開発ではコンピュータによるシミュレーションが繰り返されてきたが、どうしても実際に新型繊維で作られた 衣服を着用した実験が必要であった。 晩秋の冷たい空気が漂う山中の実験場にyyをはじめとする開発チームが集まった。 新型の繊維単体ではほぼ完成の域に達していたが、それを使って衣服を作った場合、水分の影響を受けて 性能が低下してしまう欠点があった。 特に人体から発散する汗や尿などの影響が顕著で対策が急がれていた。 「yyさん、それじゃこれから始めますね」 「はい」 「今日はコントローラーを使いますので」 「は…はい」 ”コントローラー”とは、実験の精度を高めるため、皮膚に貼り付けた電極パッドから電流を流し、排尿を外部 からコントロールする装置である。 20人程の開発スタッフが見守る中でショートパンツを下ろされ股間部に電極が装着されるのだが、大勢の視線 を浴びながらの作業は仕事とはいえ、とても恥ずかしかった。 「yyさん、スイマセン、ちょっと我慢してくださいね」 「は…はい…あ…んぐぅ…」 実験場では筋肉の動きや温度を測定するためのセンサーやカメラがyyに向け何台も設置されている。 しかし手の動きが観測の邪魔になってしまうため、実験時には手の動きを規制するため、両手を縛る のが慣例であった。 これもまた仕事とはいえ、yyにとっては辛く恥ずかしい試練であった。 yyはショートパンツの中に電極パッドを装着され、両手を後手に厳しく縛り上げられて実験場に立たされた。 |