「こっち、こっち!」 少年の後を追いかけるように私も小走りで後を追った。 不思議なことに、道を塞ぐように生い茂った草や張り出した木の枝が、少年が近づくとまるで道をあける かのように動いた。 さっきまでキツク感じられた上り坂も、まるで下り坂のように軽く登れる。 「え? 何? どうしたんだ!?」 自分でもよくわからないが、何だか少年時代に戻ったように身軽に軽やかに体が動くのだ。 ふと、私も少年時代は道案内をしてくれているこの少年のように丈の短い半ズボンを穿いていたことを 思い出した。 冬でもあまり寒くは感じなかったし、むしろ寒い季節に半ズボンを穿くのはカッコよかったのだ。 木造の小学校の校舎、半ズボン姿の同級生たち、近所の駄菓子店のおばあちゃん… 脳裏に少年時代の想い出が甦った。 |