間違ってるかもしれないコード理論


Junuary.12.2008






「コードって何だ?」




音楽の勉強で、避けて通れないコードというものがありますが、
コードとはいったい何なのでしょうか?

だいたい、どんな本でも、下のような図でもってコードが解説されてるかと思います。





さて、ここからが問題です。
私は音楽の素養がまったく無い人なので、当然、コードが何を意味するのか、
コードの裏に隠された真の奥義が何なのか、知る由も無い、という前提で、
今日現在の私が理解している範囲で、覚え書きをしていこうという趣旨のコーナーなので、
ここからは、他人が読んで参考になることは何一つといって無い可能性が大きいですのでご注意ください。


話を戻しまして、先のコード表ですが、
「ハ長調のダイアトニックコード」というものらしいです。
この七種類が基本的なコードということらしいのですが、
コードを示す記号がTとかUならまだしも、何やらDmだのBdimという記号でも表されたりするわけです。
でもって、Tが「トニック」、Xが「ドミナント」、Wが「サブドミナント」として、特別に扱われてるようなのです。
これらは、「主要三和音」と紹介されてたりするわけです。

五線譜上で、オタマジャクシが、一つ置きに3つ並んでいる、という一見して単純な構造の和音のようでありますが、
どうして音符が1段上がっただけで、コードに「m」がついたり「dim」がついたり、
そのうち3種類だけ、トニック、ドミナント、サブドミナントなんて名前で呼ばれたりするんですか?

ああ、わからない……。


この段階で私なんかはもうお手上げで、音楽の本を閉じてしまったりしてたわけです。
こんな面倒なことを覚えないと、音楽は理解できないのか? と。

私は、ここである疑念を抱かざるをえません。


もしや、私は、覚えなくてもいい理屈を、
ムリヤリ覚えさせられているんじゃあないのか? と。



五線譜というのは、音楽を記述する文法の一つにすぎません。
その「文法の一つ」にすぎない五線譜上で、オタマジャクシが3つ並んでいる和音の記述が七種類あったからといって、
それを昔の人が「ダイアトニックコード」と名前をつけたからといって、
音楽の基礎理論として覚える必要が本当にあるのでしょうか?


五線譜上で綺麗に並んでいたオタマジャクシも、
ピアノロールで見てみると、こうなります。








五線譜で見ると、綺麗にひとつ置きに並んでるオタマジャクシですが、
ピアノロールで見ると、てんでんバラバラなのがわかります。
和音を構成する音の音程が、ふたつ置きだったり、みっつ置きだったり。
Zになると、これだけ特殊で、和音かどうかも怪しくなり、大人の事情により、とってつけたような感じです。



そもそも、五線譜は、等間隔の音を表記しているわけではありません。
ド(全音)レ(全音)ミ(半音)ファ(全音)ソ(全音)ラ(全音)シ(半音)ドという、
全音と半音が入り乱れてる長調の音階を、等間隔のように表記してるのが五線譜なのです。
その、音程的に等間隔でもない五線譜上で、規則的ににオタマジャクシが並んでいたとしても、
規則的な音程の和音であるはずもないし、
7種類の和音にT〜Zと番号をつけたりして重要視する理由など、どこにもないのではないでしょうか?



この問題は、音楽の発展の歴史にあります。
人々がまだ、ドレミファソラシドの音階しか知らず、
半音を上げ下げする調の変化が必要ない頃に出来上がったのが、五線譜だからです。
調の変化の無い頃の大昔の「音楽理論」を現代までひきずってるというのが事実なのです。

T〜Zという表記が大昔のもので、調の変化が生まれてからDmとかdimとかの記号が新たに生まれたわけです。

その後、人々が、調の変化を演奏に取り入れながらも、なおも、五線譜を使い続けていたために、
半音を上げ下げする必要から、♯や♭という調子記号が登場し、譜面が難解なものになっていきました。
初心者を混乱のどん底に陥れ、音楽を楽しむ以前に、「楽譜を読む」訓練が必要になってしまったというわけです。

はっきりいって楽器を奏でるために「楽譜を読む」訓練が必要なこと自体がオカシイわけです。

音を出す楽器が主で、楽譜は従であるべきです。


なのに、現代では、楽器を使うなら楽譜(五線譜)が読めないとダメみたいな風潮が蔓延しています。
わざと音楽を難解なものにして、庶民に親しめさせないようにしてるわけでもありますまい。

