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あしたのチベット


March.31.2008




この夏にオリンピックを控えた中国。
そして、チベット人達の魂の叫びの記録。






追記:2008年3月17日

北京オリンピック前には、また訪れたいと思っていたラサで暴動が起きたようです。

以下、外務省の海外安全ホームページの引用。
>1.現地からの情報によれば、3月14日、チベット自治区のラサ市において、
>僧侶と警察の間で衝突が発生し、死傷者が出る等、治安情勢が悪化してい
>る模様です。また、15日より観光目的の中国人、外国人の当該地域への入
>境ができなくなるとの情報もあります。

ニュースで伝え聞かれるところによると、10〜100人の死者が出て、公安による拘束者が数百人にのぼるとか……。
一般人としては推移を見守ることしかできませんが、
こうした事態が現在進行形で起きていることを脳裏に留めておきたいと思います。

4年半前、お世話になったガイドさんは、ご無事でありましょうか?
僧院の中でお経をあげていた僧侶たち、ラサで暮らしていた大人や子供たち、巡礼のチベット人たち、
バックパッカーの旅行者の方たちが気がかりです。

ロイターによると、新華社は16日夜、チベット自治区が海外からの渡航申請受理を中止したと報じたとのこと。





ポタラ宮の中で寛ぐチベット人たち。
(ポタラ宮の白ペンキ塗りを手伝わされている?)






追記:2008年3月19日

ニュースによると、インド北部ダラムサラに拠点を置く非政府組織(NGO)「チベット人権民主化センター」が、
中国四川省のアバ・チベット族チャン族自治州で16日行われた抗議デモ中、
治安部隊に射殺されたチベット人の遺体だとする写真を公表したそうです。
「tibet center for human rights and democracy」
http://www.tchrd.org/
http://www.tchrd.org/press/2008/pr20080317c.html
http://www.tchrd.org/press/2008/pr20080318c.html
ショッキングな写真がありますので、閲覧するときは心してください。

平和の祭典であるオリンピックを開催しようという国で、今現在このような事態が起きているとのことです。
事実関係の確認が必要なので、これ以上の言及は避けますが、
過去、東京オリンピック開催中(1964年10月10日〜10月24日)に、核実験(1964年10月16日)をぶつけてきた中国のことなので、
推して知るべしです。

もし、捏造と主張するのであれば、中国は堂々と国際調査団を受け入れるべきです。

ニュースによると、中国外務省の秦剛副報道局長は18日、ラサ事件に関連して、
チベット仏教最高指導者ダライ・ラマ14世が「国際調査」を求めたことについて、
「国際社会が注目すべきはダライがどんな役割を演じたかであり、
国際調査を受け、裁かれなければならないのはダライ本人だ」と反論したそうです。


18日の外務省の「中国:チベット自治区周辺地域の治安悪化に伴う注意喚起」によると、
チベット自治区周辺の青海省、甘粛省及び四川省の一部地域においても、騒ぎが拡大し、
青海省当局関係者は、観光客の受け入れを停止するとのことです。
現時点で、デモ等の発生が報じられている地域は、
甘粛省蘭州にある西北民族大学、甘粛省のチベット自治州、青海省同仁県及び四川省アバチベット族・チャン族自治州等です。

これらの情報は、日本のニュースで見ることができるでしょうか?
北京オリンピックがあるために、弾圧が激しくなり、情報統制が徹底されるという皮肉なことになりそうです。




雑感:
チベットに限らず、現在、世界中で紛争、弾圧、差別は日常的に行われています。
それらへの抗議運動も様々な人権団体によって行われています。
人によっては、「チベット問題など、小さい出来事」であり、関心は薄いかも知れません。
価値観の多様性は尊重されるべきです。
しかし、世界中の国家・地域・民族が一同に会する平和の象徴であるオリンピックの、その開催国で、
現在進行形で行われている民族弾圧に対してノーコメントでいられるというのであれば、
今後、他の地域の紛争・弾圧・差別に対して、いったい、どのような問題意識でコメントや抗議運動が出来るというのでしょうか?

