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高山病の夜
Nov.18.2003
03年11月7日
0:30am
停電。
なんで、寝てる時間なのに、停電がおきたかわかったかというと、寝れてなかったからなのだった。
ホテルの外の通りでは、ずっと歌謡曲が、がんがん鳴ってて煩かったのだ。
それが、午前0時半頃になってプツっと止んだ。街の明かりも消えたので、停電だとわかった。
まあ、停電なんて中国ではよくあることだろうなと予想していたので驚きはしなかったのだが。
それよりやっと静かになったという安堵感の方が大きかったのだった。
5分くらいして電力回復後、また歌謡曲が鳴り出したのには大いに辟易した。
しかし、その頃私は歌謡曲よりももっと大きな敵と対峙しようとしていたのだった。
そう、高山病である。
1:00am
頭痛を意識しはじめる。 そんなにひどくは無いが、念のため頭痛薬を飲む。
睡眠作用も期待して。
空腹時の服用はよくないと思って、機内食の残りのパンをかじる。
2:00am
外の喧騒も静まり、寝ようとするものの、吐き気に襲われ、寝付けない。
気持ちわり〜。これが高山病か〜。なるほどなあ。手ごわいなあ。
こんな夜更けに、地味に攻めてくるよなあ。
ベッドで安静にしてても、胸がむかつく。耐えられない。
バスルーム/トイレの便器の前にしゃがみこんで吐く。げろ〜。
晩飯の菜っ葉が少々未消化だった以外、胃の中には何もなかった。
少々、楽になる。
トイレで停電になると、真っ暗になるのでと、マグライトを持ってきたのだが、いきなり電球が切れる。
買ったばかりなのに早すぎだろ!と、ぶつぶつ文句言いながら、電球を交換する。
4:00am
またもや、吐き気。
バスルーム/トイレの便器の前にしゃがみこんで吐く態勢。
もう胃の中には何もないので吐けず。
それでも気持ちが悪いので、便器を前にして、しばしぬかずく。 実に情けない。
すきっ腹が、かえって良くないのかもしれないと、昨日朝、成都でもらったソーセージをとりだす。
ひとくちかじってみるが、魚肉の匂いが猛烈に吐き気をもよおし、悶絶する。
この瞬間、私の脳に「中国の魚肉ソーセージは食い物ではない」とインプットされたことは間違いないだろう。
きっと次にソーセージを見ただけでも吐き気を感じるに違いない。それほど強烈な勢いであった。
お湯を1カップ飲み、むかつきをおさえる。
7:00am
吐き気はおさまったようだ。
外はまだ暗い。日が昇るのは、8時すぎぐらいからだろう。
私を襲う高山病も、これくらいですめばよいのだが。
症状としては、気圧差で三半器官がやられるのか、フワフワ感なめまい、頭痛、それにともなう吐き気である。
熱やノドの痛みなどはないが、風邪と区別つかないような感じだ。
生ものの食事を控えていたせいか、下痢にはならなかったのがまだ良かった。
ちなみに私は日本では、毎年冬になるとノドをやられるタチなのだが、
チベットにいる間、ノドはまったく問題なしだった。
チベットは乾燥地で、気温も日本より低めの5〜15度というかんじなので、
ノドを警戒してヴィックスドロップ、イソジンなどを持参してきたが、お世話になることはなかった。
逆に、日本に戻ってきてから、ノドがいがらっぽく感じるようになったくらいだ。
空気に関しては、チベットと私のノドと相性は良いらしい。
7:30am
空腹を感じてきたので、日本から持参した紅茶と、成都で買ったビスケットをかじる。
食事が合わなくなり、食欲が無くなった場合にと、用意したものだが、
実はもっとたくさん携帯食料を持参してくればよかったと、後々後悔するのであった。
この先私は、旅の間ずっと、食欲不振で何も食えなくなってしまうことになるのであった。
今後、あなたがはじめてチベットに行くという機会があるというのなら、
インスタントのおかゆや雑炊パックなどを日本から用意していくことをおすすめしたいと思う。
いや〜私も今回そうしたかったのだが、荷物を増やすのもなんだし、
私もとくに今まで食事に好き嫌いの無い人だったので、まあチベットでも大丈夫だろうと、
なめてかかっていたのだったが、大いに失敗したと感じている。
げに恐ろしきは高山病である。
<続く>
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