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〜第一日目〜出発
Nov.17.2003
私がチベットに旅立ったのは、03年11月5日のことである。
ひさしぶりに海外旅行でもしてハネを伸ばしたいと思ったのであるが、
これまではヨーロッパ方面のファンタスティックな中世ロマンの探訪の旅が中心であったところ、
今回は秘境を目指そうということで、チベットに注目したのだった。
チベットについて調べてみると、やはり、行くなら早めに行かないと、
押し寄せる近代化の波に、チベットらしい文化が失われつつあるということなので、
ちょっと気候的に寒い時期には来てるもの、チベット旅行を決断したのである。
今回はツアーという体裁ではあるが、私のほかは、現地係員、ガイドのみという、ほとんど個人手配旅行である。
一人で海外行くのは初めてなので、多少の不安は感じたものの、いや一人で旅行という不安よりも、
公安に拘束されたり、SARSに感染したりしやしないかと、そっち方面の不安をめちゃめちゃ感じていたものの、
きっとチベットにはその不安をかき消すくらいの素晴らしい何かが待っているに違いないといいきかせ、
ひとり気分をふるいたたせていたのだった。 なんとか死なずに帰国できることを目標にして。
(……なんて、大げさな事を考えつつも、やっぱりツアーだし、現地係員もいるので、
そんなに面倒なことにはならないだろうと、思ってもいたのであったが、いやいやどうして……。)
成田空港にて最後のコーヒーブレイク。
成田空港にて最後の食事。
03年11月5日
2:00pm
そんなわけで、まずは、成田から飛行機(CA452)で、中国は成都へと向かう。
3:35pm
機内食をいただく。 おいしくたいらげる。 体調が万全だったのはこの時までだった……。
時差が一時間あるので、調整。 以後、北京時間。
6:35pm
成都に着く。
くもり。 空は雲というか霧で覆われ、飛行機からも地上の様子は、なにも見えなかった。
中国らしい景観を楽しみにしてはいたが、まだ経験できずまま日が暮れる。 残念。
空港を出ると、現地係員が迎えに来ていた。
出迎えたのは、若い男性ドライバーと、日本語堪能な女性係員である。
そのままホテルへ直行。 道はすっかり暗い。 街の様子もよくわからない。
暗いにもかかわらず、この現地のドライバーは車を飛ばす。 飛ばしまくる。
客を乗せてるから安全運転をというよりも、1秒でも早くホテルへ送り届けようとするかのように、
ばんばんクラクション鳴らしながら狭い道を猛スピードで走り、対向車をかわしながら、遅い車を追い抜いていく。
が、せっかくの走りも虚しく、途中、踏み切りに捕まり立ち往生。
貨物列車が警笛をボーボー鳴らしながら、ゆっくりゆっくり通りすぎていく。
実に大陸的な光景であった……。
気がつくと、バックミラーごしにドライバーに睨まれてる気がしてならない。
どうも、あまり歓迎されてる気がしない。
私はドライバーの視線に気がつかないフリをして女性係員に愛想をふりまく。
女性係員は、四川料理の話や成都の観光名所の話ばかりをしている。
チベットについてはまるで触れたがらないようだ。
中国を観光もせず、チベットに行きたがるような日本人は、うさんくさいだけなのかも知れない。
車中に漂う空気から、文化の違いを堪能するも、私もまだ、このときは余裕ではあった。
8:00pm
ホテル着。
今夜はここで一泊し、明日朝、チベット行きの飛行機へ乗るのである。
とりあえず、ホテルで両替を済ます。 (1元=約14円)
ガイドブックにこのへんはチップが必要と書いてあったので、ポーター用のチップ5元を確保しておく。
ポーターが部屋まで荷物を運んでくれたおり、チップを欲しそうにしてたので、用意してあった5元を手渡す。
ところが、このポーターは不満そうに、自分のポケットから10元札を取り出し、私に見せた。
ああ、そうですか。 チップに10元欲しいのですね?
私は、ずうずうしいポーターだなとは思いながら10元を財布から探したが、あいにく、20元札しかなった。
しかたがないので、ポーターから10元おつりをもらうつもりで、20元手渡した。
すると、このポーターは、20元を受け取ったまま、さっさと立ち去ってしまったのだった。
私は、ポーターをおいかけて10元とりかえそうと思ったが、西安の事件のように、
ポーターに騒がれてヤバイ事になったら大変なので、黙ってポーターの背中を見送ったのだった。
私は、これまで旅行に出かけてホームシックになった事は一度も無かったのだったが、
この時ばかりは、なんだかもうとっとと帰国したくなってしまったのであった。
レストランを探し晩飯を食う気分は失せて、機材の点検をしてそのまま寝ることにしたのだった。
デジカメのデータをTripper(20Gストレージ)に保存し、
旅行携帯用に中古で手に入れたDinaBook SS 3330CTでチェックしているところ。
<続く>
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