黒い十字架!! モモレンジャー暗殺計画


作:黒コップ  イラスト:b.b 





『いいわね!いくわよ!』

モニター画面の中でモモレンジャーがイヤリング爆弾を投げる。

鋭い閃光を放ってイヤリング爆弾が炸裂し、ゾルダーと呼ばれる戦闘員たちが次々と倒れていく。

モニターを見ながら黒十字総統が説明する。

「これがモモレンジャーのイヤリング爆弾だ。小型だが高性能の爆薬で
一度に多くのゾルダーを倒すことができる。これまでにどれだけのゾルダーが犠牲になったか…」


宇宙空間に浮かぶ巨大要塞・黒十字城。
この内部ではこれまで幾度となく地球攻撃計画が練られてきた。
だがそれらの計画はすべてわずか5人の地球人たちの手で葬り去られてきたのだ。
そして今、黒十字総統と無数のゾルダー兵の怨念はモニターの中の女戦士に凝集しつつある。


『モモ・カード!!』

モモレンジャーが投げつけたカード状の金属片を胸に受けてゾルダーたちが次々と倒れていく。

「そしてこれがモモ・カード。ゾルダーの急所に確実に命中する精巧な武器だ」総統は続ける。

「見ての通りモモレンジャーの主な武器は強力なものばかりだ。
彼女を捕獲するにはどうしたら良いか、お前たちの考えを聞かせてもらおう」
総統は暗くなったモニターから振り返りながら整列するスーパーゾルダー部隊に問いかけた。

地球の科学力の粋を集めた装備を誇る国際秘密防衛機構イーグルに所属する5人の戦士・
通称「ゴレンジャー」に従来のゾルダー兵は太刀打ちできなかった。
黒十字総統は彼らに対抗すべく、より強靭で、より狡猾で邪悪な人工知能を持った
戦闘員を開発し「スーパーゾルダー部隊」を結成したのだ。

「総統閣下、ゴレンジャーは5人揃ってこそ本来の力が発揮できると聞いております。
ならば彼らを分散させ、一人になったところを狙えば良いのでは?」
スーパーゾルダーの1人が「総統」に答える。

ゾルダー兵たち、そしてゴレンジャーの面々が「黒十字総統」と呼ぶこの人物は、
実は黒十字軍を率いる支配者の分身に過ぎない。
黒十字軍の真の総統とは機械生命体である黒十字城そのものなのだ。
黒十字「総統」もゾルダー同様、黒十字城が地球人の体を元に生み出した改造人間なのである。

「我らパワーアップしたゾルダー兵が多数で孤立したモモレンジャーを襲えば捕獲も可能かと存じます」

黒十字総統は、自らが創り出した陰湿な思考回路の仕上がりに密かな満足の笑みを浮かべた。