ひみつを解く鍵とは?



January.12.2010







みを
日本神話って、何か知ってる?


にい
えっと〜〜……。
ウサギとカメが競争して、ウサギが居眠りしてる間に、カメがゴールするお話!


みを
それ、イソップ寓話だから……。


にい
あれ? ウサギが出てくるお話って無かった?


みを
それは、因幡の白兎でしょ!
ワニに毛をむしられたウサギを、通りすがりのオオクニヌシが助けるの。
古事記にあるお話ね。


にい
オオクニヌシなら知ってるよ。
オオクニヌシは、日本の古い古い神様だよね!
スクナヒコナと一緒に、日本の国作りをしたんだって。


みを
その、オオクニヌシに、「日本の国を譲りなさい」と迫り、追い出したのが、高天原の神様なの。


にい
高天原って、天の上の神様の国?


みを
オオクニヌシは地上の神だから、国津神(地祇)と呼ばれ、高天原の神は、天津神(天神)と呼ばれてるわね。
天津神の子孫が、天から地上に降りてきて、日本の天皇になったの。


にい
すご〜〜い! 天皇のご先祖様は、天の神様だったのね!
だから天皇は偉いんだー!


みを
はい、ストップ!


にい
はにゃ?


みを
「天皇のご先祖様は、天から降りてきた天津神の子孫」というのが、日本神話のキモなの。
ここに、日本神話のひみつがあるのよ!
本当に、神様が降りてくるわけないから、この神話は、別の何かを意味するんじゃないか……?
というわけで、いろんな人がいろんなことを言ってるわけよ。



「天皇のご先祖様は、天から降りてきた天津神の子孫」という、天孫降臨神話は何を意味するのか?
いろんなことを言う人々がいた。




にい
う〜〜ん。
本当は、どれなんだろうねぇ?


みを
どこまでが創作で、どこからが史実の反映かは、
はっきりした証拠が無ければ、神話を解釈する側の「考え方」でしかないのよ。


にい
「考え方」?


みを
日本建国の歴史を、どんなふうに信じたいか? 受け入れたいか?
どんな国に自分は生まれ育っているのか?
自分の思いや理想が、「考え方」に影響してくると言えるわね。


にい
天皇の祖先が神様じゃだめなの?


みを
だめとかじゃなくて……、自分がそう信じていても、他の人は納得しないかも知れないでしょ?


にい
他の人は納得しなくても、自分がそう信じてればいいんじゃないの?


みを
そう信じることで、自分が納得できたり、幸せになれるなら、それでもいいかもね。


にい
その言い方、なんだか、皮肉っぽ〜い!


みを
自分が納得できても、他人が納得してなかったら、面白くないでしょ?
だから、人々は、多くの人と議論したり、証拠を探したりしてるの。
自分の正しさを押し通すために、戦争まで起こしたりして。


にい
戦争はいやかも〜。
多くの人が、同じ「考え方」ならいいんだよね?


みを
多くの人が納得する「考え方」でも、それが正しいとは限らないってこともあるわ。
天動説が信じられてた頃、地動説を唱えたガリレオは、異端者として裁判にかけられたんだから。
天文学者も「考え方」を伝えるのは命がけだったのよ。


にい
「考え方」が違うと、とっても怖いことになったりするんだね?


みを
科学でも政治でも何でも、自分の「考え方」を認めさせる戦いが、人間の歴史とも言えるわね。
そこで必要なのが、「考え方」の根拠だったり証拠だったりするわけ。
「考え方」が本当に正しいかどうか、最後は証拠のあるなしでしか、判断できないということ。


にい
じゃあ、結局、天皇のご先祖様が神様だってのは、ウソなの?


みを
証拠がなければ、神武東征も、神武天皇という人がいたことも、全部作り話ってことになっちゃうだろうなあ。


にい
なんだか、それって夢が無くない?


みを
「神武天皇が実在しなかった」という証拠も無いから、
もしかしたら、神武天皇は、本当に居たかもしれないけどね。


にい
え〜? どっちなの〜?


みを
神武天皇は実在したかもしれない、創作かもしれない、
それを最後に判断するのは、あなたの「考え方」ってことになる、としか、言えないかなぁ。


にい
判断って言われても、なんだか、よくわかんなくなってきちゃったよ〜。


みを
判断するためには、「手がかり」を探すことだと思うの。
手がかりを見つけられないと、判断を間違ったり、結論が真逆になったりすることもあるから。


にい
手がかりかぁ〜?
どんな手がかりがあるんだろう?


みを
神話が語ることは、大きく、二つに分けられるわ。



神話が語る、二つの出来事





にい
「事件」と「家系」は、史実と見なせるってこと?
わかった! この二つが「鍵」なのね!


みを
天孫降臨は、一般庶民は関係ないから、事件とは言えないわね。 だから、これは権力者の創作。
神武東征は、途中で戦闘とかもあったから、庶民を巻き込む「戦闘があった」ことは史実の反映と見ていいと思うの。
家系も、疑う必要はないんじゃないかしら? 神武天皇が存在しなかったという証拠が無いかぎり。




日本神話のひみつを読み解く、二つの鍵

「事件」と「家系」を、史実と見なしてみる



神話創作か、史実か?
天孫降臨創作
天孫降臨を庶民が出迎えた描写は無い。
庶民は関係なく、
事件性は無いので創作。
神武東征史実
戦闘は庶民を巻き込むため、
史実の反映とする。
神武天皇即位史実
橿原宮で即位した神武天皇は、
庶民の目に留まる橿原に居を構えているので、
史実の反映とする。






天孫降臨神話は、何を意味するのか?
考え方は二つに絞られる。









にい
天皇のご先祖様が、九州から来たことは、史実の反映って考えてもいいんだね?


みを
そういうことになるかな? でも、まだ、時代までは、はっきり決められないけどね。
神話では、神武天皇が即位したのは、紀元前660年で、邪馬台国よりずっと昔のことなんだけど。
神武東征が史実の反映だとしても、その時代を確定するには、もっと別の根拠や証拠が必要になるわね。




神武天皇即位の年代は?

おおよそ、3種類の考え方が出来る


紀元前660年神話の通り

神話の通り、紀元前667年に東征開始、紀元前660年に即位した。
1世紀前後倭国大乱の頃

九州から畿内に流れてきた神武の一族が橿原に居を構えた。
4世紀以後邪馬台国東遷

九州の邪馬台国の卑弥呼が死んだ後で、神武東征があった。




にい
う〜ん、どれだろうねえ?


みを
それは、また後でゆっくり考えましょ!


にい
は〜い! じゃ、またね〜!





















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