和音がT〜Zしかない頃は、五線譜で問題なかったでしょうが、
現代のように、頻繁に調を変化させてコード進行する音楽を記述するのに、
五線譜は全く適さない、ましてや、T〜Zという記号を使って和音を覚える必要すらないと断言しても良いくらいだと思うわけです。
国語で例えるなら、古語のようなものです。

英語を最初に学ぶ人に、
「ラテン語の読み方」から教えるようなものなのです。


音楽家と呼ばれる人達は、
もっと、初心者にわかりやすい「楽譜」を開発する努力をすべきではないでしょうか?


ギターにはギター譜があるように、これからのDTMにはDTM用のピアノロール譜が必要だと思います。
そして、ピアノロール譜は、必ずや音楽の理解の近道になるはずです。











「主要三和音とは、いったい何なのか?」




音楽の本では、重要な和音として、トニック、ドミナント、サブドミナントという3種類の和音が登場しますが、
ピアノロールで観察すれば、音の並び方が同じパターンなのがわかります。
これらは、ドミソの和音と、相対的な音程の構造が同じなので、確かに音の響きは良い感じです。
だったら、「長調の音階の中には、ドミソっぽい和音が三種類ある」と説明したほうがわかりやすくないではないでしょうか?





ドミソの和音が響きが良く聞こえるのは、前回で、科学的に解明されています。

音の周波数の比率が、単純な整数比であるほど、美しく響きます。
ド・ミ・ソでは、4:5:6であり、
ド・ソでは、2:3になっていたわけです。
なので、教科書では、ドが「主音」、ソが「属音」と、特別に呼ばれたりしているわけですね。



音同士の周波数比率を、あらためて表にすると、こんな感じになります。

ド:レレ:ミミ:ファファ:ソソ:ララ:シシ:ドド:レ
8:99:1015:168:99:108:915:168:9
全音全音半音全音全音全音半音全音
ド−ミ
4:5
ミ−ソ
5:6
ソ−シ
4:5
シ−レ
5:6
(トニック)
ド−ミ−ソ
4:5:6
(ドミナント)
ソ−シ−レ
4:5:6
ド−ソ
2:3
ソ−レ
2:3
ド−ファ
3:4
ソ−ド
3:4
ファ−ラ
4:5
ラ−ド
5:6
(サブドミナント)
ファ−ラ−ド
4:5:6
ファ−ド
2:3
ド−ド
1:2
(ラ)440ヘルツ−(ラ)880ヘルツ
1:2


こうして表にしてみると、あら不思議。
「ドレミファソラシド」の、音階の中に、
「ド・ミ・ソ」「ソ・シ・レ」「ファ・ラ・ド」の和音のグループが見えてきたではありませんか?


トニック・ドミナント・サブドミナントの周波数比率は、すべてドミソを同じになります。

トニックド・ミ・ソ4:5:6
ザブドミナントファ・ラ・ド4:5:6
ドミナントソ・シ・レ4:5:6



これまでのように、五線譜を見せられて、ダイアトニックコードが云々、
T〜Zが云々と説明されて、主要三和音が重要だと憶えさせられるより、
周波数比率表を出して説明してもらったほうが、わかりやすくないですか? 余計、わかりにくいですか?
私は、自分で周波数比率表を作ってみて、やっと主要三和音の原理がわかりました。

加えて、UとかZとか、他のコードは、憶えなきゃいけない意味とかが無くないですかねえ? などと思うのですが。











「謎の"ラ#"が黒鍵の起源?」




この表から、数学的に予言されるのは、「ラ#」の存在です。
全音・全音・半音と離れている「ド〜ファ」の周波数比率が「3:4」ならば、
「ファ〜ラ#」の周波数比率も「3:4」であるはずです。
長音階の中でも、「ラ#」は、うまく調和するはずですが、どうなんでしょうか?


