アンネットのちこく
「アンネット、いったいどうしたというのです?」
雪まみれになりながら、濡れた教科書をかかえて、
15分遅刻して、教室に入ってきたアンネットに、
先生は心配そうに聞きました。
「ルシエンがやったのです!
ルシエンがわたしを溝にたたきこんでおいて、
置いてきぼりにして行ってしまったのです!
わたしは、溝から出ることができませんでした!」
登校途中で、アンネットのソリに、ルシエンのソリが衝突し、
アンネットは、溝の中に転げ落ちてしまったのです。
「ルシエンの大ばか者!
あんたは、いったい前を向いて走っているの?
わたしの習字帳を見てちょうだい……わたしがせっかくした宿題は、
みんな汚れて、やぶけてしまったじゃないの!」
アンネットの心は、怒りに燃えていました。
うなだれたルシエンを、先生は罰として鞭打ちました。
悲しいことですが、アンネットはそれを見て、元気づき、
気持ちが晴れ晴れとしたのでした。
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