チベット問題によって、北京オリンピックのボイコットとか、協賛スポンサーの姿勢などが問題視されているようです。
しかし、企業は営利を追求するのが目的です。
世界中のいかなる紛争地域にも、営利目的で商品を売り込み販路を広げるのは自由であり、正常な企業の姿です。
それによって、世界中の紛争地域どこでもコーラが飲めたり、電気製品が買えたり、カメラフィルムが買えたりするわけです。
オリンピックも、商業化を受け入れていますので、お金になるならば、どこで開催しようとも原則自由です。
政治とスポーツは違いますでの、スポーツマンが政治的理由でボイコットするというのは不自然に見えます。

「理論的」には、北京オリンピックが、ボイコットされる理由は見当たりません。

問題は、「道義的責任」として個々が考えるべきことです。
他人が踏み込むことではありません。 あまり踏み込みすぎると、侵略と同じになります。
ただ、この問題で企業・個人が、どのようなスタンスでいるのか、あるいはスタンスを明かさずノーコメントを貫くのか、
注視しておくのは良いことでしょう。


私も受信料を払ってるNHKの本日夜9時のニュースでは、チベット問題は無視されました。

それはつまり、日本の外務省が、チベット自治区周辺の青海省、甘粛省及び四川省の一部地域の注意喚起をしているにも関わらず、
日本の公共放送であるNHKは、「日本人旅行者の安全」に関する情報を伝えなかったということになります。






追記:2008年3月20日


チベットから戻った日本人観光客の証言・写真がニュースで報じられてきました。
ようやくチベット問題が、中国による抑圧が背景にあることを、隠せなくなってきたということでしょう。

ああ、4年半前訪れた、チベットの首都・ラサが、あんな惨状に……。
ポタラ宮の前に装甲車とは。

観光客によるビデオから緊迫したラサの様子が伺えます。
が、肝心の旧市街にある八角街の様子が見えてこないのが気になります。

これまで中国側の映像では、ラサの市場や学校が再開した様子を映し、治安が回復したかのように喧伝していましたが、
ラサで一番チベット族で賑わっているのは、八角街周辺です。



中国政府の流すビデオも、流血無しでデモを鎮圧したというなら、まず先に八角街の様子を映すべきでしょう。
が、どうも、ここ数日のうちには、八角街の平穏な様子を(偽装して)映すことは出来なかったようですね。

現在、外国人のラサ立ち入りは禁止のようですが、立ち入りは、この先何年も出来無いかもしれません。
解禁されても、今回の騒ぎに関わったチベット族と外国人との接触は厳しく制限されるはずですから、
チベット族の姿は、ラサから消えているかもしれません。
良くてラサから追放、政治犯扱いで投獄、悪くすれば大粛清でしょう……。

私に出来ることと言えば、中国の動きを注視すること、弱腰のジャーナリストに苦情を言うことくらいです。
いくら内政としても、外国からの注目があれば、治安当局も手を出し難いでしょう。







追記:2008年3月21日


こういう情勢なので、日本からチベットに人道援助してるような団体があるかどうか問い合わせてみました。

とりあえず、日本で一番募金収入を集めてる「日本ユニセフ」(2006年度募金収入168億円)ではどうかというと、
現時点でも、過去にも、具体的なチベット難民への支援活動・声明を行ったという確認は何もとれませんでした。


ほかにも多くの団体は、現時点で、チベット問題には腰が重いようです。
穿った見方をすれば、国際的な組織であるほど、中国とも関わりが深いはずなので、
チベット問題に触れることは出来ないのかも知れません。
対照的に、アフリカ支援には積極的なようです。
アフリカは、中国と関係を深めているところです。
NPO/NGOによる人道支援が、政治に左右されているとしたら、どういう存在意味があるのでしょうか?


