はじめに戻る
〜第九日目〜成都へ北京へ
Dec.14.2003
03年11月13日
6:50am
ホテルのロビーで待機していると、ほどなくして、
ガイドとドライバーがランドクルーザーで迎えに来た。
7:00am
ホテルをチェックアウトして、クンガ空港へ向かう。
車の中で日の出を迎える。これでチベットもみおさめである。ちょっと寂しいね。
8:30am
クンガ空港着。
ドライバーとお別れ。どうもお疲れ様でした。
8:40am
チェックイン手続きなどをして、ガイドとはここでお別れ。
どうも、大変お世話になりました。またご縁があれば。
本当は、成都から成田へ直行便があるはずだったのが、航空事情からか、
今日は、ラサからCA4402で成都へ、すぐに成都からCA4109で北京へ乗り継ぎ、
明日、北京からCA925で成田へ帰る、という予定にツアーが組まれたのだった。
乗り継ぎは、私一人となる。ここからはもう、個人旅行みたいなものだ。
そういうわけで、飛行機が遅れたら北京にたどりつけず、帰路の予定がすべて狂ってしまう。
成都でホテルの手配と飛行機の手配をし直すというのようなことにでもなったら大変なのだ。
英語も北京語もできないんだから。
でもまあ、行きの経験もあったので、ここまできたら、もう旅なれた感覚で余裕でもあったのだが。
乗り継ぎ手続きも2時間以上余裕があるから、問題がおきなければ大丈夫だろう。
空港2階の売店で時間をつぶす。
ジュース5元。高い。
ゆで卵2元。うまい。
コーヒー10元。ネスカフェのインスタント……。
さて、この写真を見て、賢明な貴方はこれをアイスコーヒーと思ったに違いない。
が、残念、これはれっきとしたホットコーヒーである。
なぜ、ガラスのコップにストローなのか大いに謎だ。
洋風を真似するつもりなら、きちんとコーヒーカップで出すだろう。
日本のグルメ雑誌のアイスコーヒーの写真でも見て勘違いしたんだろうか?
アイスコーヒーというのは、日本人がアレンジしたものであるし。
ガラスのコップが熱で割れそうに思うが、まったくその通りだ。
底からじわじわコーヒーが漏れてくる。なので、漏れきる前に飲まなくてはいけない。ストローで。
ストローで熱い物を飲むときは吸引力を加減しないと、口の中をヤケドしてしまうので要注意だ。
注意しながらも、いそいでコーヒーを飲まなくてはいけないのだ。テーブルにコーヒーが漏れてるんだから。
こんなところで、こんなふうに孤独な戦いを強いられるとは思わなかった。
9:30am
セキュリティチェックを通る。
ボディチェックされ、女性係官が私のズボンにつけたキーホルダーに注目する。
ただのキーホルダーですよ、と説明するが、それがスチールの「巻尺」だったのが悪かったようで、
長年愛用していた「巻尺キーホルダー」を没収されてしまった。
凶器にでも使われると判断されたのだろうか。今まで何度もチェックは受けたが、ひっかかったのは初めてだ。
機内持ち込み手荷物は、もっと危なそうな物も入ってたはずなのに、レントゲンを通しただけでノーチェックだった。
今度からは、携行品も全部手荷物に入れておくようにしよう。
自宅のカギまで没収されたら困る。
今頃あのキーホルダーは女性係官の私物になってるのかなあ。
搭乗待合室で、搭乗案内を待つ。狭いし人が多くて座れない。
売店があり、買おうと思って買い忘れていた冬虫夏草を売っていたので一袋買ってみる。
170元。高かった。ラサで買っておけば1グラム35元くらいだったが。
ガイドによると、成分を煮出した後のダシガラを売ってることもあるので、
買われる際は注意されたしということだった。
10:00am
飛行機に搭乗。
10:20am
クンガ空港を離陸。
10:50am
機内食。まだ食欲がないので、デザートだけいただく。
飛行機の中のほうが気圧が高いようだ。
飛行機は上昇するのに、高度計は下がっていくというのが面白い。
機内でコーラを飲んだ。やけにうまい。
ラサにもコーラは売っていたが、普段からあまりコーラは飲まないので、買わなかったのだが
機内で出されたコーラはうまかった。本当にうまかった。こんなにうまいと思ったコーラはない。
12:10pm
成都空港に着陸。あいかわらず曇りというか霧が多いというか。いつもこんな天気なのだろうか?
