特殊部隊S.T.S. 美人超能力隊員シェリル
第1章 痴漢
by 影法師
西暦2999年、大コスモ帝国の首都デルタシティーでは、犯罪組織ネミスが暗躍し、国家までも支配しようと企んでいた。しかし、国は帝国特殊部隊S.T.Sを結成、超能力を身につけた隊員たちを組織し、ネミスの犯罪から市民を守っていた。中にも女性隊員シェリル・エイコ・チェンバレンは、その強力なサイコパワーを駆使し、これまでネミスの幹部らを次々に逮捕していた。
第1章 痴漢
〈デルタ学園の子供たちを誘拐した。返して欲しくば、お前一人で地下鉄デルタステーション19時発下り列車最後尾に乗れ。逆らったり、他の隊員に知らせた場合、子供の命はない。〉
ネミスの首領、魔導師シャドウは卑怯にも小学生を誘拐し、そうしたメッセージを、子供達が写った画像付きのEメールで直接、特殊部隊のシェリルのもとに送りつけてきた。
危険にさらされている子供たちを、このまま放っておくわけにはいかない。罠と知りつつ、シェリルは単身、地下鉄に乗り込むことにした。
列車の中は移動する余地のないほどの満員だった。やつらは一般人の姿に変身して潜り込んでいるに違いない。周囲に気をつけ、シャドウやその手下がいないか確かめる。ここには怪しい乗客はいないようだ。乗り込む人の波に乗って、シェリルは車両の真ん中へと進んだ。
列車が動き始める。シェリルは辺りに注意を払いながら、敵の出現に備えた。とその時、背後から何者かが、レザーのタイトスカートに包まれたシェリルのヒップに触れてきた。
(来たの?)
自由に身動きがとれない車内で、何とか身をひねり、背後を確認する。シェリルに触れたのは、サラリーマン風の若い男らしい。
(ネミスの気配は感じられない。それならただの痴漢?)
どう対処したものか考えていると、今度は前からも横からも、複数の手がシェリルの身体に触れはじめた。ふり払うように身体をくねらせながら、シェリルは周りの乗客を見回す。
(しまった!みんなシャドウの催眠術にかかっている)
周囲の気をテレパシーで読みとり、シャドウや手下の接近に備えていたが、普通の乗客にまで警戒の網を張ることを怠っていた。
まわりの乗客は、何かに操られるように、執拗にシェリルの身体へと手を伸ばしてくる。何とか避けようとするが、無駄のようだ。車内にいる全員がシャドウの術に完全に支配されているらしい。
すると強い気配とともに、車内が薄暗くなり、どこからともなくシャドウの声が聞こえてきた。
「シェリルよ、シャドウのもとへよく来た」
「出たわね。乗客を操るなんて……卑怯なっ」
周りの手から必死に逃れながら、シェリルは言った。
「フフフ、乗客達は催眠でみな我が思いのまま。この者達はお前の身体を見ると劣情の虜となる術に落ちているのだ」
そう言われてみると、乗客達の手は明らかに淫らな意図をもってシェリルに触れているのがわかる。ある手は秘部をまさぐろうとし、ある手は胸を揉みしだこうとしている。
「子供達を返してほしいなら、このまま抵抗はせぬことだ。今この列車は時空の狭間にあって、時間が止まっている。30分経てばすべて元通りになって、次の駅へと向かう。それまで、乗客達のなすがままに身を委ねよ、シェリル。さもないと子供達は……」
(ばかな……こんな状態で我慢するなんて)
過去の記憶が蘇ってくる。以前にも電車内でネミスの術に嵌って金縛りに合い、ネミスの戦闘員たちに弄ばれたことがあった。魔術に身を縛られ、執拗に淫らな刺激を加えられたが、危ういところで、術を破って脱出したのだった。シャドウはその淫戯を再現して、自分を堕とそうとしているに違いない。
「よいな、シェリル。乗客達との痴漢プレイを楽しむがいい」
そう言って、シャドウの声はしだいに小さく消えて行った。シャドウの魔術なのか、「痴漢プレイ」と言った淫靡な声の残響が、シェリルの脳裏にしつこくこだまする。と同時に、身体の深奥で、かつて術に堕ちたときの性感の残像がかすかに蘇った。
(いけない……)
その感覚に戸惑いを覚えつつも、何とか落ち着いてシェリルは考えようとした。術を破って乗客の目を覚まさせることは、それほど難しいことではない。しかし今抵抗すると、子供達の身に危害が及ぶかもしれない。ここは素直に従ったふりをして敵の油断を誘い、隙を狙うのが得策だろう。シャドウはどこか近いところで監視をしている。必ずそのうち姿を現すに違いない。その一瞬をとらえれば、捕捉することも可能では……
必死に冷静な思考を働かせようとするシェリルだが、その思考も猥褻の徒と化した乗客の痴漢行為によって断ち切られた。突然誰かがホックをはずしてシェリルのスカートを下ろしたのだ。下着が露わになり、ネチネチと絡みつくようないやらしい刺激が、直にその上を縦横に這い回る。
「へえ、ハイレグの白いレースだ。おねえさん、お洒落なパンティだねえ」
むき出しになったシェリルのショーツに手を這わせながら、左側にいた制服姿の高校生風の少年が言った。おそらくシャドウが魔術で言わせているのだろう。しかしふつうの学生にそう言われて、シェリルは激しい羞恥に襲われる。何とか無数の手を振りほどこうとするが、両手首を誰かに強く掴まれていて動かせない。
「へへ、たまらないボインだ、こうすると感じるだろ」
後ろの男がノースリーブの特殊スーツ越しに、乳房を鷲づかみにして揉みこんだ。
「やっ、やめなさい」
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