本日の産経ニュース(2008/3/21)に、こんな記事を見つけました。
>「脱北者保護しないよう要求 中国、五輪前に国連機関に」
>中国当局が国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)に対し、
>北京五輪が終わるまでは北朝鮮脱出住民(脱北者)を新たに保護しないよう要求、
>同意しなければUNHCRが現在北京で保護している脱北者17人の
>出国を許可しないとの立場を取っていることが20日、分かった。関係筋が明らかにした。
(中略)
>ジュネーブのUNHCR報道官は電話取材に対し、
>中国での難民支援活動に支障が出る恐れがあるとして事実関係の確認を避けた(共同)

デマか本当か、事実関係の確認すら出来ないほど、中国での難民支援活動は難しいらしいです。







追記:2008年3月22日


IBTimesニュースより。

>ペロシ米下院議長、チベット騒乱で中国を非難

>米連邦議会下院のナンシー・ペロシ議長は21日、チベット自治区などで起こった暴動に対する中国政府の対応に絡んで
>「世界の良心に対する挑戦だ」などと述べ、中国側を強くけん制した。
(中略)
>ペロシ議長は「平和を愛する人々が中国とチベットにおける中国人に対して何も非難しなければ、
>われわれは人権抑圧に関して批判する一切の道徳的権限を失う」
>「チベットにおける状況は世界の良心に対する挑戦だ」と述べた。


私も19日の雑感で同じようなことを書きましたが、まったく同感です。

いま、チベットで起きていることは、他の地域で起きている紛争とはレベルが違います。
オリンピック開催を目前に控えた国連常任理事国が、非武装の少数民俗を武力で抑圧し、対話を拒み、調査団を拒否してるわけですからね。
さらに、そういう国が、日本の隣にあり、日本に対しても東シナ海ガス田開発を名目に、排他的経済水域拡張を図っているというのに?
将来にわたって日本人として日本国で生活する限り、他人事ではないし、無関係でもありません。


asahi.com 2008年3月12日のニュース。

>ハワイから西は中国、東は米で? 中国軍幹部が提案

>「空母を開発するから、太平洋のハワイから東部を米国がとり、西部を中国がとるというのはどうか」――。
>米太平洋軍のキーティング司令官は11日の上院軍事委員会で、中国軍幹部からこんな「提案」があったことを明らかにした。
>キーティング氏は「冗談とはいえ、中国軍の戦略的考え方を示唆している」と語った。


中国の抱える問題に目をつぶり、声を上げないという人は、いったい、他に、何を、どんな理由で批判できると言うのでしょう?
私は無力ですので、報道された事実と、自分の気持ちを書きとめておくことくらいしか出来ません。

これから北京オリンピックまでの5ヶ月は、全地球人が参加する「良識」を賭けた個人戦となるでしょう。

はたして、個人個人のどのような言動が、歴史に結果を残すでしょうか?


以下、毎日jpのニュースより。 ペロシ米下院議長への中国側の反論。

>チベット暴動:中国大使反発 米下院議長に「内政干渉」

>PTI通信によると、中国チベット自治区などの暴動で多数の死傷者が出ている問題で、
>インド訪問中のぺロシ米下院議長が中国を非難する発言をしたことに対し、中国の張炎・駐インド大使は21日、
>「いかなる国も機関も人も無責任な行動と無責任な発言は行うべきではない」と強く反発した。
>同大使はチベット問題は中国の内政問題であると強調し「誰も介入することを許さない。混乱を起こす試みは失敗する」と述べ、
>下院議長の発言が内政干渉に当たるとの見解を示した。(共同)


米下院議長と、中国・駐インド大使、
……この両者の言い分、はたして「地球人」は、どちらに耳を傾けることになるでしょうか?