ド:レレ:ミミ:ファファ:ソソ:ララ:シシ:ドド:レ
8:99:1015:168:99:108:915:168:9
全音全音半音全音全音全音半音全音
ド−ミ
4:5
ミ−ソ
5:6
ソ−シ
4:5
シ−レ
5:6
ド−ミ−ソ
4:5:6
ソ−シ−レ
4:5:6
ド−ソ
2:3
ソ−レ
2:3
ド−ファ
3:4
ソ−ド
3:4
ファ−ラ
4:5
ラ−ド
5:6
ファ−ラ−ド
4:5:6
ファ−ド
2:3
ファ−ラ#?
3:4
ド−ド
1:2
(ラ)440ヘルツ−(ラ)880ヘルツ
1:2

(ド・ファ・ラ)(ソ・ド・ミ)(ファ・シ♭・レ)は、3:4:5の関係になる。


ちなみに「ラ#」は、鍵盤上では、この位置にあります。




そして、調べてみると、鍵盤楽器はもともと白鍵しか無かったのですが、
1000年ほど前に初めて黒鍵が採用されたとき、その黒鍵の音が「シ♭(ラ#)」だったということらしいです。
(純正律だと、ラ#でなくシ♭)



なんとびっくり!
昔の人も、より多くの和音の演奏を求め、この半音を出せるようにしたんでしょうなあ。
数学的に存在を予言して的中させた私もすごいと思いますが。 思いませんか? そうですか。

この音は「B(ロ)」よりも半音低い音ということで、「b」と呼ばれ、
後に「♭(フラット)」という記号になったということです。
「♯(シャープ)」も、その変形ということです。

(参考文献:「ドラえもんの楽ふがよめる」小学館)










「”度”って何だ?」




ちなみに、音楽の教科書では、ソはドから「5度離れた音」と呼ばれてるらしいです。
ピアノロールでは半音で7段上の音になりますので、換算しないといけません。


この「度」という音程の数え方は、初心者にとって非常にやっかいです。



というか、ピアノロールを使うかぎり、「5度離れた音」とは、半音で「7段離れた音」なので、「度」は憶える必要の無い単語です。
音楽用語で同じ音同士を「1度」と呼ぶことも、昔のヨーロッパ人は「ゼロ」を使っていなかったことに起因するのではないでしょうか?

他にも「増3度」「重減四度」「短3和音」とかいう言い方もあるらしいですが、何のことかサッパリわかりません。
半音が多用されるようになってから、呼び名が複雑になり、今に至っているのでしょう。
この「度」という言い方は、暗号のようなもので、初心者にはとってもわかりにくいので、いいかげん呼び方を改めた方が良いと思います。

ハ長調のドレミファソラシドの音階だけならなんとか解るかもしれませんが、
調が変わって、音階が変わったとき、度の換算はどうなるのでしょう? 考えただけで頭痛がします。



よって、ここから先も、「度」という言い方はしません。
「音程」と言った場合、「ピアノロール上で、半音で数えて何段目」という説明の仕方をします。



音楽用語で、1オクターブ上は、白鍵を数えて「8度上」
同じ音は、1度と表記する。

ピアノロール上では、1オクターブ上は、半音で数えて「12段上」
同じ音は、0段と表記する。













「コードの基本は、周波数の知識?」




え〜、私なんぞは、先生から「理由は知らなくていいから、暗記しろ!」という勉強のさせられ方が一番イヤでして、
和音でもなんでも、暗記をするより、理由を知りたがる性分でして、理由を聞いても教えてくれなかったりすると、
拗ねて勉強するのやめちゃったりしていたわけで、そんなこんなで音楽の成績は散々でした。
小学生の頃から、もっと周波数と和音の関係について、きちんと教えてもらえたらよかったと思います。

どう考えても、五線譜だけを見せられて和音が理解できるとは思えません。


ピアノロール上での音程の開きと、周波数比率の関係を見ていったほうが理解しやすいのではないでしょうか?


