<結>
クチュッ♪ クチュウ♪ クチュッ♪ クチュチュウッ♪
二人の繋がった所から、水気この上なき音がする。
気のせいではないぞ。
俺の両脚の付け根の間……肉槍――ペ○スの付け根のみならず、御稲荷さんまでグッショリ濡れている。勿論、斗貴子さんの愛液での筈だ! "血潮で"ではない……と思う……。
「斗貴子さん……エッチな音聞こえる?」
悪趣味な質問をしたら、案の定「ばかぁ」と可愛い声で叱られた。
「あっ。ああっ! あひっ! そんなこと……んんっ……きかな……ああ……」
「だって俺……斗貴子さんには、絶対、痛い思い……させたくないから」
台詞を吐く、合間に一息。
「俺……不器用だから……だけど……斗貴子さんに涙……流させたくないから」
「……カズキ……あぁ……」
駄々を捏ねる俺に、揺すられ声上げる麗人は諦めたように雰囲気を返す。
息を切らせがちで、それでも腰を止めない俺の下から、愛しい人の掠れる声がした。
「聞こ……えるよ……あっ! うぅんん♪ キミが……カズキが……あっ、あっ……温かくて……気持ちイイ……」
「良かった……"霊薬"きちんと効いてるんだね」
「ちがうっ!」
明瞭且つ強い口調で放たれた否定の言葉に、俺は動きを止めてしまった。ちょっと上体を起こし見ると、息も絶え絶えながら、斗貴子さんが俺を見上げている。泣きそうな……それでいて、嬉しそうな目で……。
「気持ちイイのは……カズキだから……キミだから……」
「あ……あ……斗貴子……さん……」
いきなり体中の血が、顔に集まってしまったかのようだ。俺自身が貫く斗貴子さんの、上気しウットリしつつある美貌に、息をするのも忘れて見入ってしまった。
「カズキ……フフ♪ キミの顔……真っ赤だぞ」
「うっ……うっ……」
小悪魔めいて悪戯っぽく笑う斗貴子さんも……堪らなく魅惑的だ……。
でも……でも、武藤カズキよ……。ここで絶句しっぱなしでは、余りにも情け無いぞ!
「これは……今の斗貴子さんが素敵にエロティックだから」
よぉおおしっ、狙い通り! 折角、この場の主導権を掴みかかっていた斗貴子さんだが……。
条件反射で狼狽の朱色を強く浮かべてしまう彼女に、俺は内心ガッツポーズ♪
「えっ、ちっ! カズキに合わせなきゃと思うから言ったのに……キミは失礼……あっ! ひっ! とっ! は……なっ!」
腰の動きを再開した途端、斗貴子さんは悩ましい事この上ない嬌声を上げる。この"功績"が俺にあると言うのなら、霊薬にも"すこぉぉし"だけ感謝……。
「あっ! ああっ! ああっ! んっ! あぁああっ!」
「うん♪ うん♪ ゴメンナサイ♪ 斗貴子さんがそうなっちゃうのは、俺のせいだから♪」
「やっ! んっ! んくぅ! うぁっ……ひらっ……開き直れば……いいってわけじゃ……あぁいい!」
「斗貴子さん……すごく……可愛い……よっ♪」
「バッ……ばかぁ……っ!! カ……カズキの……エロス……ッ!!」
こんな時の為に仕入れておいた知識――例えば、"Gスポットは尿道口の裏にあり"――はキレイさっぱり消し飛んだ。
当然だろっ!
……背中に突き立つ爪の感触が、いじらしい……。
斗貴子さんの理性は羞恥に頬を染め、首を振って否定する。けれど、彼女の遺伝子が躰を操り、たどたどしい動きで腰を押し付けてくる。
「ひゅっ! んっ! んんっ! んぁ……ぁあ! あぁああっ!」
ジュ♪ クジュッ♪ クチュッ♪ クチュッ♪ クチュウ♪
響くのは水音と、斗貴子さんの上げる声。
――嗚呼! クラクラと……眩暈がする……。
「あうっ! うっ! うぁああっ……みっ! みるな……カズキ……ぁっ!……見ないで」
また突然、斗貴子さんがしがみ付いてきた。
魅惑の……些か小振りな双丘が、胸板に当たるのがはっきりと分かった。俺の下で柔らかく拉げるそれらは、内に尽きる事無き熱を宿している。
「見る……なって?」
「あっくぅ! ……んっ……んっ……痛みは……痛みは無いわけじゃ……。ああぁ!」
「!」
ヒヤリとする俺だが、斗貴子さんが言いたいのは、頭に浮かんだ事と異なっていた。
「あっ! あっ! それ……それなのにっ! ああっ! あつい! カズキが熱くて……ェああっ!」
――おっ、おっ、くぉおおおっ!!
肉槍を包み込む姫壷が、一段と……否、四、五段熱を高めた。槍を溶かさんばかりに!