答えは、5ヶ月で出ます。







追記:2008年3月24日


今回、チベットでの騒乱を、中国当局は「生きるか死ぬかの政治闘争」と位置づけているそうです。
大げさな言い回しのようですが、中国当局も追い詰められているのでしょう。
理論的には、チベット問題は、中国の内政の範疇で、他人が口を出すことではありません。

ダライ・ラマの要求するチベットの「高度な自治権」や、日本の識者の提案する「中国の連邦制」は、
どれも、中国共産党政権には受け入れられようはずはありません。
多様な民族に対等な自治を認めることは、独立への道筋となり、中国崩壊につながるでしょう。
まさに、「生きるか死ぬかの政治闘争」なのです。

チベット問題に関わらず、世の中の紛争は、単純な、二つの価値観の戦いにすぎません。

A.他人の命より、自分の命の方が大事。(見ないふりをすることも含む)
B.他人の命と自分の命を、同等に考える。

どちらの価値観を模範に生きるか?
理論的に、自分の命を守るには、Aを選択するべきです。
Aを選択した場合、「道徳」とか「良識」とか「人権」とかという言葉で他者を批判するときは、
「自分が、安全な立場にいる限り」という言外の意味を含むというだけのことです。
Bを選択し、他人が死んでいくのをみて、自分が代わりに命を投げ出す、というのは、なかなか難しいことでしょう。


私はというと、たぶん「A」に属する人間です。
自分の命は惜しいですから。 こそこそと、サイトを更新したりすることしかできない臆病者です。
同時に、自分の命を守るために、多くの情報を欲しています。
情報が閉ざされるということは、生きていく上で不利なことです。
そういうわけで、私が生きていく上で必要な情報を与えてくれる、ジャーナリストの行動には期待を寄せています。
身の危険を顧みず「行動するジャーナリスト」の方々は、間違いなく「B」に属する人たちです。


Yahooニュースより。

>国境なき記者団が妨害行為=「人権は聖火より神聖」

>【パリ24日時事】ギリシャのオリンピアで24日、北京五輪の聖火採火式中に妨害行為があったが、
>騒ぎを起こしたのはジャーナリスト団体「国境なき記者団」(本部パリ)のメンバー3人だった。
> 同団体は騒ぎの後、パリで声明を発表し、「聖火が神聖だというなら人権はもっと神聖だ。
>悲惨な人権状況を非難せずに、中国に平和のシンボルである聖火を渡すことは許せない」と強調。
>機会がある限り抗議行動を続けると警告した。
>3人のうち1人は同団体創設者のロベール・メナール事務局長で、
>23日にサルコジ大統領から仏最高勲章であるレジオン・ドヌール勲章を受けたばかりだった。


産経ニュースより。

>ジャーナリスト釈放せよ 世界の新聞が対中スクラム

>今年8月に北京五輪が開かれる中国で、多数の中国人ジャーナリストが拘禁されている問題に関し、
>世界新聞協会(WAN・本部パリ)が被拘禁者の釈放を求めて、
>世界中の新聞社などに中国に対する抗議広告の掲載を呼びかけている。
>WANの調べによると、現在、中国で30人以上のジャーナリストと約50人のインターネット反体制派が服役中で、
>国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」もほぼ同じ人数を確認している。
>どのケースも、政府批判など同様の“犯罪”だという。








追記:2008年3月25日


今日の産経ニュースに、こんな記事がありましたので、引用してみます。

>「国際社会は支持」中国、チベット暴動で

>中国外務省の秦剛報道官は25日の定例記者会見で、チベット情勢でライス米国務長官や
>自民党の中川秀直元幹事長らが中国とダライ・ラマ14世との対話を促したことについて
>「それらの人たちは国際社会(の声)を代表できない」と述べた。

>秦報道官は「110以上の国が中国の立場を支持、理解している」として、
>対話拒否路線は国際世論の理解を得ていると反論した。

>秦報道官は中国支持を表明した国について「いずれもダライ集団があおって起こした暴力犯罪を明確に非難している」と指摘。
>チベット自治区などで起きた暴動の「犯罪性」を強調した上で「(中国と14世の)どちらが正義の立場に立っているか、
>まだ説明が足りないというのか」と述べた。(共同)



今日の雑感。

どちらが正義の立場に立っているか」これは、貴重なお言葉を聞くことができました。
記者の和訳なので、原文はわかりませんが、「中国が正義の立場にある」と強調してることは間違いないでしょう。
私も常々、「正義」って何だろう? とか思ったりしてます。
どんな紛争も、多くは当事者がそれぞれ自分の正義を主張しています。

