
まだ、助詞が残っていたからのお。
かおる
助詞も、種類が多くて大変なんじゃないですか?

つづき
種類が多いといっても、音だけ見れば、それほどでもないぞよ。
主なものは、こんな感じじゃ。

が・の・に・を・へ・と・より・よ・ゆ・ゆり・から・にて・
ば・と・とも・ど・ども・も・て・して・で・つつ・ながら・
は・も・ぞ・なむ・こそ・や・か・だに・すら・さへ・のみ・ばかり・など・まで・し・
な・そ・がな・がも・てしか・にしが・かな・かも・かし・なむ・ばや・ね


かおる
なんか、いっしょくたにしてますが、古語辞典にもあるように、助詞にも、
格助詞・接続助詞・係助詞・副助詞・終助詞・間投助詞と、分かれてるんですけど?
たとえば、格助詞の「が・に・を」と、接続助詞の「が・に・を」は、違うんです。

つづき
じゃから、それは、後世の国語学者が、細かく分類しちゃったものであって、
古代では、必要に応じて語句に接続していたはずのものなのじゃ。
文法上の厳密な掟など存在しなかったじゃろう。
わしが例に挙げた中でも、「にて」は「に+つ+e」であり、「つつ」は、「つ+つ」であったはずじゃ。
」は、また、完了の助動詞でもあるわけじゃが、
古代には、「津・個」など、意味の有る単語であり、転じて、文章を締めくくるときに使われたりしたのじゃろう。
」は、であり、漁場のことじゃ。 そこでするものが、「釣り」であろう。
魚が、釣れるたびに、「ひとつ、ふたつ」と数えたはずじゃ。
魚を、「輪(わ)」に「あつめ」て、一網打尽にするのが、「罠(わな)」なのじゃ。
そういう語源の解説を、辞典でちゃんと紹介せぬから、
わしは、今、こうして毎日、古語辞典とにらめっこするハメになっておるのじゃ。

かおる
だって、そ〜ゆ〜確かな証拠が無いものを、語源だなんだと、
辞書に載せたり、学校で教えられませんよ?
そうやって、語呂合わせの思いつきで語源らしきものを探ってみたりしてることこそ「予断」と言うのでは?
いや、余談かな? あははははははは。

つづき
証拠は、「無い」のではない。 「見つける」ものじゃ。

かおる
は……、そ、そうですね……。

つづき
よろしい。 では、助詞に使われている語句を書き出してみるとしよう。




助詞を一語づつ、母音に分けてみる表
語句が含まれる助詞
が・から・ながら・ばかり・がな(かな)・がも(かも)・こそ・てしか・にしが・かし
して・こそ・すら・さへ・し・そ・てしか・にしが・かし
だに・と(ど)・とも(ども)・にて・して・で・つつ・など・てしか
に・にて・ながら・なむ・だに・のみ・など・がな(かな)・なむ・ね
へ・ば・は・さへ・ばかり・ばや
まで・とも(ども)・も・なむ・のみ・かも(がも)
ゆ・ゆり・や・よ・より
より・ながら・すら・ばかり





かおる
べつに、法則性らしきモノは無いみたいですね?

つづき
さにあらず。
まず、「」は、「すら」の一語だけじゃ。
これは、むしろ、「する+a」であり、「する」の未然形?と見るべきじゃろう。
」は、完了の助動詞「」の使いまわしに違いない。
」は、「な+む」であって、これも助動詞の姿を変えたもじゃ。
ゆ・ゆり」は、「よ・より」の訛ったものじゃろう。
これで、「段」は消え去った。

より・ばかり」の、「」も完了の助動詞であり、
ながら」も、「る+a」で、「ながる」未然形じゃと考えれば、「ら行」が消えるのじゃ
て・ね」は、「」母音を語尾に付けた、完了の助動詞「つ・ぬ」がそれぞれ原形じゃろう。
」は、「ふ+e」であり、元の意味は、「〜の「腑(ふ)・物体・事象」に関係して〜」ということじゃが、
現在の格助詞と、捉えてよいじゃろう。 「」は、接続助詞じゃな。
」も願望を表すわけじゃから、完了の助動詞「」の(柔らかい)命令形と考えても、似た様な意味じゃろう。
ようするに、「段」は、語句と語句の関係を示す接続語じゃ。
それが、上代の頃には、「て・へ」が単独で助詞の役目を果たすようになったのじゃろう。

