『たった一つの冴えたやり方 〜可憐の場合〜』
作:お昼
5、
「可憐は……甘い匂いがするね……。それに、とっても柔らかい……」
「あああ……っ んんっ……!」
背筋を、お兄ちゃんの唇と舌が滑り落ちる。
柔らかくて、暖かくて、滑らかな感触――そして、時折吹きかけられる、緩やかな息遣い。
「あああっ! んん……っ」
私の喉から声が溢れ出すたびに、お兄ちゃんはくすりと笑う。そして、私の背筋をもう一度辿り直す。より丁寧に、より柔らかく。
背中を伝う汗をするすると啜られるような、そんなくすっぐたい刺激。
「くぅううぅ……」
体が震えて、腰がくねる。――声が、出ちゃう。
こんなの――私、知らない。
でも駄目……耐えられない……。
「綺麗な声、だ……」
「は、ああ、はあ、ああ、あああ……っ」
お兄ちゃんは、私を背中から抱き抱えていた。
お兄ちゃんの両手は私の腕をつかんで、私を引き寄せたまま、離そうとしない。
私のブラジャーは、床に落ちていた。
視線を落とせば、私の胸の先につんと尖った先端が、恥ずかしげもなく戦慄いているのが見える。
そこにちょっとでも触られたらきっと、私は悲鳴を上げて座り込んでしまうだろう。
お兄ちゃんはきっとそれを知っている。
知っていて、多分、触ろうとしない。
「は、あああ、あ、ああ……!」
ああ……もう……もう……っ。
お腹の中からじりじり、じりじりって、熱が広がって行く……。
知らなかった。
私のお腹の中には、水飴のみたいにねっとり絡まっている蜜があるんだ……。
それが……それが……どろどろに蕩けて流れ出してる。
よじれた私の間を伝って、私の中から溢れ出てる。
熱い。
どうしてこんなに熱いの?
蕩けた蜜の熱さに、より一層に腰をくねる。
お尻を振る。
振らずには――いられない。
――私、濡れている。
恥ずかしいくらいに。
こんな――こんなに、こぼれちゃうくらい。
腰をよじらせて太股をすり合わせると、絡まった蜜が肌に粘りつくように、くちゅくちゅ音を立てている。
お兄ちゃんの耳にも届きそうなほど、大きな音だ。
……は、恥ずかしい……。
「可憐……顔が赤いよ。本当に真っ赤だ」
そ、そんな事言われても……!
私は目をぎゅっと閉じて俯いた。
自分でも、顔がかあっと熱くなって来るのが分かる。
お腹の中は――もっともっと熱くなった。どろどろに、融けてる。
私の――私の隙間を滑り落ちるみたいに、私の雫が、私の中からこぼれてる……!
止めようとしても、全然とまらない……!
腰が、足が、震えて――私の体じゃないみたい……!
いやだ。いやだ……!
私、興奮してる。
すっごく興奮してる。
こんな……こんな……っ!
「興奮してるね……可憐」
「あ……っ あっ……」
お兄ちゃんが首筋に息を吹きかけただけで、私は全身を強張らせて震え上がった。
そのまま、私の腕をつかんでいたお兄ちゃんの手が、するりと私の肌の上を滑る。
その手が、そっと乳房に触れる。
「ひっ……いいいっ!!」
なんて――なんて――はしたない声――。
ああ……ああ……!
口を閉じてるのに……こんなに必死に閉じてるのに……声が、出ちゃう……!
「可憐……」
お兄ちゃんの、優しい声。
私は必死になって歯を食いしばり、体をくの字に曲げて、腰が震えるのを抑え込んだ。
だって……そうしないと……!
お兄ちゃんの手が、私をより引き寄せる。
お兄ちゃんの手は、思っていたよりずっと逞しくて、思っていたよりずっと強い。
お兄ちゃんの手が、可憐の、お腹を……。
「は、あああ……、ああっああ……!」
そっと撫でられただけなのに――ぞくぞくぞくって、全身が震えた。まるで、毛穴が全部開いちゃったみたいに。
「あああ……はああああぁぁ…………!」
空気が抜けてくみたいに、声が漏れる。
お兄ちゃんの手は、そのまま――私の、足の、合間に――。
するりと――滑り込んで行く。
「あっ……はああああっ! あああっ! いやあっ!!」
お腹の中を通って、胸の内側と外側を駆け巡り、首筋を走り抜けて――じゅんっと焼け付くような刺激が瞼の裏側で膨れ上がった。
私の口から、迸る、声。
その――焼き焦がされるみたいな刺激は、ぷうっと膨らんで、弾けずに止まった。
内側からじりじりと広がる、焼きつくような熱さに苛まれつつも、私は何とか呼吸を整えた。
口の中に溜まった唾液を飲み込んで、息を吐く。
「は、あ、あ………ぁぁ……」
お兄ちゃんの、手……止まって……る?
