Chapter4
悪夢
「間一髪」その言葉が頭に浮かんだ。目の前の扉は・・・・
動かない!
(どうして!? どうしてよぉ!!)
もう一度、思い切りボタンを叩く、鈍い、何かが引っかかったような音がする。
(今度こそ!)
もう一度ボタンを!
「シャー」という懐かしい音を立てて扉が開き始める、わたしは、扉の隙間から滑り込むように・・・・!!
逃げ道はなかった。
扉の向こう側には、あるはずの通路はなく、ただ、馬鹿にする様に鉄の壁が立ちはだかっているだけだった。
「グゥフゥフゥフゥフゥ・・・」
不気味な笑い声が背後から響く・・・
無慈悲な壁に背中を張り付かせて何とか身体を支えているわたしを半円形にワドゥクたちが取り囲んでいた。それも、さっきの6匹だけでなく、どこから現れたのか、その周囲を何重にも取り囲んで約60匹も・・・
あるものは、先ほど見かけた個体のように片腕に鞭を移植し、またあるものは電撃棒の様な物を、あるものは鉄で出来た長い爪のようなものを、しかし、意外なことに多くのものが両手はそのままの形をしていた。
やつらが、徐々に近づいてくる・・・一歩、一歩!
輪が縮まる。おそらく、何十年も洗っていない汚らしい肉体が、腐りきった息が頬にかかるまでの距離に近づいてくる・・・
奴らの目は冷徹で貪婪な光を宿し、わたしを見据えている・・・体からは強烈な獣のニオイが立ち上っている。そして、硬そうな、太い筋肉に覆われた太ももの間には、長い間満たされていないリビドーをあらわすかのようなきたならしく、そして凶悪そうな物が・・・
(まずい・・・このままじゃ・・・)
とにかく、ここから逃げ出すしかない。わたしは、もうエネルギーの無い銃をさかさまに掴み、目の前にたっている奴の後を確認する。
(これしか・・・ない!!)
後手で壁を押し出し、目の前まで迫った奴の、膝に向かってとび蹴りをくりだしながら、いっぱいに伸ばした右腕で、銃の取っ手を顔の真ん中に振りおとす。
以外に軽いおとがする。身体が前に回転する。わたしは、受身をとって立ち上がる。振り返ると真ん中の奴はわたしの押されるままに後にたおれ、顔と膝から黒い血をながしている。
(オブソリーション!?)
長い時間、冷凍されていた生物が、栄養補給を受けなかった為に体組織が虚弱化する現象。(しめた!)
わたしは、希望を持ち直し、助走をつけて、目の前に迫り来るもう一体に対してもとび蹴りを加える!!
「ハッ!!」
肉が打たれる鈍い音!!
そして、身体が硬化プラスチック製の床材に叩きつけられるピシャン、という音が倉庫内に響いた。
床に倒れていたのはわたしだった。
「う・・・ああああ・・・」
横倒しのまま、おなかを抱えてしまう。わたしの蹴りが決まる前に、ワドゥクのパンチが急所を捉えていたのだ・・・
「くぅあっ!!」
首にワイヤーをかけ、引っ張り上げられるような感覚。だれかが上着の襟を掴んでわたしを立たせたのだ。
「ビシーン!!」
「キャァアアアアア!!」
立ち上がったわたしの右の肩から袈裟懸けに、電磁鞭のような強烈な衝撃が走る・・・
「ビシーン!!!」
「・・・く・・あうううう!!!」
こんどは、左腕から、お尻の右側にかけて!
