再び東京を恐怖が覆った。宙に浮かぶ黒い十字架が再び上空に現れたのだ。
そして、カプセルに包まれた十字架にはペギー松山が磔にされている。

「イーグルよ、ペギーはここに預かっている。お前たちの力で彼女を救出してみるがいい。ハッハッハ!」
黒十字総統の笑い声が響き渡る。





総統の挑発に応じるかのようにイーグルの巨大空中母艦バリドリーンが出撃した。

黒十字軍の戦闘機コンドラーが迎撃する。東京上空で激しい空中戦が始まった。


バリドリーンが黒十字軍の注意を引き付けている間に、
反対の方角からミドレンジャーの特殊飛行船バリキキューンが十字架のペギーにゆっくりと近づいていく。

「ペギー、今助けてやるからな!!」
ミドレンジャーが叫ぶ。

バリキキューンがペギーを捕らえたカプセルに近づいて停止した時、
待ち構えていたかのように数機のコンドラーが遥か高空から急降下してきた。


「なにっ!?」

コンドラーは猛スピードで降下しながらバリキキューンに集中砲火を浴びせる。
炎上するバリキキューンからミドレンジャーは小型ロケットブースターで間一髪脱出した。

「ペギー!!」

カプセルはゆっくりと上昇を始めている。


一方、バリドリーンはコンドラーの猛攻を受けていた。

これまで強力な対空兵器でコンドラーをまったく寄せ付けなかったバリドリーンだが、
改良されたスーパーゾルダーの操縦するコンドラーは巧みに弾幕をかいくぐり
ミサイルを振り切ってバリドリーンに攻撃をしかけてくる。

バリキキューンの墜落を受けて自らペギーの救出に向かうバリドリーンの行く手をコンドラーが阻む。


地球の衛星軌道上に浮かぶ黒十字城では総統がバリドリーンの動きを追っていた。

回避行動を繰り返し速度の落ちたバリドリーンめがけて、
大気圏外から黒十字城の粒子ビーム砲が発射される。

紅い空を切り裂いて降り注いだ閃光がバリドリーンの片翼を貫いた。

「このままではバリドリーンが市街地に墜ちてしまう!」

アカレンジャーは黒煙を噴くバリドリーンの機首を東京湾に向けるしかなかった。

ペギーを乗せたカプセルはさらに上昇を続け、夕暮れの空に吸い込まれていった。