シェリルは身をわななかせながら叫んだ。まわりを見渡すと、痴漢たちをとりまく乗客も、その様子を興奮した眼差しで注視している。
 (ああ、こんなことって……。何とか早く精神を集中して、せめて感覚を封じなければ)
 少し集中さえできれば、超能力で全身の感覚を一時的に消し去ってしまうことができる。自らの感覚を消して、この場を何とか耐えきることができれば……。
 シェリルはそう考えて、何とか集中しようとするのだが、乗客達の淫らな責めがそれを妨げていた。その上、身体の内側でかすかに芽生えた性感の残像は、次第にはっきりと形をあらわし、身体の内部で淫らに渦を巻き始めている。この場の歪んだ背徳感が妖しく反転して、密かにシェリルの性感をゾクゾク刺激していた。
 「おねえさん、腰をくねらせて、感じてるんだろ」
 先ほどの高校生が言った。
 「ちがいます、もうやめてっ」
 まるで心を読むかのように、学生に図星を指され、シェリルは再び羞恥に頬を染めた。同時に、パンティの内側にキュンと淫感が起こって、たまらず両腿をきつくこすりあわせる。いつの間にか、シャドウが送った催淫霧もシェリルの下半身を包み込み、知らず知らずのうちに、シェリルを淫欲の淵に誘っていた。
 下半身をまさぐる無数の手。その内の一つがパンティ越しにシェリルの媚唇を捉え、細かい刺激を送りはじめた。ほかの手も負けじと性感帯を刺激する。
 (ああ……どうしよう……)
 口をついて出そうになる喘ぎを必死でこらえる。快楽の渦に呑み込まれてはシャドウの思うつぼだ。痴漢達にもてあそばれながら、シェリルは必死に理性を保ち、反撃の機会を持った。
 こみ上げる悦情に堪えながら、しばし時間が経過し、ふと我に返ると、異様に妖気が高まっていた。シャドウが近づいている証拠である。乗客の誰かに乗り移って直にシェリルを嬲るつもりだろう。シェリルは沸き上がる官能を何とか抑えつつ、気を充実させ、シャドウの位置を必死に探る。
 前方の痴漢に隠れ、こちらを覗いている中年の男。そこから一際強力な妖気が漂っていた。シャドウはその男に身を借りて、こちらの様子を窺っているに違いない。
 (あの男だわ。何とかシャドウを捕捉できれば……)
 霞みがちな意識の中で、シェリルは考えた。その間もシェリルを取り巻く痴漢たちは、更に責めをエスカレートさせている。皆ズボンの下から屹立した肉棒を取り出し、シェリルの下半身に擦りつけている。
 「痴漢されて、感じてるようだな。パンティぐっしょりだぜ、ひっひっひ」
 シャドウが乗り移っているらしい男が語りかけてきた。目の光が他の乗客とは異なる。
 「そんな……」
 否定しようとして、シェリルは言葉を呑み込んだ。ここは相手を油断させた方がいい。
 「こんなふうに悪戯されるのが本当は好きなんだろ。さあ答えろ」
 「………」
 「どうなんだ、気持ちいいんだろ」
 「………は……はい」
 「なら、こう言ってみろよ」
 そう言って、男はシェリルに淫らなセリフを指示する。
 (ばかな……でも仕方ない。ここは相手の言うとおりにしないと……)
 シェリルは激しい屈辱を覚えながらも、男の命令に従う。
 「シ……シェリルに……もっと、悪戯してください。す、すごく…感じるんです……あっ、あン」
 そう言いながら、身体をブルッと震わせる。本当に妖しい性感がこみ上げてきたのだ。



 「そうか、ひっひっひ。ではいいものををやろう」
 そう言って、男は前方の乗客をかき分け、シェリルへと近づく。チャンスだった。男が触れた瞬間に、超能力を使って捕捉することができる。
 男が手を伸ばしてくる。
 (今だわ)
 シェリルが気力をこめようとしたその瞬間、前方の男から妖気が消え去った。そして背後にすさまじい妖気が移る。シャドウがテレポートしたのだ。
 (しまった!)
 「へへ、こっちだ。いいものをやるぞ」
 後ろの男がそう言って、つやつやしたピンクの玉をシェリルの目の前にかざしたかと思うと、即座にそれをシェリルのパンティの内側に滑り込ませた。玉は下腹を滑り落ち、媚肉に密着する。
 シェリルは当惑を感じながらも、すぐに背後の敵を封じるべく精神を集中しようとした。しかし次の瞬間、妖しい性感の衝撃がパンティの内側ではじけた。