「ビシーン!!!」
「ビシーン!!!」
「ビシーン!!!」
「ビシーン!!!」
前後に立ったワドゥクが、改造した腕でわたしを鞭打っていたのだ。わたしの悲鳴はどれぐらい大きかったのだろうか? 連続する打撃の衝撃に、自分でも聞き取ることは出来なかった。
「ひ・・・クッ・・・あ・・・・く・・・く・・・・」
痛みなど通り越して、身体が引き裂かれてしまうような激痛だった。多分骨がバラバラに砕かれたのではないかと思った。これまで受けたものより激しい痛みと衝撃、そして驚愕に襲われて、わたしは目を見開き、口を上げてただ宙を見つめることしか出来なかった。
奴らが鞭打つのを止めたとき、わたしにはもう、走る力など残っていなかった。おそらく、わたしの自慢の長い髪の毛を捻り上げているワドゥクがいなかったら、わたしはその場に倒れていただろう。体中がずきずきと痛んだ。わたしのスーツはあちらこちらが裂け、まるで、岩の転がるサバンナを車で引きずられでもしたかのようにぼろぼろになっていた。
「グリフ!グラァ ケレイク ゴラースン、グミハデ!! グワク リーヒッキァ!!」
(恐れろ!恐れるのだ、地球人。味わったことのない恐怖を、そして!苦しみと快楽を!)
わたしの髪をつかんでいるワドゥクが耳元で、理解できない言語で言う。低く大きな声がわたしの内臓をも振動させる。
次の瞬間、別の奴に後から羽交い絞めにされる・・・
(ほ・・骨が!!)
激痛にすでに脱力している腕の力を抜こうと意識する。両手首がつかまれ、上に引っ張り上げられた。手首の周りに何かが巻きつき、天井から降りているフックのようなものにかけられ、上に引かれる。そして、こんどは別の二つの手が私の両方の足首を掴み、左右に引き離した。両手両足をX字状に広げた格好で、宙に浮いたような姿勢をとらされる。ちょうど奴らと視線が合う高さだ
「リデヒシャー・・・ウムット レゼレヒ!」
(うまそうだ、ゆっくりしゃぶり尽くしてやる)
とりかこまれる。みんなゆっくりとこっちへ進んでくる・・・
奴らの息がからだにかかる。吐き気を誘うような悪臭がわたしをつつむ・・・・
耐えられなくなり、目を強くつむる。
(・・・うっ!)
何か、熱く、ぬれて、弾力のあるものがわたしのあごを突き上げる・・・
(舌・・?)
薄目を開ける・・・的中らしい。
強く押し上げられ、頭を後に倒すようになる。そのまま、あごに沿って這い上がり、左の頬をなめ上げる・・・いや、頬というよりも顔の左側全体をなめられているようだ。顔が、髪が、不潔な、どろどろの唾液に覆われていく・・・・
(イヤァアア!)
心の中で叫びを上げる。
頬をなめていた奴の生暖かい舌が先を尖らせ、耳の真下からあごの線にそって口元まで滑り降りてくる、
「ううううううむむむぅ!」
いやだ、わあしは口を強くつぐみ、舌の侵入を拒む。奴の舌は、わたしの口の上から鼻にかけてをひとしきり嘗め回したあと、顔の右側に移る・・・・
わたしは耐えられなくなり、顔を激しく左右に振る。
「あああああ!!!」
突然、お尻の谷間に何か熱いものに突かれる。それは、ヌルリとアヌスの周りをこね回し、ひきぬかれる。後にいた奴が鞭で裂かれたズボンの裂け目から舌を押し込んできたのだ!
わたしは、驚いて顔の動きを止め、声をあげてしまう。
「うぶぅうう!!」
その隙に、顔をなめていた舌が、口いっぱいに押し込まれる!
(く・・・くるしい!!)
舌は口腔を完全に埋め尽くし、喉の奥までふさいでくる。気道をふさがれ、息が出来なくなる。必死に、自分の舌で押し出そうとする。ぶつぶつと不気味な突起に覆われたワドゥクの舌はびくともしない。強烈な口臭が鼻腔に満ちて気が遠くなりそうになる。酸素の供給をたたれ、肺が焼け付くように痛くなる。視界が赤く染まり、頭がぼんやりしてくる。
(・・・こんなことで・・死んでしまうの・・?)
あきらめかけたとき、口からボンと音を立てるようないきおいでに舌が引き抜かれる。
「う、くはぁっ! はぁっ! はぁっ!!」
咳き込みながら必死に体を波打たせ、息を吸い込む。
「ああああ!!」
わたしの顔を楽しそうな、そして残酷な表情で覗き込んでいた奴が、わたしの首筋に飛びついてくる!わたしは、情けない悲鳴をあげてしまう。
(か! 咬まれる!!)