」これは、「」の連用形じゃろう。
」これも、打ち消しの助動詞「」の連用形が、ちょいと語彙を変えたものじゃ。
に・にて」という語句は、「〜に、以外の状態を打ち消す」ことじゃ。

」これは、「のみ」のみじゃ。
〜の、実」という意味の熟語じゃろう。
これで、「i段」も消え去った。

では、あらためて、表を見てみるがよい。
表に「あ行」が無いのは、母音を重ねない、というヤマトコトバの特性があるからじゃ。
母音が頭にあっても、前の語句の語尾に吸収されてしまうのじゃな。
現代となっては、助詞の語頭に母音があったとしても、知る術は困難じゃろうて。




古代の助詞じゃないかも知れない語句をはぶいた表
語句が含まれる助詞熟語・助動詞・「て」・「へ」
が・から・ながら・ばかり・がな(かな)・がも(かも)・
こそ・てしか・にしが・かし
こそ・さへ・そして・すら・し・てしか・にしが・かし
だに・と(ど)・とも(ども)・などにて・して・で・つつ・てしか
ながら・なむ・のみ・など・がな(かな)・なむに・にて・だに・ね
ば・は・ばかり・ばやへ・さへ
まで・とも(ども)・も・かも(がも)なむ・のみ
や・よ・よりゆ(よ)・ゆり(より)
より・ながら・すら・ばかり





つづき
こうして見ると、「a・o」母音に集中しているように見えるじゃろう?
i・u・e」母音は、動詞が活用するために、使われておるのじゃから、当然かも知れぬ。
」母音に属する語句は、代名詞が多いようじゃ。
むしろ、「」母音の語句は、古代では代名詞として、モノを指し示す意味に使っていたのではないじゃろうか?
る・れ」「u+る・u+れ」が付くと、関係した動詞になるのじゃ。
単純な語呂合わせでは無いことがわかるじゃろう。



単語に「る」を付けて、動詞にしてみた表1
」母音語句意味動詞になっても同じ意味 「+る・+れ」「u+る・u+れ
あ (代名詞)存在するものある・あれ(有る)
うる・うれ(売る)
か (代名詞)場所・処・どこか狩る・狩れ(場所で行うこと)
くる・くれ(途方に暮れる)
さ (代名詞)目下の代名詞・「いく(さ)」去る・去れ(敵や他人を追い払う)
する・すれ(人手を使う)
た (代名詞)誰・〜の為にたる・たれ(手がたりるという)
つる(釣る)・つれ(連れ)
な (代名詞)汝・尊称・名声があることなる・なれ(大物になれという)
ぬる(責任転嫁)・ぬれ(濡れ衣)
は (係助詞)張る・ふくらむ・はるか・方角はる・はれ(春は、来るもの・晴れ)
ふる(天の腑から降る)・ふれ(〜方角に振れという)
(はれがましい・胸を張る)
ま (接頭語)真・完全であること丸・まれ(稀・完全なものは少ない)
むる・むれ(丸く群れる様子)
や (名詞)数の多いこと
やほよろず(八百万)
やる・やれ(数が多いから)
ゆる・ゆれ(木の葉が揺れる様子)
ら (動詞)動詞・「り」の未然形
接尾語(多く有るもの)・奈良
多く可能性があるもの=未然形
「ら」から、未然形が発展した?
らる・られ(動詞になっても動詞)
るる・るれ(動詞になっても動詞)
わ (代名詞)わる・われ(人を指して言う)
WUる・WUれ(うりゃ〜、と言う)