じゃあ、「正義」って言うのは、幻想で、客観的には存在しないものなの?とか、
「善」とか「悪」とかって、どういう基準で決められるの?とか、いろいろ疑問が沸いてきたりします。

とりあえず、秦報道官(中国共産党)の定義する「正義ある行動」というのは、以下の1点に要約されるでしょう。

「話し合いを拒むこと。」

私は、思想は自由だと思っているので、良い悪いには言及しませんが、
話し合いを拒むという原理で中国が行動しているということは、よく理解する必要があるでしょう。









追記:2008年3月26日


本日のニュースの時間です。


AFP BB Newsは、次のように報じた。

>フランス公共放送幹部、北京五輪の放送ボイコットに言及

フランス公共放送のスポーツ部門トップのダニエル・ビラリアン(Daniel Bilalian)氏は、25日、
中国当局が都合の悪い部分を放送させないような措置をとれば北京五輪の放送をボイコットすることになるだろうと述べた。
中国のテレビは、北京五輪聖火の採火式中継で、国境なき記者団メンバーがボイコットを求めて乱入した場面で、
別映像に差し替えて中国国内で放送していた。



asahi.comは、次のように報じた。

>北京五輪の政治化に反対 中国副主席が日本報道陣に

中国の習近平(シー・チンピン)国家副主席は26日、北京の人民大会堂で、
第2回日中ジャーナリスト交流会議の日本側記者団(田原総一朗座長)と会見した。
チベット騒乱をきっかけに開会式ボイコット論などが出ている8月の北京五輪について、
「五輪は非政治化が原則だ。この原則にのっとり、成功裏に開きたい」と述べた。

一方、日本側記者団からの声明は何も伝わっていない。


日本のジャーナリズム終了のお知らせ?
「日中ジャーナリスト交流会議」とは、報道規制をしている中国を追認する会議でしょうか?







追記:2008年3月27日

こうしている間、チベットでは何がおきてるんだろう?
気になってテレビのニュースを見ても、チベット問題はほとんど報じられません。
発展してる中国の姿とかオリンピックの話題は報じられるのに。

なるほど、「報道管制」とはこういうものなのか、改めて実感しました。
日本の首都東京に住んでいてさえも、チベット問題の情報は、ネットに頼るしかないという状態です。

ネットから伝え聞かれるところでは、
僧院を公安が包囲し、水も食料も閉ざされ僧侶が困窮しているとか、
一般家庭からは、家族の一人が連行されて事情聴取されているとか、
当局からのあからさまな抑圧や脅迫でなくてなんでしょう?
抵抗すれば逮捕、拷問、最悪死刑が待ってます。
私自身がチベット人から聞いた話です。

今日、やっとラサ入りを許可された記者団からの報道がされました。
中国側としては、正常なラサの姿を報道させたかったでしょうが、伝えられる内容は、
大勢の僧侶達が、逮捕を覚悟で、ジャーナリストのカメラの前で、涙ながらに窮状を訴えるものでした。
日本のジャーナリストを自称する人は、命を懸けて自分達の現状を訴える声を聞き、どう答えるつもりなのでしょう?
テレビでの扱いは、恐ろしいほど小さいものでした。
夕方の2時間枠のニュース番組でも、報じないテレビ局もありました。
これが、「日中ジャーナリスト交流会議」の成果なのでしょうか?
ジャーナリストの役割とは? 使命とは? 存在意義とは?