首を食いちぎられる恐怖に、おもわず体をすくめようとする。
「gaff!! 」
閉じていた目を開く・・・奴は、まるでストップモーションのように、わたしの首の横で口を大きく開いたまま静止している。
「ビリーっ!!」
下半身を突風が吹きぬけた。後に立っていた奴が、ぼろぼろになった私のズボンをひきはがしたのだ。同時に、革が破られ、踵からぶら下がっていた右のブーツが引き裂かれる。
『ガハァアアアアアッ!!』
威嚇するような大きな声が股間で響く!!
あああ・・・もう、一匹がわたしの股間に、見上げるように頭を差し込み、いまにも食いつかんがばかりに荒い、くさい息を掛けてくる。見下ろすと、鋭い牙が閉じたり開いたりして、身体を守るものが、Tバックのショーツ一枚になったわたしの下腹部を狙っている・・・その目に貪婪な欲望の光を放たせながら。
(あああ・・・食い殺される・・・おねがい・・・いっそ、一気に・・・・)
目を瞑る、激痛にそなえる・・・しかし・・・
「う!? はぁうああああ!!」
あまりに唐突な刺激にうろたえた声を上げてしまう。前にいる奴が『ペロン』という間抜けな擬音がしそうな感じで、首筋をなめあげ、その舌を耳の穴に押し込んできたのだ。
「くちゃり、くちゃり、くちゃり、くちゃり・・・」
生々しい音が頭の中に日響く・・・舌の表面を覆う歪な突起がおしつけられるのが、まるで汚らわしいうじに這い回られるように感じられる。頭蓋骨の中を汚れた芋虫に這われるような、猛烈な汚辱感がつきあげ、意識がくらくらとしてくる。
(いやだ! やだぁああああ!!)
吊られている体を必死で縮こめようとするが、そのたびに掴んだ両足が引き離される。
「ひぃいいいいいいっ!!!」
いきなり、右足の先が、生暖かく、ヌルヌル、べとべととした気持ちの悪い物に包まれる・・・あああ!・・・しゃぶられている!!
「やぁああ! いやああ!!!」
足の指の間で、何かがクニュクニュと蠢く・・・おぞましい「何か」が足の骨を伝わり、骨盤へ、そして背筋を這い上がってくる・・・
あ・・・耳をなめていた奴の舌が・・・引き上げられている右の腕の、二の腕の外側を、つつーっとなめ降ろしてくる・・・あ、いやぁああ!! わきの下を・・・はぁああ!!!服の裂け目から、太い舌を差し入れ、心臓に近いところを、極太のナメクジのようなものになめしゃぶられる、
「う・・・あぅううう!!」
脇をなめている奴が手を伸ばし、ミドリフのジャケットの下から手を無理やり差し入れてくる・・・いやぁ!硬い爪の伸びた毛むくじゃらの手でわたしの左の胸がわしづかみにされる!きつめにフィットした衣服はそいつの手を差し込まれ、ビリッと音を立てて破れる。別の手が、後から襟首を掴んでジャケットを体から引き剥がしていく。
「ん、うはぁあああ!!」
いきなり、背中の真ん中に別の舌がおしつけられる・・・人一倍敏感な背筋沿いをヌルヌルとなめまわされ、ピリピリとする電流が脊髄に反って流れ始める。
(ああ・・・そんな!)
ぎゅっとつかまれた乳首がころがされる・・・体の芯がびくッと震えてしまう。
「ふぅううううっ!!」
足先をなめていた奴が、膝の後ろ側に移動してくる!「ぐちゃ」っと押し付けた後、腿の内側に微妙に触れながらゆっくり這い上がってくる・・・腿が・・・お尻とぶつかるあたりの微妙な曲線を、尖らせた舌先で、触るか触らないぐらいに・・・
(いやぁああ! やだああああ!!)