12:30pm
荷物が出てくるのを待つ。
12:40pm
2元で、カートを借りる。
12:50pm
マッサージチェア15分10元というのがあったので、肩こりをほぐそうと思って試してみる。
なんとなく肩がほぐれた感じはする。
1:10pm
成都空港では乗り継ぎなので、再搭乗手続きのため、チェックインカウンターを探す。
さて、ではここで、私の経験にもとづく、
中国での乗り継ぎに関する注意事項を紹介しよう。
- 現地の係り員にモノを尋ねたりしない。
軽い気持ちで現地の人とコミュニケーションをとるつもりでも、
空港のインフォメーションで、これから乗る飛行機の航空券を見せて、
搭乗手続きをするために、チェックインカウンターの場所を聞くなどしてはいけない。
チェックインカウンターと、航空券の予約/発券カウンターの区別がつかない可能性があるからだ。
- 係員の指示を鵜呑みにしない。
こちらが持ってる、「成都から北京への航空券」を相手に見せて、
チェックインカウンターを探していると訴えても、
国内線の乗り継ぎということを理解してもらえない可能性がある。
国内線の乗り継ぎなのに、ここから500m離れた国際線空港へ行けと言われる可能性がある。
不審に思って、何度も聞き返しても、国際線空港へ行けと相手に言われれば、
事情のわからない旅行者なら、成都から北京へ行く飛行機は、もしかしたら、
国際線の空港から出発するのかと思いこんでしまうのも無理はないだろう。
- 現地係員に荷物を持ってもらってはいけない。
インフォメーションにいた若い空港係員がとても親切で、
こちらが見せた北京行き航空券で飛行機に乗るには、500m離れた国際線空港からだからと、
荷物を半分持ってあげるから一緒に行きましょうと言われても、荷物を持ってもらってはいけない。
荷物を持ってもらったら、相手の言うように行動しなければならないからだ。
もしも間違っていた場合、まったく無駄足になってしまうのだ。
- 気をきかせてチップをあげない。
500m歩かされて、国際線の空港が見えてきたとしても、
本当にそこの空港で北京行きの飛行機に乗れるのか、きちんと確認するまでは、
荷物を持ってもらった若い空港係員に、気をきかせて10元チップをあげたりしてはいけない。
もしも間違っていた場合、今度は一人で荷物をかかえて、
500m離れたもとの国内線の空港まで戻るはめになるからだ。
- 現地係員が空港に詳しいと思ってはいけない。
国際線空港で、いざ北京行きの航空券でチェックインしようと思っても、それは絶対無理である。
やはり、間違って案内されたのかと気づいても後のまつりである。
一人で荷物をかかえて、500mの道のりを戻る途中、さっきの若い空港係員に出会い、
違うじゃないかと、北京行きの航空券を見せて文句をいっても、若い空港係員は、
北京行きの航空券に印字された北京の英字表記の「BEIJING」が、
どこか外国の空港だと勘違いしていたかもしれない。
たとえ、自国の首都の空港であっても、その英字表記を空港係員が知っているとは限らないのだ。
どうだまいったか!
10元返せこのやろう!