走った後みたいに息を荒くしたまま、ぼんやりとお兄ちゃんを振り返ると――お兄ちゃんはじっと――真剣そのものの眼差しで、何かを確かめるように私の顔を見詰めていた。
「……可憐が嫌だって言っても、やめないよ?」
私を抱き寄せたまま、手放さず――。
「お兄ちゃん……」
それはきっと、お兄ちゃんがお兄ちゃん自身に告げた、覚悟の言葉。
私は、口元に垂れていた唾を飲み込んで、微笑みながら頷いた。
だってそれは、私の言葉。
それは――私の望み……。
そのまま、お兄ちゃんは私の体をより力強く引き寄せた。
お兄ちゃんの手が、私の足の合間を滑る――。
そのまま、私の――女の子のところへ――。
「あっ……あああ……っ!」
私は必死で震える足を合わせた。
くちゅって音が足の間で響く。
恥ずかしいけれど――おもらししたみたいに濡れてるショーツに触られるのは、もっといや。
でもきっと、お兄ちゃんは、私の足を力ずくで無理矢理開かせて、私を……!
ところがお兄ちゃんの手は、そのまま私のお腹の上から太股へと滑り抜けた。
お兄ちゃんの指が滑った後が、焼けたみたいに熱いけど――ちょっと、拍子抜け。
太股を楽しむように撫でながら、お兄ちゃんの唇が、私の背筋を下へと辿る。
「はっ、あっ、あ……はぁ……あ……っ」
……お尻が、きゅんって縮まって、腰がぴくぴく跳ねてる。
お腹の中が……じゅくじゅく、してる――。
震えが止まらない……。
ああ……これって……気持ち……いい……。
そのまま――太股を触っていたお兄ちゃんの手が、私の膝に触れる――。
「えっ……!?」
私が声を上げたのと、私の片膝が持ち上げられていたのと、ほとんど同時だったと思う。
私の膝に触れたお兄ちゃんの手は、そのまま膝の間を割り広げて、私の片足を持ち上げた。
私の片足は――ベッドの上に乗せられる。
――何の邪魔も出来ず、ちょうど恥ずかしいところを晒すような格好で。
「あっ、あっ、あっ……!」
あまりの事に、言葉が出ない。
お兄ちゃんはくすりと笑って、私の背筋を舐め上げた。
おしっこの時みたいに……ぞくぞくする――。
「あっ……あっ、あああ〜〜っ!」
「可愛いよ……可憐」
ああ……そんな、お尻の上に息を吹きかけないで……。
するりと――というか、悠々と、お兄ちゃんの手は、私の……その、ぐしょぐしょに濡れて、あの……漏らした蜜を糸みたいに引いてる……私の、その……ショーツに、手をかける……。
「や、やめて……やめて、お兄ちゃん……!」
「いやだ」
そう――やだって言ってもやめないでって言ったのは私。頭で分かってる。でも、恥ずかしいし……怖い。
ちょっとしか触られてないのに……こんなになっちゃうのに……。
私……自分が、どうなっちゃうか分からない。
それが怖い。
お兄ちゃんはそのまま、私のショーツの上から、私の……その、恥ずかしいところに触れた。
ぐちゅっていう音。そして――お兄ちゃんの指先が、頭の中に入り込んだみたいな刺激――!
「は……あああああ……っ!!」
こ……腰が……足が……震えるぅ……!
ああ……漏れちゃう……もっと……漏れちゃう……!
緩む……駄目ぇ……緩んじゃう…………緩んじゃうぅ……!
ああ、この感じ。
ぶるっとお尻が震えて、お腹の中からじわーっと熱いものがこみ上げてくる、この感じ。
「ああ……駄目……だめ……だめえ!」
私が必死に声を絞り出しても、お兄ちゃんは気付かずに、私のぐちょぐちょのショーツの割れ目の上を撫でている。
必死で――腰を右へひねっても、左によじっても、お兄ちゃんからどんなに逃げようとしても、お兄ちゃんは私を腕の中に抱きしめたまま、離してくれそうにない。
「ああ……だめ……もう……もう……だめよぅ……!」
まるでうわごとみたいな、私の声。
力をどれだけ込めても、体を震わせても、声を振り絞っても――お兄ちゃんが私に触れる手は、私をほぐして――緩めてしまう。
ああ、もう……だめ……ぇ。
「あ……はあ……あああ……」
もう、だめ。
私は諦めて、観念して、力を緩めた。
おしっこが漏れる……。
「は、あ…………あああ……あああ……」
ショーツの隙間から、布の網目から、おしっこが迸る。勿論、お兄ちゃんの手にも。
「…………。……そんなに、我慢してたのかい?」
びっくりしたようなお兄ちゃんの声。
私は答えなかった。っていうか、どう答えればいいのか、よく分からない。……おしっこも、止まらない。
お兄ちゃんは、またくすりと笑ったようだった。
「あっ……!?」
お兄ちゃんの手が、動いている。
「ちょ……お兄ちゃん……っ!」
私の……ショーツの上を……。
おしっこがまだ出てるのにっ!
