「いやっ、何なの………ああっ」 「フフフ、ネミスの淫玉だ。たっぷりと性の愉悦を味わうがよい」 妖気がすっと離れ、再びシャドウ自身の声が聞こえてきた。 妖しい玉は意志を持つかのように媚唇に密着して回転し、そこから全身に、瞬く間にめくるめく快美感が伝播した。いけないと思いながら、シェリルは細腰をうねらせて官能を甘受してしまう。 痴漢達が一段と愛撫の速度を増して、追い込みにかかった。いつの間にか露出させられた双乳がもみくちゃにされ、しこった乳首が揉みつぶされる。びっしょり濡れたパンティ越しに痴漢の手が小刻みに動いて、蠢く淫玉が肉芽に強く押しつけられた。 シェリルの中で淫靡な官能がスパークする。快楽の波が全身を包み込み、理性までも溶かしてゆく。 (ああっ、もう……もう、だめっ) シャドウに悟られてはいけないと頭の片隅で考えつつも、シェリルは抑えきれずに細腰を、そしてヒップを、ブルッブルッと震わせてしまう。 (いやっ、こんな……イっちゃう) シェリルは朱唇を強く噛みしめて声を押し殺しつつ、密かに屈辱のアクメを迎えた。 列車内でシャドウの術に堕ち、不覚にも気をやってしまったシェリルであったが、意外なことにアクメの直後、列車内の呪縛は解かれ、シェリルはあっけなく解放された。乗客達はしばらく気を失った後、先ほどの記憶はすっかりなくして正気に戻った。シェリルは乗客が気を失っているうちに、服装を整え、次の駅に着くと急いで列車外へ出た。 〈よく耐えたな、シェリル。子どもたちは返してやろう。先頭車両に行くがいい〉 車内の呪縛が解かれる瞬間に、シャドウの残していった言葉が頭に残っていた。ふらつきがちになる身体で何とかホームを走り、必死に先頭車両へと急ぐ。まだアクメの余韻が身体に残っていた。しかし幸い、パンティの中に入れられた妖しい玉は、シャドウが去ると同時に消え失せていた。 先頭車両には、シャドウの言った通り誘拐された子供達が、目を閉じて座席に座っていた。近寄って確認すると、ただすやすやと眠り込んでいるだけのようだ。シェリルは心から安堵の溜息をついた。 「みんな、起きなさい。大丈夫?さあ、早くここから出ましょう」 「……うーん、お姉さん、ぼくたちどうしてここに……」 子供達は次々に目を覚ましていった。 「みんな、悪いやつに連れられてここに来たの、だからここを出ましょう」 子供達はみんな怪訝な顔をしている。 「ええー、悪い人じゃなかったよ。だってこんな綺麗なものをくれたもの」 そう言って、一人の男の子がポケットからピンク色の玉を取り出した。 「そ、それは……」 先ほど、シャドウにパンティの中に入れられた淫玉が頭に浮かぶ。 「どうしたの、お姉さん」 「い……いえ、何でも……」 男の子の手のひらの上で玉が不気味な輝きを放ち、すぐに辺りに気だるい妖気が漂いはじめる。シャドウの魔力が籠められたものに違いない。 「ねえ、そ…その玉はね、たいへん危ないものかもしれないの。だからお姉さんに渡して頂戴」 すぐに浄化しないと、子供達にどんな影響が出るかわからない。 「えー、せっかくもらったのにー」 男の子は嫌々ながらといった様子で、しぶしぶ玉を差し出す。シェリルは子供の手のひらから、恐る恐る玉を拾い上げた。即座につまんだ指先から、おぞましいような、しかし甘く痺れるような妖美な感覚が、身体を通りぬけていく。シャドウの淫呪が玉に強く籠められているのだろう。シェリルは震えだしそうになるのを抑えて、ピンクの玉をウエストホルダーに入れた。 (基地に戻ってこれを早く分析して、浄化しないと……) 淫玉の呪力に身を晒すのは危険だが、二度と同じ術に堕ちないためにも、敵の魔力をきちんと分析しておく必要があった。 凛とした美貌をほんのりと上気させているシェリルを見て、子供たちが尋ねる。 「お姉さん、どうしたの。顔が赤いよ」 明らかに身体が淫玉に反応していた。 「大丈夫よ、何でもないの。さあ、行きましょう」 平静を装ってシェリルは言った。 そんな様子を遠方より透視して、密かに窺う二つの影がある。 「シャドウ様、このあたりでもうあの女を捕獲しては?」 ネミスの女幹部ギレーヌが囁く。 「ギレーヌよ、シェリルをあなどるな。これまでもあの女を侮って、次々と我が方の有能な幹部たちが捕らえられてきたではないか。シェリルの超能力を甘く見ると痛い目にあうぞ。それよりも、しばらく泳がせて、徐々に淫術で責めていくのだ。まずはあの淫玉の魔力で……。フッフッフ、これから少しずつ淫らな肉体に調教して、ついにはわしの性奴隷にしてくれるわ。こいつが無ければ生きてゆけぬ身体にな」 そう言ってシャドウは全身を覆った黒いビロードの布の下から、チラリと淫らな肉触手を覗かせ、うねうねと揺すった。 「で、わたしはこれからどうすれば」 「おまえはその変身能力を利用して、これからシェリルと瓜二つの姿になり、その姿をあの女に見せて、例の場所までおびき出せ。淫玉が浄化される前にな。そして……わかっているな」 「フフ、かしこまりました」 そう言い残すと、ギレーヌはすぐにその場から姿を消した。 〈第1章 了〉
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