とは言わなかったが、荷物は持たせた。
- 現地の人をアテにしない。
たとえ簡単な事柄でも、空港職員なら当然知っているだろうということも、
そういう常識や先入観は中国では通じないという可能性がありうるのである。
不審に思ったら、他人にたよらず、全部自分で処理するよう心がけるべきである。
1:30pm
そういうわけで空港前の写真を撮ることが出来た。
他人の親切を期待したのが裏目に出た。中国で信じられるのは自分だけだ。
もうチベットに帰りたい。
ちなみに、SARSの警戒のため、空港に出入りするたびに赤外線で体温測定をされるのだった。
1:45pm
チェックインカウンターは、さっき尋ねたインフォメーションと10mも離れてないじゃんか。むかむか。
ようやくチェックインでき、ボーディングパスを受け取る。
C9ゲートから搭乗するのだ。
時間のゆとりがあったはずなのに、ずいぶん時間を潰した気がする。
カフェがあったので、休息しようとエスプレッソコーヒーを注文する。38元。すげえ高い。
見た目は普通のコーヒーのようだが………………………………。
2:30pm
セキュリティチェック。
2:35pm
先にトイレをすまそうと、通路にいた中国人のスッチーに場所をきくも、通じず。
私の発音がだめなのか、中国人は英語を解さないのか。
2:45pm
C9ゲートへ。なんか、もう他の客は搭乗してる。なんやかんやで遅刻するところだった。
2:55pm
機内へ搭乗。座席につく。
すきっ腹にコーヒー飲んだせいか、若干腹具合がよくない。
3:00pm
離陸。
北京まで3時間くらい。
3:40pm
機内食。食欲が無いので、ミネラルウォーターだけ飲む。
それにしても、やけに機内が暑い。
日に2度も飛行機乗るのはさすがに疲れる。
ちなみに、中国では、食後にオシボリが配られるみたいである。
4:10pm
機内が暑くて苦しい。熱中症になりそうだ。
飲み物でも飲めばよかったが、スッチーをよぶのが面倒だったのだ。
座席シート天井の送風口をこちらに向けてしのぐ。
5:00pm
北京空港着。
ここより、北京時間。
この時間になると、北京は薄暗い。正しい時間感覚だ。
ちなみに、中国の飛行機の着陸はすごく上手い気がする。ほとんど振動がない。
ベテランの人民解放軍出身なのだろうか。
5:30pm
空港出口で、現地係員が待っていた。
ところが、この現地係員は、「どちらを観光してきたんですか?」とかぬかしやがった。
私がチベットに行ってきたことも知らない。自己紹介もしない。
荷物を持ってくれそうもない。こんなものか。
客に対する興味はなさそうだ。
5:45pm
高速道路を使い、車はホテルへ直行。途中で飲み物を買いたいと言っても無視される。
せめて夕食は、北京でおいしい中華料理をと思っていたのだが……………………。
思っていたのだが……………………レストランの案内もしてくれないのだね。
こうなるともうツアーの現地係員というのも、ありがたいのかなんなのかよくわからなくなる。
6:35pm
ホテル着。
長い1日だった。
6:50pm
部屋に通される。普通のビジネスホテル並みのシングルルームだ。
荷物は、ポーターがしっかり運んでくれた。
一応、チップを用意していたが、チップを欲しがるようなそぶりはまったくなかったので渡さずにすんだ。
やはり、チップを要求されたのは成都のホテルだけだったなあ。
そういえば、ホテルの1階、フロント横に日本料理店があったのだった。
店先の扉の両脇に和服の女の人が立っていて、和風の雰囲気をかもし出そうとしていたのだが、
純白の浴衣姿だったという微妙なズレ具合が気にはなったりしたのだった。
とはいえ、ここで、日本食にありつけるのは悪くないかも知れない。
正直に言えば、今、強烈に食べたいのは本場の中華料理よりも、あっさりした「お茶漬け」だ。
もしくは「ざるそば」でもいい。
乾ききった体が欲しているものこそ、自分の体調維持に本当に必要な物なのだ。
生理学的に決まっているのだ。お茶漬けとざるそばがあれば、もうどんな過酷な環境でも生きていけそうな気がする。
お茶漬けは、永谷園の「さけ茶づけ」に限る。茶碗に熱湯をそそいで、CMの様にかきこむのがいい。
ざるそばは、コンビニで売ってる「割子そば」が最高だ。ゴマがついてて、駅の立ち食いそばよりお得なのだ。
しかし、贅沢を言うのはよそう。ここは中国。日本ではない。
ただ、メニューに「お茶漬け」か「ざるそば」があれば、ただそれだけで満足しようではないか。
そういうわけで、後で夕食にいってみようと思う。
と、思って、ちょっとベッドに横になったところ、そのまま爆眠してしまったのであった。
<続く>
はじめに戻る