真・アンネットのひみつ


July.26.2005





真・アンネットのひみつ





物語

1900年、スイスのロシニエール村での、少年と少女の物語。
アンネットと、ルシエンは、小さいころから大の仲良しです。
ある事故がきっかけで、仲良しだった二人の心は、深く傷つきます。
“罪と償い”をテーマに、キリスト教的な教えを絡めながら、
少年と少女の心の成長を丁寧に描いた、
TVアニメシリーズ世界名作劇場の意欲作です。


というか、もっと違う視点で見ても面白いんじゃないかというか。
少なくとも私は放映当初から「キリスト教」的な匂いは全然感じなかったし、
後から、そういうテーマがあったのかと驚いたくらいです。
「神様」というセリフはよく出てきてますが、当時、他のアニメでもよく出てましたよ?

公式の作品紹介文だと、堅苦しすぎて、このアニメの魅力が全然伝わらなくて、
かえって敷居を高くして、ファン開拓の障害になっているのではないでしょうか?
未見の方も、騙されたと思って一度見てみてはいかがでしょう。

もっとも、子供時代に見るとやはり内容が重すぎて嫌になるかもしれませんが、
大人になってからみると、いろんな魅力が発見できることでしょう。

私の場合ですと、どういう魅力にしびれているかというと、
もう、アンネット・バルニエルというキャラが、
性格がとてつもなくダメ
ということです。



主人公であるヒロインが、ここまでダメなキャラというのは、他に例を知りません。
普通は、何かひとつでも取り得があるものですが、アンネットの場合は……思いつきません。
第一話目から、優しくもないし、しっかりものでもないし、正直でもないし、
とにかくスタッフがダメなキャラに描こうとしてるのが、見て取れます。
ダメな性格は、とうとう最終話まで改善されることがなく、ルシエンを途方に暮れさせます。

このようなダメキャラの少女が主人公というアニメは、今後二度と登場しないのではいでしょうか?

ダメな子ほど可愛い、という視点に立つと、ギャグと萌えが満載の最上級の作品になるでしょう。



登場人物紹介
アンネット・バルニエル

ジャジャ馬で、あわてんぼう。 短気で手癖足癖が悪い。
お説教好きだが、自分のことは棚に上げている。

弟を欲しがっていたが、もし妹が生まれたら、
「うんと可愛い優しい子でないと嫌」と、お母さんに要求する。
第一話から「もう絶対に喧嘩はしないわ」と、簡単にでまかせを言ってしまう。
ルシエンのことは、従順な舎弟として好いている。口答えは許さない。
<アンネット評>
「約束を守らない。わがまま。聞き訳が無い。優しくしなさい。」(おかあさん・1話)
「言い訳をするな。」(おとうさん・1話)「おまえは乱暴。」(おとうさん・2話)
「いじめちゃいかん。」(おとうさん・6話)
「女の子らしくない。」(おばあちゃん・9話)
「負けず嫌いで気が強く素直じゃない」(おばあちゃん・13話)
「調子に乗るな。」(ルシエン・1話)「意地になりすぎ。」(マリー・23話)
「鈍感で意地悪で無神経で性格が真っ暗。」(ジャン・27話)
「口の悪さは全然変わらない。」(フランツ・45話)

ストーリー的には、ローザンヌ編で、
アンネットは「我慢強い素直で優しい子」に生まれ変わっているはずであるのだが、
最終話でもしっかりジャンに喧嘩をかましてるのはどうしたものか。

ルシエン・モレル

弱虫、泣き虫、怠け者。
アンネットから卑怯者呼ばわりされることも。
アンネットほど、嘘つきでは無く素直な少年。

気晴らしにナイフを扱ってるうちに木彫りが上達したらしい。
アンネットに好かれたいと思うが、なかなか男として見てくれないのを拗ねている。
そのため、余計に嫌われてしまう。
一言でいって、アンネットに振り回される不憫な子。
それでも、アンネットが好きなのは、
ただ一人、自分にかまってくれる女の子だからかも知れない。
ルシエンが、他の女の子と話をしてるシーンは殆ど無い。



フランシーヌ・バルニエル

アンネットのお母さん。

アンネットのダメな性格が誰に似たのか、お父さんと口論になり、
「わたしじゃ、ありませんよ。」と、シラをきるものの、
5話で、大おばさんのクロード・マルタに、
「アンネットは、母親似」
ということを見抜かれてしまった。
フランシーヌが、昔はアンネット並のお転婆娘だったことは、
物語が進むにつれて、徐々に明らかになっていきます。

お母さんも、1話目では、アンネットに女の子らしくなさいと注意するが、
自分を棚に上げるアンネットの性格が母親譲りなら、
なんの不思議もありません。
ペーペルに「心配しないで」と話しかける癖まで似ています。

スタッフが仕組んだ(?)この謎かけに気づくと、
「わたしのアンネット」の、もう一人の主人公が、明らかになります。



ピエール・バルニエル

アンネットのお父さん。

自分の息子のダニーを、ルシエンのせいで怪我をさせられるが、
怒りに燃えるアンネットとは違い、ルシエンには同情的な姿勢をとり、
アンネットとの仲直りを促す、とても優しい男。
どういうわけで、ピエールが、そこまでルシエンに同情的になるのか?
物語中では、はっきり明らかにはなりませんが、
フランシーヌが、昔はアンネットと同じ性格だったとすれば、
すべての疑問が解けますね。

ピエールの味わった苦労を、
ルシエンに見ていたのでしょう。

13話で、クロードおばさんが、
「アンネットはいつになったら女の子らしくなるのかねえ?」と、
心配していますが、ピエールは「そのうち、そうなりますよ。」と、
自信たっぷりに語っています。
お転婆だった、フランシーヌが、女の子らしくなったのは、
ピエールとの馴れ初めの中でのことだったのでしょう。
アンネットが女の子らしくなるよう、ルシエンに期待していたわけです。

フェルナンデルさんも、その一部始終を見ていたはずですね。

もちろんネタですが、そういう裏設定(?)を念頭に、
ピエールの視点でもう一度このアニメを見直すと、
もう、全然違った印象の作品となり、何度も楽しんでいます私は。

















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