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〜第八日目〜お土産大作戦
Dec.7.2003
03年11月12日
3:10pm
ホテルの部屋で、ピーナッツ、みかんを食べつつ、しばしくつろぐ。
実は、昨日のベッドメーキングがあまりに適当だったので、
部屋にチップを置かなかったからかと思い、今朝は5元を置いておいたのだが、
そのチップは部屋のテーブルにそのまま残されていた。
でも、ベッドメーキングは、丁寧にされているような気がする。
室温15度。北向きなためか、やや肌寒い。バスルームのお湯は、まだでない。
昨日の夜は、首の痛みでもって早く日本に帰りたいと思っていたものだが、
明日はラサを発つのかと思うと、若干物足りなさも感じるのだった。
その、首の痛みであるが、実はまだ直っていない。
薬局でサロンパスか何か探そうとしたのだが、よくわからなかったので諦めた。
そういえば、夜食用にパンを買おうと思ったものの、パンというものも、見当たらなかったなあ。
4:00pm
食欲は無かったが、どうせ夜になると小腹が減るだろうと思って、バナナでも買ってこようと思う。
ふと、ホテルの売店を覗いてみる。
そういえば、マニ車でも買って帰ろうかと思い、一応目安にと思って値段を聞いてみる。
……と、売り子は電卓をポンポン叩き、値段を提示してきた。
見ればなにやら、土産物屋や露店よりも安かったりしてるではないか?
なあんだ、それならホテルで買っちゃえば楽でいいよね、というので、適当に物色をはじめる私。
マニ車3個(計31元)と、天珠を4個(計155元)、アクセサリー用の小さいマニ車を4個(計20元)買う。
この天然石のついたマニ車のアクセサリーは、1個5元(70円)だった。
まったく値切らずにこの値段だった。しかも箱までつけてくれた。安いよね?
4:40pm
買い揃えたお土産を、部屋に持ち帰ろうとしたところ、やっぱり部屋の鍵は開かなかったのだった。
ルームメイドを呼んで、マスターキーであけてもらう。
4:45pm
ふたたび、バナナの買出しに行く。
ホテルのフロントに部屋のカードキーについて文句いうと、
どうもカードキーの設定がされてなかったというので、設定し直してもらった。これで大丈夫らしい……。
4:55pm
ホテルを出て、八角街方面へ。
適当な果物屋を探しつつ、お土産屋を横目に見ながらそぞろ歩く。
突然、一軒のお土産屋のおじさんが、ニコニコ顔で声をかけてきた。
こちらとしては、もうお土産を買うつもりは無かったので、通りすぎようとしたのだが、
おじさんが取り出した物をみて、私はぶっとんだのだった。
それは「銀製の爪」だった。
チベットと全然関係ないじゃん。
店の陳列棚をみると、他にもどこかで見たような銀の指輪だとかがいっぱい並んでいた……。
ここは、上野アメ横かっ?
日本とあまりの変わり映えの無さに、茫然自失とした私は、銀の爪を20元に値切って買ってしまったのであった。
数歩も歩かないうちに、別の店のおばあちゃんに呼び止められる。
もうひとりのおばさんが現れ、私の腕をがっちり掴み、離そうとしない。
やれやれと思いながらも、商品をみせてもらった。
並んでいたのは、さっき、ホテルで買ったばかりのアクセサリーだった。
こっちは、すでに相場を知っていたが、一応値段を聞いてみた。
小さいマニ車のアクセサリーが1個10元。
案の定、ふっかけてきた。が、私も負けてはいない。
すずしい顔で「5元!」といい返した。
するとまあ、あっさり5元に値を下げてきたではないか。
しまった。5元で買うといっちゃったからには、買わないとダメじゃないか。
しかし、私は、首にかけるヒモつきのアクセサリーを見つけて、こちらの方が高そうだと思い、
こちらを5元で売れと切り返した。
おばあちゃんは、ヒモつきなら、7元だと言い張った。
もう、それ以上は値切れそうに無かったので、私も折れることにした。
というわけで、ヒモつきの小さいマニ車を買うと、おばあちゃんは別のもっと小さいマニ車を出してきた。
もう買わないよ、というのに、おばあちゃんは、3元でいいから買えという。
おいおい、また安くなっているよ……。
まあ、3元だったらもう1個くらい、いいか、と思って、財布を取り出すが、こまかい元が無かったので、
2元おつりをもらうつもりで、5元札をわたした。
それが大きな間違いだった。
おばあちゃんは、2元おつりをよこすかわりに、
小さいマニ車をもう1個よこしてきた。
2個5元で買えというのだ。1個3元より安いからお得だというのだ。
その商売上手さに私は負けた。
しかし、いったいどこまで安くなるのだろうか?
