国生み神話のひみつ



February.25.2010







みを
昔、イザナギ、イザナミという神様がいました。
日本の島々は、イザナギ、イザナミが、お産みになったの。 これが、「国生み神話」。


にい
島を産むなんてすごいねえ。 さすが、神様!


みを
この国生み神話にもひみつがあるのよ!


にい
え? どんなひみつがあるの〜?


みを
イザナギ、イザナミは、天の浮橋から、矛で海をさぐり、したたる潮からオノコロ島をつくり、
そこに降りて、最初に生んだが淡路島というお話になってるの。

にい
淡路島を最初に生んだんだね?


みを
つまり、この神話を伝承してきた人達は、「日常的に淡路島を見て暮らしてきた人たち」で、
淡路島は、神様が最初に生んだ島なんだと信じていたということよ!



「国生み神話」は、淡路島周辺の人々に伝わっていた神話だったのよ!


淡路島には、
淡路国一宮・伊弉諾神宮がある。



にい
ほんとに、淡路島の人が、国生み神話を伝えてきたのかな?


みを
矛で海をさぐって、したたる潮からオノコロ島を作ったという様子は、
海水を煮詰めて塩を作る様子に似てるそうよ。
(「古事記・上」 次田真幸 講談社)


にい
塩って、海水から作るんだね?


みを
他の国は、岩塩から塩を得ることもできるけど、日本には岩塩が無いから、
海水から作るしかなかったの。


にい
海水なら、いっぱいあるから、簡単だね!


みを
でも、海水から塩を作る技術は、実はすごく大変だったみたい。
塩をつくるための製塩土器というのがあるんだけど、
出土状況から、縄文時代は東北で始まり、弥生時代にやっと瀬戸内海で広まるの。
(「備讃瀬戸の土器製塩」 岩本 正二/大久保哲也 吉備人出版)


にい
弥生時代から、瀬戸内海の国で塩作りしてたんだね?


みを
瀬戸内海でも早くから塩作りが始まったのが、備讃瀬戸・淡路島なの。







にい
へー。
それで塩作りが、国生み神話に似てて、淡路島から生んだって話になってわけかぁ。


みを
塩が作れたということは、古代ではすごいことなのよ!
塩は、保存食を作ったり、生活に必要なものであり貴重品でもあったの。
古代ローマでは、兵士の給料に塩がおくられたこともあったわ。



塩はお金と同じ価値があったわけ。


ラテン語「sal(塩)」から、英語の「salary(給与)」=「サラリーマン」という言葉が生まれた。
古代中国では、塩と鉄が貴重だったために、専売制がとられた。(塩鉄論)
戦国時代、「敵に塩を送る」という武将の逸話があるように、塩は敵味方関係ないほど重要な物資。
忠臣蔵で有名な赤穂藩も、塩作りで財を成した。

古代、淡路島の人々は、塩作りで富を得ることができたはず!





にい
淡路島って、あんまり「富を得ていた」ってイメージ無いと思うけど……?


みを
ところが、淡路島から国内最大規模の鉄器工房遺跡がみつかったの!
工房が作られるくらい、鉄器を大量に入手できたってことは、古代ではすごいことなのよ!
塩の利権を利用したと考えれば、不思議でもなんでもないけどね。


にい
それが本当なら、淡路島って、古代ではすごい島だったんだね?


みを
だからこそ、淡路島の人々の神話が根付き、日本神話の国生み神話になっていったと思うの。




国内最大規模の鉄器工房のある垣内遺跡は、
淡路国一宮・伊弉諾神宮のすぐそばにある。





淡路島を現代の目線から、辺境の島のように見るのは間違っている。
国生み神話の神を祀り、古代では、塩の交易で栄え、鉄器を加工していた工業立国だったのだ。



にい
もしかして、弥生時代のヤマトの国よりも進んでたかも?


みを
弥生時代の瀬戸内海のクニグニは、もっと注目されるべきだと思うの。
淡路島のお隣の徳島は、祭祀を司った忌部氏の出身地。
桃太郎伝説の吉備津彦も、瀬戸内海の吉備国の人だし、
その姉とされるヤマトトトヒモモソヒメも、四国の讃岐国一宮・田村神社で祀られてたりするのよ。


にい
なんだか、瀬戸内海には、まだまだひみつがありそうだねえ?


みを
今回は、ここまで!





























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