それまでも充分"情熱的"に蠢いていた肉襞の一筋一筋が、それこそ狂ったように打ち寄せ、射精感を煽る。更に肉槍を飲み込もうと蠕動し、ギチギチ締め付ける膣壁と相俟って、『早く、早く、子種が欲しい!』と擦りせがむ。
「うぁっ、あぁああ! い……たい、だけじゃないからぁ……っ! わたし……うあぁ……くち……できなひぃ……かお、しちゃって……!」
むせび泣きながら、斗貴子さんは訴えてくる。密着する彼女の両腕に、背中を撫で回されるのが気持ちイイ……。
"オレイ♪"とばかり、火照ってアツアツの首筋に俺は唇を押し付けた。続けて強めに"吸う"と期待通り、のけ反ってくれる斗貴子さん♪ 俺を乗せてブリッジしちゃいそうなぐらいなのは、無意識の力がなせる業。
「あっ、あっ、カズキぃ……っ!! わたし……ひぐぅ……ケモノのっ……ケモノのっ……かおしてるぅ! だっ、ダメぇ!」
「ケモノなんて……キレイなのに……っ! でも、斗貴子さんが嫌がるなら……見ないョ♪」
「う、うん。か……はぁ! あっ! あっ! あっ! そんなぁっ! おくっ……おくまではげしぃいいっ!」
俺は再び、"斗貴子さんを抱き浮かせる"ぐらいのつもりで抱えた。さっきから肘が、絨毯越しにコンクリと擦れて、ゴリゴリ痛まないでもない。しかし、この"互いの左肩に顎がかかる"ような格好なら、斗貴子さんの要望に間違い無く答えられる。
体制を整えた途端……。肉槍から俺の全身に、電流が走った!
「斗貴子さん……温かいよぉ!」
「バッ、バカァっ。んっ! はぁああっ! カズ……キはっ……太陽みたいに……ひゃふ! ひっ! あっ! ああっ! あっ! あっ! あぁああっ!」
艶声に、水音が"グチュ! グチュ!"と被さる。懸命に肉槍を操り、姫壷を掻き回す音だ。
始めた時の誓い"ゆっくりと腰を動かす"を、俺は忘れた訳じゃない。けれど……腰を止められないんだ。止められないんだよぉおおっ!!
「斗貴子さん! 俺は! 俺はぁ!」
――きっ、来た! ビリビリ……来やがったぁ!
確かに、斗貴子さんの"ナカ"に入り込んでいるのは、しがない俺の肉槍だけ。しかし、そんな認識は、"稚拙"且つ"ナンセンス"だ。
――俺は……俺は今、魂ごと斗貴子さんの熱に包まれてる! 嗚呼! 蕩け……そうだ……。
「斗貴子さん! 斗貴子さん!」
「ああっ! あんっ! あぁっ! あっ! あっ! あぁああっ!」
腰振りたくる俺の背中を、斗貴子さんは爪で掻き毟る。
これでいいっ。……これでいいんだっ!
俺には、ピストン運動なんて、器用な真似はできない。腰を引くとき、肉槍をきれいに引き抜いちゃいそうで……。
だから"不肖"武藤カズキは、斗貴子さんのナカに「の」の字を書く。
愛しき人の姫壷に、肉槍を根元まで刺し込んで、一心不乱に腰を回す。
グルリグルリ回していると、どうしても段々抜けてくるから、また深々と刺し込んで、ひたすら腰を回して「の」の字を書く。
何度も、何度でも、斗貴子さんのナカに書く。
「の」の字を……。「の」の字だけを……。
書くっ! 書くっ! 書くっ! 書くっ! 書くっ! 書くっ! 書くっ!
「んくぅ! ふぅ! ひゅあ! あっ! あっ!」
「嗚呼っ……斗貴子……さんっ!」
この衝撃! ついさっきまでの、穏やかな刺激など問題にならない。
肉槍を伝い……背骨をかけ上り……。
斗貴子さんの"熱"が、俺の脳味噌に打ち寄せる。もしも、"煮えたぎる津波"などというものがあるなら、正にそれだ。
「凄い……凄い……よ……っ!」
目の奥で、火花が盛大に飛び散っている。焼けるのは自制心。弾け飛ぶのは理性。それは……きっと、斗貴子さんも同じこと……。
「くっ! くっ! くおっ!」
「あっ! あっ! カズキっ! カズキぃいいっ!」
――腕だけでは……駄目なんだね♪
気が付けば……。
いつの間にか斗貴子さんは、俺の腰に、白い美脚を回していた。俺が途中で止めて、逃げ出したりしないように、ガッチリ捕まえている。
――止めるわけ……止められる訳……無いじゃないか!!
この繋がり方になり、肉槍の先端が斗貴子さんの奥深くをゴリゴリ擦る。多少「の」の字は書きにくくなっても、トロトロに柔らかい姫壷の肉壁を、肉槍全体で存分に蹂躙する!