結局、夜10時のニュース番組でも、「やっとラサの取材が許可された記者団からの映像」が、流されることはありませんでした。
「日中ジャーナリスト交流会議」の座長、田原総一朗がよく出演するテレビ朝日です。
かわりにニュースでは、中国の別の問題を取り上げていましたが。
これで、テレビ朝日がチベット問題を矮小化したがっていることが、はっきりわかりました。
他の民放やNHKですら報じたのに、テレビ朝日だけは完全スルーです。

中国側の発表ではない、抑圧されている側からの声ということで、
ジャーナリズムが公平さを求められるならば、大事なニュースであるはずです。
情報を得るには、日本であっても、Youtubeを利用しないといけないというのは情けなさすぎます。

http://youtube.com/watch?v=XBUygCUtPdU
http://youtube.com/watch?v=kU0OBmXanzQ
http://youtube.com/watch?v=tUlAv3qD6HM
http://youtube.com/watch?v=QC2gwMbNJEE
http://youtube.com/watch?v=SbxV08-shZI

チベットの僧侶「破壊行為していない」(TBS系) - Yahoo!ニュース
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/jnn/20080327/20080327-00000057-jnn-int.html

「チベットに自由ない」僧侶ら現地入り外国メディアに直訴(YOMIURI ONLINE)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20080327-OYT1T00336.htm


聖火採火式を妨害した「国境なき記者団」をジャーナリストにあるまじき行為として批判した記事を見ました。
チベット問題は切り離して、それでもオリンピックは開催されるべきだとコメントしたスポーツマンがいました。
いったい、どんな悲痛な思い・崇高な思想があって、弾圧が続くチベット問題よりオリンピック開催が重要だと言えるのでしょう?

私には北京オリンピックの開催の是非を問う権利はありませんし、
「理論的」には、北京オリンピックは開催されるべきでしょう。
しかし、一個人としては、北京オリンピック競技を観戦し、応援し、楽しむということは、もはや出来ません。
マスコミも、北京オリンピックでお祭り騒ぎをすると同時に、公平にチベット問題を取り上げるべきです。
仮に、オリンピックボイコットを、政治家、企業、選手が表明した場合、私はその行為を人間として尊い決断だと受け止めるでしょう。







追記:2008年3月28日

先日ラサ入りした外国取材団に、僧侶達が「直訴」をしたというニュースが、
今朝の各朝刊にどれほど報じられているか、見比べてみました。



朝日新聞のみ、僧侶は「信教の自由」だけを訴えたような印象記事で、
もともとチベットが中国の一部であったと強調した記事を書いている。
米中の電話協議・ポーランド首相不参加についての記事は無い。

私は、特に朝日新聞を嫌っていたわけでは無いし、朝日テレビのニュースは好きな方だし、むしろ応援していたわけですが、
他社と比べてここまで露骨な偏向報道を目にすると、
「日中ジャーナリスト交流会議」などで中国と友好関係を持ちたいという大人の事情を鑑みても、弁護のしようが無いと思います。

「大人の事情」といっても、所詮は、↓のようなものでしょう。

ゲンダイネット(2008年3月25日 掲載)より
>「日産 苦渋の選択“リチャード・ギアよりも中国が大事”」

>リチャード・ギアといえばご存じ、ハリウッドの大物俳優。そのギアのCM起用を日産がドタキャンした。
>実はギアは以前からダライ・ラマを熱心に支援し、中国政府批判を繰り返してきた。
>「そんなギアを起用したら中国政府の反感を買うのは必至。
>日産は2月末に中国での08年度の販売目標を50万台と発表した。
>中国政府を怒らせてしまったら目標達成どころか、中国市場から追い出されかねないと懸念し、18日に中止を決定したようです。









追記:2008年3月31日

いまなお、ラサではデモが続いていると伝えられます。

たとえ逮捕され投獄されようと、たとえ死刑になっても、ここで何もしなければ、
遅かれ早かれ、チベット人たちの心の拠り所であるチベット仏教は、
踏みにじられ失われてしまうという危機感があってのことでしょう

自由な宗教活動を禁じられ、寺は観光客の見世物にされ、
僧侶達の法要や、信者が祈りを捧げる姿さえも、観光客向けのヤラセとなり、
チベット仏教は、中国の観光産業の一つとしてしか、生き残る道は無くなってしまうでしょう。

ラサではホテルやショッピング施設がどんどん建設され、チベット人が持っている仏像やタンカが骨董品として転売され、
漢族の商人だけが莫大な利益を得ているといいます。
チベットに押し寄せる観光客がそれを求めていることも一因です。 私も反省せねばなりません。











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