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高山病の夜Part3


Nov.21.2003





03年11月9日
9:00pm

もう、今日くらいまでになると、高山病の症状はほとんどない。
呼吸も余裕でできる感じ。食欲不振を除いては、体調に異常は無い。
ふっふっふ。残念だったな高山病。

が、もう我慢ならないのは、表通りで大音量で鳴らされてる歌謡曲である。まったく休める気がしない。
思いあまって他の部屋へ変えてくれとフロントに頼みに行くものの、「だめです」と、
軽くあしらわれ、余計虚しい思いを抱きながら部屋へ戻る。

10:40pm

夜になってなんとなく気になったが、ラサの空気は、なんだか煙たい。
ガソリンの匂いだろうか?どこかで不完全燃焼でもしてるのだろうか。
高山病というより、ラサの街に負けそうである。
それでも、なんとか眠りに着く。

03年11月10日
3:00am

目が覚めると、まだ外では歌謡曲が流れているぞ? いったい何時だと思ってるんだか!
ふと、鼻の奥がむずむずすると思ったら、鼻血がでる。かなりやられている。
すかさずティッシュをちぎり鼻に詰める。
焦燥感にさいなまれながらも、小腹がすいたので、この前買ったパンケーキとピーナッツを食べる。

3:30am

やっと、外は静かになったようだ。

7:15am

そろそろ起床時間。あまり眠れた気がしない。
ヒゲを剃ろうと洗面所にいくが、お湯が出ない。
まあね、外国の、しかもチベットのホテルで24時間豊富なお湯が使えるとは、
私も期待してはいませんよ。日本を基準にした充実したサービスは求めていませんよ。
だからこそね、ちゃんと事前にホテルのフロントで、「お湯が出る時間はいつか?」ということを、
ちゃんと聞いたわけですよ。ところがフロントは、大丈夫ですよと、24時間いつでもお湯が使えるますよと、
言い切ってくれちゃったわけですよ。
それならそう信じるしかないじゃないですか。
でも、実際、お湯は出ないわけですよ。
嘘はやめれ。

このホテルは、初日に泊まった時から、夜は騒音で煩い、お湯は出ない、部屋に電気は来ない、
テレビはあっても、スイッチが壊れてると、散々な客室を私に割り振ってきたのである。
あまりテレビにこだわる訳でもないが、他の今までのホテルでは、テレビのチャンネル表が、
添えられていたものだが、このホテルにはそれすらも無いのである。壁から伸びるアンテナケーブルも、
指で引っかけたくらいで簡単にはずれてしまうのである。

みかけは、中級ホテルでも、ハリボテのように中身のなんにもないホテルなのである。
ツアーでなければ、もっと安宿に泊まったほうがマシだったかもしれない。
いや、ツアー代金をちゃんと払っているからこそ、もっとまともな部屋に泊まれる権利があるのではないか?
とてもこの部屋で連泊する気にはなれないなと、私はこの日、ツアーを離脱する覚悟を決めた。
ラサにいる間、自分で別のホテルを探そうと思う。どこに泊まろうと、少なくともここより酷いところは無いはずだ。

私は、身の回りの荷物をまとめて、ホテルをチェックアウトする準備を整えた。

8:30am

とりあえず、朝食。
例によってバイキング形式でいろいろ出されていた。



食欲が無かったのでコーンスープのみいただく。



変な味付けがしてあり、美味しくない。
日本のコーンカンズメをそのまま食べたほうがまだ良い感じ。

8:40am

本日の市内観光のため、ガイドとホテルのフロントで待ち合わせ。
ガイドが現れると、私はガイドに、このホテルに関する苦情を申し入れた。
すると、私の申し入れに対し、ガイドはものすごい勢いでホテルへクレームをつけてくれた。

9:00am

ガイドのクレームが功を奏し、私は部屋を移動することができた。
今度の部屋は通りから裏側になり、歌謡曲の騒音からは逃れられそうである。
部屋へ電気もきており、テレビもついた。
しかし、お湯は相変わらずでない。昨日は給湯器が故障したということで、今日中に修理をするという。
でもね、あのね、3日前もお湯は出なかったんですけどね。
ねんのため、お湯の出る時間を確認したところ、午後7〜8時頃が一番出るという答えが返ってきた。
最初から正直に言え。

しかし、おかげで昨夜のうっぷんは晴れた感じである。
ホテルに対して強気で挑んでくれた、このチベット族のガイドのおかげである。
とてもたのもしいのであった。ありがたやありがたや。

といったわけで、気を取り直して、さっそく市内観光へと向かうのだった。


<続く>




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