まずは、2つの音の関係から。

半音での差 10 11 12
ピアノ
ロール上の
音程差
周波数比
(純正律)
15:16 8:9
9:10
5:6 4:5 3:4 32:45
45:64
2:3 5:8 3:5 9:16 8:15 1:2
相性の良さ ×
備考 ド−レ♭
ミ−ファ
シ−ド
ド−レ
レ−ミ
ファ−ソ
ソ−ラ
ラ−シ
ド−ミ♭
ミ−ソ
シ−レ
ラ−ド
ド−ミ
ソ−シ
ファ−ラ
ド−ファ
ソ−ド
ファ−シ♭
ド−ソ♭
ソ−レ♭
ファ−シ
シ−ファ
ド−ソ
ソ−レ
ファ−ド
ド−ラ♭
ミ−シ
ド−ラ ド−シ♭ ド−シ ド−ド
ベスト順位 5番 4番 3番 最下位 2番 1番


「周波数比が綺麗な音同士は相性が良い。」とするならば、相性の良い音の組み合わせは一目瞭然です。


この中で、汎用性の高い音の組み合わせは、次の通りになるでしょう。

相性の良い音
半音での差 12
ピアノ
ロール上の
音程差
周波数比
(純正律)
5:6 4:5 3:4 2:3 1:2
備考 ド−ミ♭ ド−ミ ド−ファ ド−ソ ド−ド
ベスト順位 5番 4番 3番 2番 1番


一方、相性最悪の音の組み合わせがこれということになります。

相性の悪い音
半音での差
ピアノ
ロール上の
音程差
周波数比
(純正律)
32:45
45:64
備考 ド−ソ♭
ソ−レ♭
ファ−シ
シ−ファ
ベスト順位 最下位



では、相性の良い、3つの音で和音を鳴らそうとしたら?
おのずと、組み合わせは、限られてきそうです。



↑左の2つの組み合わせが、ダイアトニックコードのT〜Yに登場するという感じになるわけですね。









「真実のコード理論とは?」




ハ長調のダイアトニックコードを、ピアノロールで眺めてみると、いくつか気がつく点があります。

>


主要三和音は、いわゆるメジャーコードの和音らしい。
それ以外は、いわゆるマイナーコードの和音らしい。
7番目の和音はディミニッシュコードというらしいが、よくわからない。 相性の悪そうな音同士の和音だ。

いずれにしても、次のことが言えるでしょう。

T〜Zのコードは、すべて、「ド・ファ・ソ」のどれかの音を使っている。

使える和音のカタチは、2種類だけ。





←基本的な和音2種。
ドミソのカタチの和音は、周波数比4:5:6で、よく調和している。
ドミ♭ソ(ラドミ)のカタチの和音は、周波数比10:12:15で、3:4:5や、5:6:7に近いが、
若干、不協和をおこしてるところが、物悲しい旋律になるのだろうか?




トニックとサブドミナントのルート音の関係は、ド−ファで、
トニックとドミナントのルート音の関係はド−ソで、どちらも最高に相性の良い音になっているわけですね。
↓図の音の組み合わせだけで、ドレミファソラシドの曲が書けます。

相性の良い音
ピアノ
ロール上の
音程差
周波数比
(純正律)
3:4 2:3
備考ド−ファ

トニック−サブドミナント
ド−ソ

トニック−ドミナント








ドを基準にしたファとソの音は、周波数的に相性が良いので、
メジャー・マイナー音階のほか、ブルース・アラビアなどの音階でも使われています。


マイナーは「ラシドレミファソ」で、
ドリアは「レミファソラシド」と聞こえる。


ブルースの音階は、ファとソの間に、ドと相性の悪いファ#(ソ♭)が挿入されています。
逆に言えば、ブルースでも、ドをルート音にしたファ・ソは重要な音だったということですね。
(ファとソを使わない音階もあります)










というわけで、コードの基本は、

「ド・ファ・ソ」の位置に、和音を置けばオッケー

……なんじゃないかと思うわけです。












基本的にメジャーの和音を使い、ルート音を「ド・ファ・ソ」の位置に並べてみます。
すると、いわゆる「トニック・ドミナント・サブドミナント」のみの和音のコード進行になるわけですね。



なんとなく、音楽になってるっぽい?

これは、お手軽だ〜。








「代理コードとは?」




小技として、「代理コード」というものがあるらしいです。
コード進行が、トニック・ドミナント・サブドミナントの三種類だけだとさみしいので、
他の和音で代用しようというものらしいです。
これも、音楽の本ではT〜Zの和音を用いて説明されてるようですが、代理のしくみがわかれば、
T〜Zに拘る必要はないんじゃないかと思うわけです。



 T → Y / V

(Yを1オクターブ下に表記)

 W → U


 X → Z / V



音楽の本では、非常に小難しく書いてあるわけですが、ようするに、

「元の和音と2音共有する和音が代理に使える」

と、いいきって、何か問題があるのでしょうか?


