はじめに戻る

「とほ」の、おはなし


Feb.23.2004





つづき
ところで、わしは今日、日暮里へ行ってきたのじゃ。

かおる
おやまた、どうして?

つづき
JR日暮里駅ロータリーのすぐそこに、駄菓子屋問屋街があるのじゃ。
しかし、そこも、再開発の波によって、惜しまれつつも姿を消すことになったのじゃなあ。
そこで、わしは、別れを惜しみつつ、駄菓子の物色に赴いたというわけじゃ。
最近では、ビルの中に駄菓子屋が出店していたりするわけじゃが、
やはり、風情という意味では、いまひとつじゃ。

かおる
で、どんなのを買ってきたんですか?

つづき
いやいや、ところが、問屋街の辻道に入ると、人通りは全く無く、戸口は閉ざされ、閑散としたものじゃった。
店を開けている駄菓子屋は、一軒も無かったのじゃ。
かおる
あらら。 では、もう地上げにあって、みんな店をたたんでしまったとか?

つづき
今日は、定休日らしかったのよね。

かおる
なあんだ。 でも、がっかりしたでしょう?

つづき
わしは、途方にくれながらもリベンジを決意しつつ帰路についた。 そして、古語辞典を開いたのじゃ。
途方」の意味をさぐるために。
かおる
途方」は、古語じゃありませんて。

つづき
いやいや、どうして、「とほし(遠し)」という語をみつけたぞよ。
徒歩で、とぼとぼ、遠くまで」というように、「途方」の語源に違いなかろう。
かおる
なるほど〜。

つづき
とほし(遠し)」のほかには、「とほし(通し)」という語句があったのじゃが、
どちらも、似たような意味じゃな。 現在ではどちらも、「とおし」と、発音しておるわけじゃ。
かおる
ええ、それが、何か?

つづき
かは(kafa)」は、「かわ(kawa)」と、発音が変わったように、
とほ(tofo)」は、「とを(towo)」と、発音が変わった時期がなかったじゃろうか?
かおる
とを(towo)」から、「とお(to-o)」に、変わっても、おかしくはないでしょうね。

つづき
そこで、わしは、「とを」を、調べてみたのじゃ。
すると、驚くべきことがわかったぞよ!
かおる
な、なんですか?

つづき
とを」は、数詞の「」を、意味していたのじゃ!



数え言葉の「十(とを)」とは、「遠い(多い)」という意味ではなかったか?




かおる
ふむふむ、ありえなくは無いでしょうね〜。

つづき
あら? かおる君は、今日は素直じゃね?

かおる
師匠も、今日は「とほほ」な目にあって、疲れてるでしょうから、
つまんない駄洒落も許してあげますよ。
つづき
そうかい、そうかい、優しいのオ……って、駄洒落じゃないわい!







付録・年表




はじめに戻る