アニーは緑色の奔流が視界いっぱいに広がるのを待って横にジャンプする。
触手は目前の獲物に逃げられ大きく宙を切った。
アニーは一回転しながら銃の出力を最大限に上げ
起き上がりざまにレーザーを発射する。
ズブズブズブズブ!
レーザーが触手をなぎ、100kgを超える質量がボトリと床に落ちた。
タンパク質が焦げる臭いが立ちこめる。
アメーバは苦痛を感じるのか、キュウウウという鳴き声を上げてのたうった。
床に転がった触手の先端と共に再びゼリー状に溶けて地下に落ちていく。
倉庫に静寂が戻った。
「終わったの…?」
だが銃のセンサー上では倉庫の壁面をグリーンの点が這い登っていき
今度はそれが一本ではなく無数の筋に凝縮しつつあった。
アメーバは戦術を変え、小触手の群れとなってアニーを襲うつもりらしい。
バリッ!
背後で壁の破れる音がした。
振り向くと太さ数cmの帯状のアメーバがアニーめがけて伸びてきている。
彼女は飛びすさりながらレーザー銃の引き金を引いた。
アニーのずば抜けた動体視力は小触手の動きを正確にとらえ、
またもレーザーがアメーバを両断する。
壁から、床から、そして天井から、触手が次々とアニーに襲いかかる。
アニーはその攻撃をかわしながら射撃を繰り返した。
触手の先端がボトボトと床に転がる。
しかし触手の群れは無限の再生を繰り返し、徐々にアニーを追いつめていった。
アニーは思わず入ってきたドアの方を見た。
ドアには緑色の液体が這い上がり、ノブを呑み込もうとしている。
アニーはアメーバに覆われたこの倉庫に閉じ込められたのだ。
必死の応戦を続けるアニーだったが
レーザーの銃身は危険なレベルにまで加熱し連射ができなくなっている。
アニーを囲むアメーバの環は徐々に小さくなり
ついに鞭となった一本の触手がアニーの右腕をとらえた。
ビシッ!
「ああっ!」
鋭い痛みにアニーは悲鳴を上げる。
見ると鞭打たれた右腕にアメーバが付着し、ブラウスを溶かし始めている。
ピシャッ!
「きゃああっ!」
アニーが腕のアメーバに気をとられた瞬間、別の触手が彼女のヒップを打つ。
付着したアメーバがスカートを溶かすと同時にふとももを伝わって前方に移動し
下着の中に侵入しようとしていた。
「あ…くっ…」
溶けたスカートから新たに肌をのぞかせてアニーが身もだえしている間にも、
新たなアメーバ触手が接近して彼女の右の乳房を舐め上げた。
見る見るブラウスが溶けて白い肌があらわになる。
知性を持つのかどうか分からない相手ではあるが、フーマの生命体の前に
素肌をさらされアニーは苦しいほどの屈辱を感じた。
ブラウスの胸を溶かして満足げに退却する触手をレーザーで射抜く。
だがこれがアニーの最後の反撃となった。
半裸になりながら周囲から迫り来る触手に狙いを定めるアニー。
しかし高出力の照射を続けたためチャージが間に合わず
レーザー銃のエネルギーインジケーターの値はゼロに近い。
アニーのふともも目がけて伸びてきた触手に銃を向けた時
彼女のレーザー銃にはもうそれをなぎ払うだけのパワーはなかった。
ジジジジジ…。
アニーの射撃は正確に触手に命中したが、その先端をわずかに焦がしただけで
アメーバの帯はアニーの足に巻きついてしまった。
「いやあっ!」
アニーは必死でそれを振りほどこうとした。
露出した乳房が左右に揺れる。
アニーが動けないことを悟ったかのように、レーザー銃で切断された触手が
粘液の流れとなってアニーの足元に集まってきた。
粘液はたちまち彼女の足を包み込み、ブーツの中にも流れ込んで
アニーの捕獲を確実なものにしてしまう。
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