整理すれば、こういうことでしょう。


メジャー → マイナー

(T・W・X → U・V・Y)

(Zは変化形として除外)


「メジャーコードは、マイナーコードを代理に出来る。」
「マイナーコードは、メジャーコードを代理に出来る。」
「同じコードは、代理に出来ない。」



……という風に、単純に考えたらダメなんでしょうか?


先ほど作った「トニック・ドミナント・サブドミナント」のみのコード進行を、代理コードを使って変化をつけてみました。
どの和音も、「ド・ファ・ソ」の音を使うようになっています。



で、……音楽になってるような、なってないような……。
さぁて、私には音楽センスがないので、このコード進行の良し悪しがよくわかりません。 なんとも微妙な感じになってきました。









「コード進行とは何だ?」




コード進行というと、何か、音楽的方法論でもあるのでしょうか?
ここまでくると、もう、さっぱりわかりません。


ここでちょっと「裏口からのMIDI入門」(工学社)を紐解いてみましょう。
52ページに「コード進行の基本ルール」という項目があります。以下、引用。

@「T」の次は、どのコードでもよい。
A「U」の次は、必ず「X」。
B「W」の次に、「Y」はこない。
C「X」の次は、「T」あるいは「Y」。
D「Y」の次に、「T」はこない。

絶対では無いものの、違和感の無いコード進行のルールだそうですが、何か法則性でもあるのでしょうか……?

ピアノロールで観察してみましょう。




「W」→「Y」と、「Y」→「T」は、2音共通してるので、代理コードに使えそうな関係のようですが、
コード進行にすると不自然になるというのです。
「W」と「Y」は、代理コードとしても採用されてないぽいですね。


なぜなんだろう? ……わからない……。


考えられる可能性として、ひとつだけ思い当たります。
まったくの憶測なので、間違ってる可能性は大きいですが。
前のコードと、後のコードの、一番下の音と一番上の音の音程差かも知れません。

前のコードと、後のコードを、ちょっと合成してみたとしましょう。



Uの下の音「レ」と、Xの上の音「レ」は、同音もしくは12半音差(1オクターブ)で、同じ「レ」です。
周波数比で、1:2なので、調和していると言えます。

Wの下の音「ファ」とYの上の音「ミ」は、11半音差で、
周波数比で、24:45なので、かなり不協和と言えます。
ちなみに、「FM7」のコードみたいですね。

Xの下の音「ソ」と、Tの上の音「ソ」は、同音もしくは12半音差で、同じ「ソ」です。
周波数比で、1:2なので、調和していると言えます。

Xの下の音「ソ」とYの上の音「ミ」は、9半音差で、
周波数比で、3:5なので、調和していると言えます。

Yの下の音「ラ」とTの上の音「ソ」は、10半音差で、
周波数比で、5:9なので、やや不協和と言えます。
ちなみに、「Am7」のコードみたいですね。




さて、これら音程差による考え方は、はたして理論的に正しいものなのでしょうか?













「コード進行を、素人なりに理論化してみる?」








ちょっと、上のコード表を見ながら、相性を簡単に一覧にしてみましょう。


下の表の数値は、前のコードの一番下の音と、後ろのコードの一番上の音との、音程の差。

TUVWXYZ←前にくるコード
T10←後ろにTが来るのは不自然さが少ない
U10
V11←Wの後にVが来ると不協和になる?
W10←後ろにWが来るのは不自然さが少ない
X10←後ろにXが来るのは不自然さが少ない
Y11
Z10

1オクターブ差=12差を0とする。
音程差が、0、3、4、5、7は、相性が良い。
音程差が、6、10、11は、相性が悪い。







おやおやぁ? 何か、見えてきませんですか?
「コード進行音程差理論」なるものが?











