ある日ハイキングに行った私は、知らぬ間に森の奥へと入り込んでしまった。 道に迷ってしまったのではと不安な気持ちになりながら森の中を歩いていると、少し遠くに半ズボンを穿いた 少年の姿が見えた。 少年は私に気付くと、サクサクと落ち葉を踏みしめながら近づいてきて 「こんにちは!」 と元気に挨拶をしながらペコリとお辞儀をした。 もう秋なのに、かなり太腿が露出する丈の短い半ズボンを穿いている少年の姿に、私は思わず 「寒くないの?」 そう訊いた。 「ううん、寒くないよ!」 まるで元気な太モモとハイソックスを私に見せびらかすように動かしながら、少年は元気にそう答えた。 「おじさん、ちょっと疲れてるんじゃない? これあげるよ」 そう言うと、少年は半ズボンのポケットから飴玉を取り出して私に手渡した。 「あ、ありがとう」 私は飴玉をズボンのポケットに入れると、少年にお礼を言った。 「おじさん、どこに行くの?」 「うん、街へ出たいんだけど、道がよくわからないんだ」 「そうなんだ、ボクが連れてってあげるよ、ついてきて!」 そういうと、少年は手招きしながら小走りに駆け出した。 |