あああ・・・だめ・・・恐怖で狂わされてしまったのか、わたしの性感が暴走してしまっている。これ以上されたら・・・気が狂いそう!! 襲ってくる、圧倒的で淫靡な感触を振り払おうと首を激しく左右に振っていた。長い髪の毛が大きくゆれて乱れながら顔にかかる。
「きゃふうううううう!!」
腸の中にぬめる舌を押し付けられたような感覚に襲われる。 別の一匹がわたしのおへそに舌を押し付けてきたのだ・・・全身を、何本もの不気味な器官になぶられ、私は体をくねらせ、わななかせ、むせび泣いた・・・
(だめえええ! おねがい・・・やめてええええ!!)
心の中であげた懇願を馬鹿にするかのように、奴らの責めはどんどん激しくなる・・
首筋を、背中を、胸を、おなかを、そして脚を・・・化け物たちがその醜悪な舌を使ってわたしの正気を追い詰めてくる。一本が、長く伸びて首にぐるぐるとまきついてくる・・・絞められる恐怖が、ますます私の狂気を倍増させる。
「ひぃっ! そ・・そこ・・・そんなの・・・!い・・・はぁああ!」
おへそに押し付けられた舌が下腹部に滑り降りてくる! ピリピリとした感覚が薄い脂肪の下に隠れたわたしの腹筋をふるわせる・・・その舌がビュン、と鞭のように振り下ろされる。あっけなく、ショーツの前が裂かれ、体から剥がれ落ちる・・・
だめえ!! 直に来る!!
もう、わたしの体を覆っているのは、左側のブーツと引き裂かれたジャケットの袖、そして脚にまとわり付いている、破れたズボンの残骸ぐらいだった。
(ハァああ・・・だめ・・・そこ・・・だめええ!)
わたしの股間に陣取った奴が、ピロピロと伸ばした舌をそよがせ、今にも吸い付かんばかりに顔を寄せてくる。激しい鼻息が、わたしのデリケートな器官にあたる・・・
「うぁっ!? ひぃいいいいあああああああ!!!」
とたんに、わたしのお尻の穴に、別の舌が押し付けられる。ヌラヌラの唾液に濡れた、熱く、ぶよぶよの突起だらけのものがしわだらけの穴あたり、ゆっくりと回転する。
「いやっはぁあああああんっ!!!!」
腰の骨が砕かれ、お尻から引き抜かれるみたいな強烈で、そして頼りの無いような感覚に襲われ、情けない声をあげてしまう・・・背筋を駆け上がってくる恥辱の電流に身体が反りあがる、その瞬間、
「ズチャ!」
「ビュル!」
湿った音をたてて、前の部分と、右の乳首が、前にいる奴らの舌に攻撃される!
「ひぃいいいいいいい だめえええええええええええ!!!!!」
電流が、全身を駆け抜ける、舌が、ヌルリ、ヌルリと動くたびに、なんども、何度も!
身体がカッと火照りだす・・・官能が、無理やり溶かされて・・・
「いやぁああ! やあああ!! やめろおおおお!!!」
やけどするように熱くて、おぞましい感触のものが、ぶるぶると震えながら、わたしの女性の中心を押し開いてくる、ああん!お尻にも・・・!ぐぐっと、押し込まれて!
(駄目ぇ!!・・・だめぇえ!!・・・ダメエェエエエエエエエエッ!!!!)
息が荒くなる。恐ろしい化け物たちに、全身を弄られて・・・わたし、強烈に感じてしまっている!!
「GYUUUUU!!」
「BUCHAAAAAAAAA!!!!」
「ZURYUUUUUU!!!!」
あああ・・・やつら、わたしの屈服に気が付き、勢いづいたかのように更に大きな声を上げてくる・・・脚が更に大きく割り開かれ、前後の下の出入りがはげしくなる、そして、背中や、胸を弄っている舌もますますいやらしく責めあげて来る・・・。
「嫌だ!!!・・・やだぁあ!!!・・・・イヤダァアアアッ!」
全身の神経が、股間の二つの器官がはげしく、こすりあげられて・・・・
(あああ・・・だめ・・・・もう・・・だめに・・・なっちゃううううう!!!)
くやしい、でも止められいない!
「やぁあああああ! イヤアアアアアアアアアアア!!!!!!」
わたしは、なすすべも無く泣きじゃくり、ワドゥクたちの唾液と汗に濡れ光った体を激しく前後に痙攣させながら、赤黒い官能の炎にやきつくされていった。
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