下のマニ車は、結構気に入ったのだが、なかなか安くならず10元だった。
でも、回しているうちに軸がはずれて壊れてしまった。気をつけるべし。
さて、もうお土産はいらねえやという感じで歩き出したところ、
別の店の前で、私はうっかり、ある品物に目を止めてしまった。
古いタイプのカギだ。
欲しいかも。
だめだ。私はこういうがちゃがちゃいじくれるギミックを持つアイテムに弱いのだ。
これもあまり値切れず、2個で100元(1400円)だった。ちょっとたけえよ。
だが、まずいことに、ここで店のおじさんは、私の嗜好をするどく見抜いたようで、さらなる攻撃をしかけてきた。
組み立て式の香台(?)。
欲しいかも〜。
だから、私は、こういうギミックに弱いのだ。
日本のものでも、江戸時代の携帯式組み立てロウソク立てというのがあって、それがまたよく出来ていて、
私は激しく欲しいと思っているのだが、骨董相場のインフレ率は激しく、
いつもただ指をくわえて眺めるしかなかったのだった。
まあ、実際このおじさんが出してきたこれも、チベットのものだかなんだか知れないし、
脚と皿は本来無関係のシロモノであろうし、古そうに汚しをつけてるだけだろうし。
とか、思いつつも、それでも脚が折りたためるというギミックと、細かい文様細工に惹かれて、
220元(3080円)で買うことになったのだった。高いよおじさん……。
5:30pm
もう、お土産屋につかまるまいぞと、一目散に果物屋へと向かう。
店先で目に付いたバナナ一房(8本)を買う。
天秤計りにかけ、65元だと言われたのでそのように払う。
あれ?
あとで気がついたらバナナが65元って、ちょっと高くね?
一房8本で910円だよ?
これって、ふっかけられたのかな? しまった値切ればよかったんだ! うっかりしてた!
この前は、バナナ2本を3元で買えたのに、忘れていた!
天秤で計量されたから、うっかり信じてしまったのだ。おじさん、商売上手いなあ。
さっきまで、お土産を1元単位で値切ってたのに、このざまであるよ。とほほ。
でも、相手がチベット族だと、あんまり憎めないんだよなあ。
5:35pm
お譲さん二人組みが物乞いに現れる。
なんか、可愛いかったので1元ずつあげた。
すると、なんだかものすごく感謝されてしまった。私の後をつけてきてまでお礼を言われてしまった。
デジカメ(CASIO EX-S20)で記念写真を撮ったところ、とても珍しそうにカメラをずっと眺めていた。
今撮ったものがすぐ見れるというのが、驚きだったのだろう。
見れば、ウイグル方面?からのおのぼりさんだろうか?身なりも悪くない感じだ。
きっと、はじめて来たラサで舞い上がり、はじめて出会った外国人の私を見て、
ちょっと物乞いにチャレンジしてみたという感じなのだろう。
私がすんなりお金を出したので、かえって驚いて恐縮してしまったに違いない。
いいこ達だね〜。そのまま素直に成長して欲しいと切に願うのだった。
ああ、言葉が通じれば、「バター茶でも?」と、誘うところなのだが。残念だ。
5:45pm
ホテルにもどると、入り口のところでガイドが私を待っていた。
私の様子を見に来てくれたらしい。気を利かせていただき、ありがたいことである。
チベット族の人情が心にしみるのだった。
明日、ホテルを発つ時間を確認して、ガイドと別れ部屋に戻る。
カードキーは無事に働き、部屋のドアをやっと一人で開ける事ができた。
明日は、ホテルを朝7時に発つというので、荷物を整理して、帰り支度を始める。
窓の外を見ると、ちょっと雲が出てきている。明日朝、飛行機が飛ぶか心配だ。
来た時のように、飛行機が遅れなければいいが。
そして、チベット最後の夜が訪れた。
<続く>
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