「や、やだ……やだあ! やめてっ! やめて……え!」
「いやだ」
必死に声をしぼり出したのに、お兄ちゃんの声はすげない。
「あ……は……はあ……あ、ああ、あ……!」
じょぼじょぼとおしっこを溢れ出している、私の……割れ目の間を、指先で探るみたいに、お兄ちゃんの指が入り込んでくる。
「や、やあ……やあ……! き、き、きたない……よぉ……!」
恥ずかしくて恥ずかしくて、泣きそうだった。ううん、多分泣いてるんだと思う。
あんまり恥ずかしくて、頭ががんがんしてくるくらいなんだもの。
それに……ぞくぞく、してて。
「大丈夫。きたなくないよ」
私の背中に唇を当てて、お兄ちゃんは言った。でも、そんなの全然あてにならない。
「は、あ、ああ……ああ……」
やめて欲しかった。今すぐに。ほんのちょっとだけでもいいから。
でも、お兄ちゃんはやめてくれない。
「あ、あ、あああ……ああ、あああ……」
お兄ちゃんの指は、さっきより、私の奥を目指してるみたいだった。
ショーツとお兄ちゃんの指先がこすれ合うせいか、くちゅくちゅぐちゅぐちゅ、ぴちゃぴちゃくちゅくちゅ――音がしてる。
お兄ちゃんの指は、私のショーツの上から、私の薄く盛り上がった割れ目の肉をより分けるようにして、その間で開いたり閉じたりしながら、とろとろと蜜をこぼしてる、私の穴の中に指を差し込もうと――少なくとも、その中を探ろうとしているみたいだった。
その指先が、私の中を探る……。
――あああ……だめ……痺れ、る。……痺れ、ちゃう。
「あ、ああふ、ふは……は、あ、はあ……ふっ、くぅ……」
……まるで、穴の開いた風船みたいな、私の吐息。
お兄ちゃんの指が私の中へ入ろうとするたびに、私のお肉が擦れるたびに――張り詰めたような――それでいて、じわっと広がる甘い痺れが、響く。頭の中に。じんじんと。
足が、足が――がくがくする。
さっき……おしっこを漏らしたからか、腰や足に、力が入らない。
その上……お兄ちゃんったら……こんなにしつこく……触るんだもの……。
頭も朦朧としてるし――膝もがくがくしてる。
私――私……!
「はっ、はあっ、ふぅ……は、はあっ、あっ、はあぁ、は、はああ……!」
「可憐……可憐――可愛いよ……」
お兄ちゃんが、何か、言ってる。
私、を、可愛いって……。
「あ、は、あああ……!」
ぞくん、と――濡れた熱い手で、お尻を直に撫でられたみたいに、腰が痺れる。
きっと、きっと、お兄ちゃんがあんな事言ったせい。
あんなに甘い声で、私を、可愛いなんて、言ったせい。
「あ、は、ああ、あああっ……!」
耐えられない。堪えられない。
お尻がふるふるしてる。膝ががくがくしてる。
も……もう……もう……駄目……!
「は、ああ……ああ……あああ!」
お兄ちゃんは、もうぐちょぐちょなのに――私のショーツの上から、私の割れ目の隙間を確かめるみたいに、何度も何度も擦ってる。擦ってる。擦って――。
「! ひ、ひあああっ! ああああっ!」
女の子の、1番感じるところに――触れた。
腰が跳ねた。
私に尻尾があって、ぎゅっと握られたら――ううん、もっとその何倍も――その、胸の先をくりくりって触られた時より、もっと凄い感じ。
お尻から、お腹から、喉の奥まで、ぎゅうっと絞られて――息がつまってるみたいに頭の芯が真っ白になって……。
特に、割れ目の辺りは変。
火で炙られて焼かれたみたいに熱い。
胸の先は、締め付けられたみたいに痛い――ぴくぴく震えてる。
何かが出口を求めて、私の体の中で暴れてるみたいに。
息も出来ない。
私は陸に上がったお魚みたいに、ぱくぱく唇を動かした。
それなのに、体の奥の方でひくひく震えてたものが、大きな溜息をつくみたいにほぐれて、また、おしっこが――おしっこより熱くてどろどろしたものが、出てる――溢れ出してる……!
びくっ、びくって、腰が揺れて――震えて――!
ああ、私――いってる。
女の子の蜜を溢れさせながら――いっちゃってる……!
その途端――世界が、頭の後ろの方から暗くなって来た。
まるで、頭の中のくらくらさせてた熱さが、ふうっと抜け出していくみたいな感じ………………。
そうして――。
体がふやけて消えちゃいそうな心地よさを感じながら。
私は、気を失った――。
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