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幻の雪山獅子を追え
Nov.28.2003
雪山獅子というのは、チベットの雪山の上のほうに棲むという白い獅子のことである。
英名[Snow Lion]は、実際の生息状況や生態はよくわかっていない。剥製も残されていない。
見たことは無くても、チベット族は、本当にいると信じている。なので、存在を疑うことは失礼である。
UMAの一種だと思ってもらえればよい。わかったかな?
ポタラ宮を護る雪山獅子。
その姿は、チベット旗にも見ることが出来る。
チベットでは、寺の中や、屋根の上、門前などでもよく見られる守り神である。チベット自治区政府の門前にもいる。
そう、日本では狛犬として、沖縄ではシーサーとして伝えられたものの原型であろう。
ちなみに、狛犬は日本オリジナルで頭に角を持っている。雪山獅子には角が無いので狛犬とは違う。
外国の寺にある狛犬の様な像はすべて獅子であるのでお間違いなく。
現在のところ、動物園やペットショップで雪山獅子を見ることは無いと思うが、
身近な動物でも、雪山獅子や狛犬に似たものがいる。シーズー、ラサアプソ等の犬だ。
ラサアプソはチベット原産の犬で、「毛深い山羊」という意味らしい。
それを中国のペキニーズと交配させたと言われるシーズーは「獅子犬」という意味を持つようになる。
たてがみもあり、狛犬のように鼻が短い。狛犬のモデルとも言われる。
歴史も長く、その昔、守護犬としてチベット僧にも大切にされたという。
ならば、ラサアプソが雪山獅子のモデルなのではないか?と考えたくなるところだが、
チベットでは、雪山獅子とラサアプソはまったく別物という認識であるに違いない。
おそらく、雪山獅子のほうが古くから伝承され、ラサアプソは、雪山獅子に似せて品種改良されたのではないか。
狛犬やシーサーはともかく、雪山獅子は雪山獅子であり、特定のモデルは無いと思われる。
では、雪山獅子はどれくらい古くからチベット族に知られるようになったのだろうか?
ラサアプソの歴史は2000年と言われているので、それよりは古いに違いない。
もちろん、雪山獅子がチベット山中に生息するようになってからであろう。
その祖先は、今で言うライオンと似た姿であったことは容易に想像がつく。
高地に適応する中で、体毛も長く白く変化していったに違いない。
ライオンは、今ではアフリカが主な生息域であるが、昔はインドでも多く見られた動物である。
やはり、雪山獅子の原種はインドから派生したものと見るのが妥当だろう。
インドライオンは絶滅寸前で、ギル動物保護区で細々と生きながらえているばかりだ。
雪山獅子も生息が確認され次第、早急な保護活動が必要だろう。漢方薬にされたら大変だ。
では、様式的に寺の守護獣として採用されたのはいつ頃だろうか?
いつ頃もなにも、寺が建てられた仏教伝来と同時期であろう。それは8世紀頃と言われる。
(仏教伝来は、日本のほうが早くて、6世紀だ。)
もっとも、インドから伝わった仏像が、2頭の獅子を従えていたので、その様式を採用したのか、
古くからチベット族の間で、雪山獅子を魔除けとしていたところに、
ブッダの教義とあいまって、共に寺の守り神として祭られるようになったのかは定かでない。
私が思うに、ライオンのような猛獣を魔除けとする習慣は、スフィンクスの例のように、
紀元前の古代オリエント時代まで遡り、相当古い昔から行われていた慣習だと思われる。
チベットに仏教が伝わる以前にも、当地には王様がいたので、
もともと雪山獅子像を魔除けにしていたことは想像に難くないと思われるがどうだろうか。
だから何だと言われても困るのだが。
以上、未確認情報でした。
<続く>
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