この理屈が正しいとして、「コード進行の基本ルール」を修正してみると……。

@「T」の次は、どのコードでもよいが、「V」は避けたほうがよい。
A「U」の次は、必ず「X」。
B「W」の次に、「Y」と「V」はこない。
C「X」の次は、「T」あるいは「Y」。
D「Y」の次に、「T」はこない。



う〜ん。 本当だろうか……?
悲しいかな、私の音楽センスゼロの耳ではこれ以上検証不能なり。



とりあえず、自己流でも間違ってても、手掛かりが無いよりはマシでしょう。

「前のコードの下の音と、後のコードの上の音の音程差が、6・10・11にならないようにする。」

という、私の想定した理論通りに、先ほどのコード進行を見直し、
不協和をおこしていそうな箇所を、修正してみました。


結果的に、@〜Dのルールを踏まえつつ、一部を代理コードで変更したものと同じになりました。



前より、音楽っぽくなってるような気もする……が……気のせいかもしれない……。










「実践的コード進行テクニックとは?」




また、ちょっと「裏口からのMIDI入門」(工学社)を紐解いてみましょう。
60ページの、作曲でのコード進行の説明のところで、興味深い記述があります。


クライマックスの11小節目、WからXにコードが進行する部分を、WからX7にしています。



本では「ひねりを利かせた」とだけ書いてあって、深い理由は全くわかりません。
私も最初は、さっぱり意味がわからず、気分的に変えてみたのか? くらいにしか思いませんでした。
気分的なものなら、どんなコードに変えても同じだろうと。


ところが、この箇所をピアノロールで表示し、今回想定した「音程差」理論を当てはめて考えて見ると……。



1オクターブ差=12差を0とする。
音程差が、0、3、4、5、7は、相性が良い。
音程差が、6、10、11は、相性が悪い。





なんと、「W→X」よりも、「W→X7」として音を足すことによって、
音程差が、9段から12段(0段)となり、コード進行による響きのよさが完璧になりました!

いやしかし、これをもって、私の想定した「音程差」理論が妥当かどうかはわかりません。 偶然かも知れませんし…………。
















「コードとして使える音とは?」





音階の中で、基本的に使用される和音は、周期的に現れてきます。
周波数的に相性が良ければ、どのようなカタチの和音も利用できるはずです。
ギターなどの弦楽器や、ピアノの鍵盤を手で押さえられないようなコードでも、
理論上、ピアノロールでは、「和音」として使用できるはずです。



↑図で、濃いグレーの音は、メジャー/マイナーともに、和音で使用されていない音です。
それはつまり、ドをルート音にして、その音を鳴らすと不協和音になるということになります。



ド(ルート音)から数えて、1・6段目上の音は、和音に向いていない。



グレーの音は、ドから数えると、1段、6段離れており、周波数的にも相性の悪い音になっています。
他の音もしらべてみましょう。



↑ただし、
ファをルート音にした場合、上に6段目の音(シ)は、隣のソをルート音にした場合の和音として使っています。
隣の段で使ってる音があれば、△とし、表にしたのが↓図。

ズバリ! 和音で使える音の組み合わせ表(かも?)
ルート音から
上方向の音程差
メジャー(長音階)マイナー(短音階)
12(0)
11 × × × × × ×
10 × ×
9 × ×
8 × × × × × ×
7
6 × × × × × × ×
5 ×
4 × × × ×
3 × × × ×
2 ×
1 × × × × × × ×
0
ルート音
使



使








はたして、この表は何かを意味してるのでしょうか?
あるいは、何も意味していないかも知れません……。

















「とりあえず、まとめてみる?」




とりあえず、難解なコード理論を、短くまとめれば、こういうことです。
これなら、コード名とかいちいち覚える必要も無く作曲できるでしょう。 たぶん……。


1、メジャー(マイナー)音階では使いやすい音、使いにくい音がある。





2、音階上の、「ド・ファ・ソ」の位置を確認し、音が重なるように和音を並べる。





3、和音は、二つの音が同じなら、カタチを変えて入れ替えることができる。





4、コード進行では、前後のコードの音程差だけ注意する。





5、心地よいコード進行のため、音程差を作為的に操作する。 (コードを変える)





6、和音はカタチで覚えよう。




一般的なコードの和音。











う〜ん。 あくまでも、素人考えですので、そこんとこよしなに……。





この程度の知識だと、どの程度の作曲が出来るかというと、こんな感じになるわけです。










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