「くぅううっ! とっ、斗貴子さんっ。ごめんっ、止まれない! おっ、俺もう!」
心地良き狂熱に脳細胞を犯され、上擦る声で訴える俺の頭を、斗貴子さんは抱きかかえてくれた。
「ハァ! あぁああ! あっ! あっ! いいっ! いいよ!」
「斗貴子……斗貴子さん!」
「カズキ……っ! わたしっ……わたしにっ! キミを! キミをぉ! わたしのナカにっ、キミをブチ撒けてぇええっ!!」
「くぁあおおおおっ!!」
感極まる斗貴子さんの声を聞いた途端、俺は体内から突き上げて来る"奔流"を、押さえられなかった。もとより押さえる気も無かった。
ビリビリと肉槍を震わせ、俺という野獣が咆哮上げる。
斗貴子さんの姫壷の最奥――子宮口へ、淫肉槍の穂先を叩き付け、躊躇いもなく欲望の白濁液を撃ち出す!!
「あぁああっ! くるっ! くるっ! キミのアツイっ、くるぅううっ!!」
斗貴子さんが上げたのは、悲鳴だったのか……。それとも、嬌声だったのか……。
全身を使い……あらん限りの力で……斗貴子さんは俺を壊そうとするかのように抱き締める。
――いいよ。斗貴子さんなら、いいよっ!
「あっ! あぁああっ! ああぁあああぁぁあああああーーーーーっ!!」
高く澄んだ声で絶叫する愛しき人を、俺も力一杯抱き締め返した。
――嗚呼、斗貴子さん……。俺……腹の底も……頭の芯も……痺れて……。
俺は、本能の命じるまま……。熱く熱く濃厚な、自分でも今日二回目とは信じ難い量の精液を、最後の一滴まで斗貴子さんに流し込む。
ドップン! ドップン! ドプン! ドププン! ドプン! ドプン! ドプッ! ドプピュゥーー!!
――キモチイイ……気持ち良過ぎて……俺……中身……焼けてく……。
いつまでも……いつまでも……。
それは……続いて………………。
「アアァ……たいよう……オナカノナカ……たいようが……はいってるぅ……」
長い長い射精が、やっと終わった時……。白い灰になりかけの俺は、抱擁を緩めた。
惚けてしまったかのように呟く斗貴子さんを暫く見詰め、唇を触れ合わせたのだった。
今にも焼き切れそうな、朦朧とする意識の中だったが、それだけは覚えている……。
あの後……。
だいぶ時間がたってから起き上がりはしたものの、二人とも心地良い疲労感の虜になっていて、帰り支度をする気にもなれなかった。
そりゃ、まだまだ四月下旬ということもあって、服だけは着直したけど……。
何となく身を寄せ合い、また絨毯の上にピッタリ並んで座った。
「斗貴子さん……痛まない? その、俺……途中から、夢中になっちゃって……」
気になっていたのは、先刻見た光景。
斗貴子さんから引き抜いた俺の肉槍は、赤く染まっていた……。
「途中から? 初めからの間違いだと思うが?」
「〜〜〜〜〜〜〜」
よほど情けない顔をしてしまったらしい。斗貴子さんは、「ぷっ」と吹き出して見せた。
「冗談だ。そんなに困った顔をするな♪」
「あうう〜〜」
――斗貴子さんの……イジワル……。
「痛まない訳ではないが……言わなかったか?」
「??」
「カズキとだから……平気だ……」
台詞を言い終わらぬ内に、世界にたった一人の……俺のかけがえない人は……その頬をはんなりと赤く染める。
"ほっぺが赤い"という点では、台詞を聞いた俺も同じだけど……。
「もう少し。休んでから……帰ろうか?」
「そうだなもう少し……って、何故キミは、私の肩を抱く?」
「こうした方が、温かいでしょ♪」
「まったく……キミは……♪」
言葉とは裏腹に……。斗貴子さんは、肩に回した俺の腕を払うどころか、そっと寄りかかってきてくれた。
「キミは……純愛の聖馬が好むのは……膝枕だと思ったが……」
「?」
「分からないか? まあいい……」
嗚呼! 他愛のない話をして……。まったりと心地良く、時が流れていく……。
"錬金術"に関わってしまった斗貴子さんと俺の明日は、化物どもの血で彩られるのかもしれない。
でも今は……否! "だから"今は、戦いを忘れ、斗貴子と優しい時を過ごそう。
「斗貴子さん」
「ん……?」
「愛してる」
愚直な俺の言葉に、斗貴子さんはニッコリと笑顔を返してくれる。
たったこれだけの事に、俺は……何て満たされるのだろう!
…………時々で良いんだ…………。
これから先の俺達二人にも、こんな時間がありますように。
<おしまい>
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