つづき
そして、「」母音じゃが、これは、動詞で使われるのは「来(こ)」のみじゃ。
こそ」は、数ある選択肢の中から、一つ選び出すという意味じゃが、
それを、招きよせる=来さす、それ=来させるぞ」という意味ではないか?
我こそ」と、言った場合、「我は、来たぞ」という意味になるわけじゃ。
古典文法では、係り結びがどうのと煩い掟があるが、おおもとの意味は同じなのじゃ。

いや、「係り結び」こそ、実は、
古代の日本語文法が、SVOからSOVに変化したという証拠かも知れぬ。
その件は、またいづれ検証することにしようぞ。

かおる
それを、ただの「思いつき」といいます。

つづき
というわけで、残る「そ・と・の・も・よ・を」こそが、
真の意味の助詞として働いていたように見えぬかね?
無論、「」も、例外ではなく、古代では助詞の一つで、後に動詞化したことも考えられよう。
そのように、動詞の種類が増えていった様も、読み取ることが出来そうじゃ。



単語に「る」を付けて、動詞にしてみた表2
」母音語句意味動詞になっても同じ意味 「+る・+れ
お (接頭語)御・恩
ありがたいもの
おる・おれ(織る・下る)
こ (係助詞)来(こ)こる(古代の言い方?)・これ(代名詞)
そ (係助詞)年長者の代名詞・背中
(文末に付けて威厳を出す?)
そる・それ(背中が反る・おそれる)
と (格助詞)共に・とも(友・供)とる・とれ(取る)
(共に、取って、我がものとする)
の (格助詞)所有・荷のる・のれ(〜に乗る)
ほ (名詞)憧れる
惚・炎・百・秀・掘
ほる・ほれ(惚る・掘れ)
炎に見惚れる
穴を掘ることは誇らしいこと?
(井戸・環濠・竪穴住居)
も (接続助詞)面・方向もる・もれ(面の上方向に盛る)
よ (間投助詞)年長者の代名詞
「余は満足じゃ」
よる・よれ
「近こう寄れ」
ろ (間投助詞)感動を表すろる・ろれ(感動は動詞にならない?)
を (格助詞)畏敬するものの代名詞
をか(陸)・をがむ(拝む)
をる・をれ(波が折り重なる)


かおる
なんだか、無理やりな感じが無くもないですが。

つづき
」等は、助詞ではないが、これは、
語句と語句をつなぐ助詞として使われる頻度が少なかったからじゃろう。
語句と語句をつなぐ頻度が少なかった、ということは、
逆に主語・述語として重要な語句じゃったということじゃ。
最初の表で、抜けていた語句も、同じように、重要な語句じゃったと考えられるのじゃ。
古代の重要語句が、浮き彫りになって来るじゃろう?




助詞用語以外の、重要な語句表
備考
」=「」/「」=「」/「」=「」/「」=「」/「」=「下・恩
」=「」/「」=「」/「」=「
」=「
」=「
」=「」(打ち消し・否定)
ひ・ふ・ほ」=「日・降(腑)・惚
」=「目・見・姿
」=「(麻呂)」(感動を表す語句)
WU」=「」/「」=「」/「」=「




かおる
適当に、漢字を当てただけなんじゃないですか〜?

つづき
そう思うなら、「単語に「る」を付けて、動詞にしてみた表1・2」と見比べて、
語彙を確かめて見ると良い。
驚くほど、整然と、語句同士の言葉の意味が似通って並んでおるのがわかるじゃろう。
よいか? ただ、漢字を当てただけではないぞ?

強く意味の通るものや、
「る」を付けて動詞化出来るものだけを拾ってきたのじゃ。


ただ、それだけで、驚くほど共通する語彙が多く見つかったのじゃ。
それは、何を意味するのか?


単語の語彙を均一に定め、動詞を編み出し、文法を広め、
国家の礎を築いた最初の民族の言葉が、
今、目の前に蘇らんとしておるのじゃ!


これぞ、古代大和人の真のヤマトコトバでなくてなんであろう!
次回を待て!






かおる
うわっ! まだ続くのか〜!











付録・年表




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